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「……や、やめてよ……!せっかく、みんな戻って来たのに………」
「ねぇ、アルカ。……また、2人で星空でも、見に行きたいわね」
「トウカ……!」
火事が起きている部屋に長時間いたからだろうか……
意識が朦朧とする。
頭が回らない。
「見て……今日は月が綺麗。」
もちろん、月なんて見えない。火に包まれたこの館からは、月なんて見えない。
「僕にとって……月はずっと綺麗だった……」
目に涙を溜めて、微笑む。
「……ありがとう……さよなら……アルカ。」
引き金を引く。
頭に鋭い痛みが走って……
暗転。
死際に見たのは、アルカの絶望したような顔だけ。
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NO side
「…ありがとう………さよなら……アルカ。」
トウカは丁寧にお辞儀をして、頭を撃つ。
燃え盛る部屋に、銃声が響いた。
トウカが倒れる。
その瞬間、部屋に響いたのは、アルカとアイラの絶叫だった。
アルカは倒れたトウカに向かって、叫んでいる。
「ぇ……ぁ……ぃゃ……ごめ……なさ……」
アイラは、トウカが手に持っていた銃で後を追おうとした、その時
遅れてやってきたハルカが図書室へと入る。
「…アイラ!」
その声に、アイラは伏せていた顔をあげる。
「貴方…なんで…」
「や、やめて…お願いだから…そんなこと…」
洗脳が解けたハルカは、彼女を止めようと必死で呼びかける。
「…ごめんね、ハルカ。もう、どうしようもないの」
「…そんなこと…! 君はまだ…やり直せるはず」
「……」
「…だから…だから、そんなこと!」
「何ができるの」
「え?」
アイラの低い声が響く。
「私に…何ができるのよ」
「何って…」
返答に困るハルカにアスカが叫ぶ
「早くここから出なさい!もう煙が…
貴方まで死ぬことないでしょう?!」
そんな言葉を無視してハルカは言った。
「…なんだってするさ。」
「そう。じゃあ…ここから、出ていって。」
「え…」
「出てけって言ってるのよ!」
アイラは泣きながら叫んだ。
愛した人を死なせない、その一心で叫んだ。
今すぐ彼に縋りたくなるのを必死に抑え、
彼がこれ以上自分に情を移す前に自分から突き放した。
「…でも…僕は……」
「早く帰るわよ!こんな所にいつまでも居られないわ!」
限界に達したアスカがハルカの手を掴み外へと走った。
途中で倒れているヒスイとベルソーを抱えて走る。
突然、響き渡る銃声。
ハルカはアスカに手を引かれ走りながら感じた。愛した者の最期を
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