ねぇ元貴。
どれだけ苦しいか、知ってるに決まってる。
だって、同じように僕も元貴に恋焦がれて、ずっと苦しかったんだから。
「ぜんぶ、知ってたよ。もとき。」
僕の背中に回された手が温かくなってるのがわかる。
それが何だか愛おしくて、つよく強く、抱きしめた。
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(ryk 視点)
少しの間、髪と背中をさすってやっていると、元貴の呼吸が段々穏やかになっていくのがわかる。
僕からそっと体を離すと、恥ずかしそうに俯いて濡れた頬を自分の袖口で拭っていた。
「ごめん…ちょっと、感情的になった。
俺、…帰るよ。」
そういって突然立ち上がるから、瞬間的にその腕を掴む。
「…っ」
驚いて振り向いた元貴が、こちら見下ろして。
小さく息をのむのがわかった。
掴んだ腕に力をこめる。
「いなよ。」
「え…。」
「ここに。」
そう言うと、元貴はまた泣き出しそうな困った顔で苦笑いする。
「ごめん。やっぱ…それでも若井が好きだから…。」
「俺は…元貴が若井を諦められなくても。 それでも元貴が好きだよ。」
やっと赤みがひいてたキレイな瞳が、また赤く染まるのがわかる。
「俺は、若井の代わりでも構わな……っ…」
最後まで言い終える前に、元貴の長い前髪が僕の頬にサラサラと揺れて落ちてきた。
目の前で零れ落ちた涙が、頬を伝ってそのまま唇に染みていく。
塩辛い味がして、ようやく僕の唇に元貴のそれが重なっていることを認識した。
「も、とき…?」
元貴は何も答えない。
スプリングが揺れて。
僕の上にまたがりソファに膝をついて、何度も唇を降らせてくる。
堪らず元貴の両頬を手で包み、形の良い唇を割って吸うと、ほのかにレモンの味がした。
「…んッ、…ふ…ぁっ…」
夢中になってる元貴の腕が、僕の首に絡みつく。
あぁ、好きな人に求められるってこんななのかな。
この前のキスとは全然違う。
たとえ、誰かの代わりでも。
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長くなっちゃった…
コメント
3件
悲しい... どっちも気持ちがぁ!!😭
もっと長くなってもいいよぉ… 藤澤さん…切ないねぇ…。大森さんも…切ないねぇ…。
胸がきゅう、 ッ て締め付けられました こんなに感情的になる作品初めてです!