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::.*゜:.
その夜遅く北斗が玄関口に現れ逞しい体が戸口を満たした
いや・・・いつもほど逞しいとは言えないかもしれない、彼は酔っていた
フゥ・・・
「しゅまない・・・遅くなってしまった」
「まぁ!北斗さん?」
バタンッと北斗が玄関口で倒れた
「アリしゅ・・・・」
アリスが慌てて助け起こそうとして身をかがめたが、彼が口をあけて息を吐き出した途端、うっとのけぞった
お酒臭いっっ!
「あ~しゅまない・・・姉さん・・・今日は俺も止められなかったんだぁ~」
ゲップと玄関口から入って来た直哉の息が玄関に充満した
直哉も酒臭い、咄嗟にアリスは鼻をつまんだ、まったくこの兄弟はっっ!
「でも・・・
兄貴がこんなになるのはめったにないんだけど、あと・・・たのんだよぉ~おやすみぃ~~~」
そういうと直哉は手をヒラヒラして、フラフラ右に左に千鳥足で歩きながら母屋に帰って行った
あんな状態で二人で帰ってこれただけでもすごい
「まぁ!北斗さん、沢山飲んだのね!」
北斗は神妙にうなずいた
「しょうなんだ」
「とりあえず、ベッドに寝てください!」
「しょうだ!ベッドだ! 」
北斗はずいぶん元気よく頷いた、北斗が立とうとしたものの、膝が伸びる前につんのめり、またも玄関の上に転がった
「ううむ~・・・」
自分の脚を見下ろす
「ううむ・・変だな、よしっ・・・ちゅぎこそっ」
すっと立ち上がってドスドス歩いていく
「ほっ!北斗さん!!靴!靴!履いたままですよ!」
慌ててアリスが後を追う、フラフラの北斗が、ソファーにつんのめってそのままボスンッと倒れた
顔を上げ、途方に暮れてアリスをうっとり見つめた
「俺のエンジェル・・・・今夜もとてもきれいだにゃぁ・・ 」
ふにゃぁ~・・と北斗が笑った、途端にアリスはどきりとした
少しバカッぽいがこんな大男が、子供のようにアリスを見て、笑っているのにときめいた
「・・・・このはにゃが好きなんだ・・・ 」
北斗は呟いてから、どれほど好きかを行動で示そうとした、みっつに見えるアリスの鼻の真ん中に、ちゅっとキスをした、よかったビンゴだ
そのくすぐったさにアリスの唇が広がってほころぶのを感じた
「やめて 」
くすくす笑いながら言う
「小さくて・・丸い・・・どうしてこれでちゃんと息が出来るのか不思議だ」
「北斗さん!」
アリスは声をあげた
「それじゃ鼻ぺちゃで、ひどい顔みたいじゃない」
「それが魅力的なんだ」
「ひねくれてるわ」
「それでけっこう」
アリスは顔をしかめながら、どういうわけかおかしくて笑い声をあげた
「間違いなく、あなたは女性の美しさの基準を知らないんだわ」
北斗はとろんとした目で眉を釣りあげた
「もはやきみを基準にしかかんがえられにゃい」
北斗はもう一度自分の体を立たせようと試みたが、同じ結果に終わった
「手足がちゃんと、うごかにゃいみたいにゃんだ・・・」
困った風に北斗が酔って真っ赤な顔をして言う
「ちゃんと動いていないのは北斗さんの頭ですよ!もう!ほらっ!靴を脱いでください!」
アリスは酒豪だった豪快な祖父のおかげで、酔っぱらいの扱いには少しは覚えがあった
酔いを醒まさせるには眠らせなければならず、他に策はない
おそらくは当然の報いとして、目覚めた時には猛烈な頭痛に苦しみ、酒は飲み過ぎると有害な飲み物なのだとしっかり思い知らされた頃、二日酔いが完全に抜けるのだ
「じっとしててくださいね」
アリスはそう北斗に指示をして、ブーツを脱がせるためにひざまずいた
つま先を持って北斗のバカでかい凶器のような、ドクターマーチンのブーツを引っ張っても、足にぴったり張り付いてびくともしない
「これどうやって脱がせるの?」
うんうん言いながら、今度は踵をつかんでなんとか引き抜いた、脱げた勢いでアリスは体ごと後ろにひっくり返った
そしてもう片方も渾身の力を込めて、うんうん引き抜くと、同じようにひっくり返った
「まったくもう、どうしてこんなに飲んでこなければいけないわけ?」
ブツブツ言いながら、ずっしりと重い両脚をソファーに乗せた、寝室から上掛け布団を持ってきて、北斗に被せた
「よく眠ってね あなた 」
ちゅっとおでこにキスをして耳元で囁いた、けれども彼から離れようとした時に、彼の腕がさっと伸びてきてアリスに巻き付いた
「いっちゃダメだ 」
途端にアリスは北斗の怪力で、腕の中にすっぽり収められた