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yoichi side
昔々、アルファとオメガが居ました。
そんな言葉から2人が出会って恋に落ち最後には結ばれてハッピーエンド。
【見本のようなストーリー】というか筋書き。
そんなの現実とは違っておとぎ話は単純で
[休み時間]
「凛!ニュース見たか?」
「見てねえ」
「オメガがアルファを襲った事件。やべぇよな」
「お前も気をつけろよ」
「…俺はそもそもオメガ嫌いだから」
(…へぇ凛ってオメガも嫌いなんだな)
なんて思ったが
それを聞いた後、俺はオメガ性で有ることが発覚した。
「…俺はそもそもオメガ嫌いだから」
単純なおとぎ話が
ひどく羨ましかった。
「起きたか」
目を覚ますと目の前にはドアップで写った凛の顔。
ドキッとはしたが凛には言いたくなかった。多分バカにされるから。
「凛…」
「お前途中でオチたから、処理はやっといた。」
「体…痛くねえか?」
ガシッ
「!?」
「なんで噛んだんだよ?!」
「わかってて噛んだだろ、俺が、、、おれがオメガだって!!!わかってて!!」
「当たり前だろ」
「そしたら番になれる」
「番になったらオメガに襲われることもなくなるし、お前も知らないアルファに怯えなくて済む。」
「そんなことのために…?」
「そんなこと?大事なことだろ」
「___解消」
「あ?」
「そんな理由で番になっても互いのためにならない」
「番を解消するべきだ」
「…」
「番を解消したオメガがどうなるのか知ってんのか?」
「知ってる。」
「なら分かるだろ?お前…世一をそういう目に遭わせたくない」
「だからって一時の衝動で番になっても…」
「違う!!ガシッ」
「俺はちゃんとお前を番にしたかったから項を噛んだ!!」
「なあ、俺がお前に望むこと何でもしてやるから」
それは
「だから」
俺が凛にとって一番都合のいいオメガだからじゃないのか
「俺から離れんな」
「嫌だ」
凛を傷つけないオメガなら
「お前は」
「ニュースで聞いたことと同じことをしているんだぞ」
俺じゃなくたっていいのに。
[病院]
「結構深く噛まれていますね」
「これくらいの深さだと番の契約は成立していると見たほうが良いですね」
「…そうですよね、」
「君が尋ねた番の解消する方法ですが…」
「オメガが主体となる番の契約解除方法はまだ確立されていません。」
「アルファに投薬をして干渉を薄めるという方法もありますが、」
「副作用は現在の比ではなくなるでしょう」
「オメガだけじゃどうしようもない…ってことですよね。」
「残念ながら…」
「でも合意のもとではないでしょう?」
「相手を訴えるということもできますが…」
「いや!それは…」
「法的にどうしてほしいとか、そういうのじゃないんです。」
「俺はただ番を解消したいだけなんです…あいつのためにも…」
「君は」
「自分を傷つけた相手のために番を解消したいのですか?」
「アルファにとって番契約は不可侵であり、番を得ようとするその欲求は本能に基づきます。」
「裏を返せば衝動的な契約だからこそ、根底には好意がかならずある。」
「だから、もし君も相手のことを___…」
「本当は」
「こんな形でも番になれて喜んでいる自分がいるんです。」
「あいつの感情は、第2性に引っ張られているだけなのに」
「偶然自分がオメガであいつが一番辛い時に」
「近くにいたから生まれた刷り込みみたいな感情だって」
「あいつもいつか必ず気づきます。」
「ですが…それを知りながら番を続けるのは苦しいです。」
「いっそおとぎ話くらい単純だったら良かったんですけど」
「おとぎ話?」
「オメガとアルファが出会って無条件に幸せになる。そんなよくある夢物語です。」
「潔君…」
「そろそろ失礼します。ガタッ」
「これから登校ですか?」
「はい」
「流石に何日も休めないので」
「…ではいつも通り抑制剤と遮断剤を出しておきますね」
「それから」
「気持ちが落ち着いたら相手の方ときちんと話し合いをしなさい」
「はい…」
パタンっ
「ふぅ…やれやれ難儀な子だなぁ」
「おとぎ話か…」