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本当に1000超えた…、なんだか嬉しいです有難う御座います☺️

深夜なので出しても誰も見ないと思いますが有言実行主義なので出します👍

♡してくれたかた指大丈夫ですか…⁉︎本当に有難う御座いますね🫣💕





「中也様、朝ですよ」


目が覚めた10分後に、扉越しに声がかかった。

聞き慣れない声に誰だ、と警戒したが無遠慮に入ってきたのを見て思い出した。

嗚呼、あの無愛想なやつか。


「起きてるんですね、おはようございます」


何処か棒読みにも聞こえるこの喋り方は昨日からずっとだ。


「ノックぐらいしろや…」


女なんだし、異性の部屋に入ることを躊躇しねェのな。

そんな心のツッコミが聞こえてか、太宰はゆっくりと中也を視界にとらえる。


「別に仕事なので気にしませんし、ノックは忘れてました」

「おうそうかよ礼儀がねェな手前は。」


ぴょんと跳ねた毛先を手櫛で整えながらベットから下りる。


「てかそれやめねェか」

「…ノックを?」

「抑も手前はやってねェだろ、ノック」


態となのか、天然なのか。何処か分かり切ったかのような瞳を見れば態とか、と思えてくる。


「敬語だよ。手前、絶対ェそれが素じゃねェだろ」

「……バレた?」

「愛想は普段通りにすンなら、喋り方も普段通りにしろよ」


違和感半端ねェぞ、と付け加える。

すると、う~ん、と太宰が唸った。


「ならそうするよ、中也…」

「こればかりは対応早ェなおい。」

「だって辛かったのだもの。まさかバレてるとはね。」

「そりゃ、あンなに不自然だったらそうだろ」

「いや?割と僕の変装はどんな一流の目利きでも通過できるのだよ」

「ほ~んそうかよ。だったら俺はその一流の目利きに勝ったつう訳だな」


急にペラペラと喋り出す太宰を放って、今日は何を読もうかと本棚からピックアップしようと思った時だった。


「ン…?僕???」

「…もしかしてそこ迄はわかってなかった…?」


太宰は少し焦ったように眉を顰めて確認する。そこ迄、って、なんのことだ…???


「最悪っ…また森さんに怒られちゃう…」

「…なァ、そこ迄って、どういう…」


太宰は涙目になりながらスカートの裾を持ち上げ、軽く捲った。

一見、女性の白く透き通ったようは美脚…のように見えたが、若干身体つきが違うことに気づく。


「マジマジ見ないでよ変態…」

「…通報する前に聞くが、女装が趣味…?」

「な訳ないでしょ⁉︎誰が好き好んでこンな事を…」

「じゃあンでだよ?」


太宰が本当に嫌悪の目を向けて否定してきたので、じゃあなんで、と顔を顰める。


「…仕事、だから…」

「…それは、昨日言ってた大事なこと、と関係あンのかよ」

「あったとしても、言う訳ないでしょ」


ふん、と太宰は鼻を鳴らして流れ込んできた後ろ髪をふわっと払った。

声も低くはないし、見た目も華奢だし…言われる前はガチの女かと思っていたんだが…。


「なに、そンなにジロジロみて。僕の裸でも興味あるのかい?」


ちゅ、と投げキッスを飛ばしてくる太宰を、何故か無性に殴りたくなった。

ググッ…と手を押さえて、ニコニコ笑顔で答える。


「ねェわ莫迦、殺すぞ」

「口悪…」

「今日は俺と手前しかこの屋敷にいねェんだ。変な事すンなよ」

「中也こそ。」


俺が何をしようってンだ…。


「わかったンなら下がれ 」

「は~い」


太宰は、呑気な返事を捨てそそくさと出ていった。昨日よりか仲良くなった気がする。と言っても、仲良くなりたかった訳でないのだが、昨日より断然、太宰はバリエーション豊かに表情を見せて、沢山喋ってくれるようになったのだ。


「…まァ、話し相手くらいには、なったらいいな…」


今まで持ってはいけないと思った、護衛への淡い期待が、微かに実っていたのであった。






「っ…」


部屋から出た瞬間、じわりと涙が滲んだ。

彼から自分と僕以外、今日は誰もいない、と聞かされていたからなのか、無理をしたからなのか。

原因は不明だが疲れてしまった。ここで泣いてしまってはダメだ。そう思い控室に戻ることにした。控室にある、鏡を見てウイッグが少しズレかけてたことに気づく。


「…いつから、かな…」


微かに見える白髪にうんざりする。なンでこんなにも見た目が特徴的なのだろうか。

カラコンを外せば、今は橙色のこの瞳も、エメラルドグリーンに移り変わる。


「…きもちわる…」


吐き気を堪えながら、ウイッグを治す。なるべく鏡は見ないようにして、白髪をすべて中に入れ込む。自分の容姿が、悉く嫌いなのだ。

女装というのは嫌であったが、ウイッグ、カラコン。そう言った自分の見た目を変える道具には少しだけ興味があった。実際、つけてみれば違う自分が持てた気がしたのだ。自分を好きになれて、言葉だって構わず発せられる。頭がくるくると回って、うまく適応できる。誰にも、文句を言われない。だから譲歩して、この任務を森から引き受けた。だが結局、中身は同じなのだ。心細くなったり嫌になってしまったら泣きそうになる。でもこの見た目だったら泣けない。新しい自分を持てたと言う錯覚が、消えそうになるから。だからどうにか明るく振る舞えた。


「…無理だよ…僕が、でき、できる訳、ない…」


じわりとこぼれ落ちそうになる涙を服の裾で拭う。昔から泣き虫で、何事にも無頓着で、つくづく愛想がないと言われる。でもそれは弱い自分を隠すため、仕方なくやっていたことだった。


「こ、言葉だって、う、うまく喋れない、し…」


鏡に向かってもこうなのだ。そんな自分を見せたら、どう嘲笑されるのか。考えただけでも身体が震えてしまった。


「…吐きそ…」


うぷ、と口元を両手で押さえると、鏡の中の自分と目があった。

嗚呼、駄目だ。茶髪の髪、橙色の瞳。僕が欲しかったものじゃないか。望んでいたものを穢すなンて、しちゃ駄目だ。喉元まできた胃液をどうにか飲み込んで、ひりひりと痛む喉を水で潤す。


「そうだよ、今の僕はこンなに可愛いんだから。泣くことなンてない!」


自分に言い聞かせるように鏡に向かってそう言い直しては、にこっと微笑む。

言い終わった数秒後にコンコンとドアが数回ノックされた。


「はぁ~い」

「うおっ…開けンの早すぎだろ」


予想通り、中也がいた。容姿は整っているし、綺麗な黒髪が羨ましい。強いて言えば、赤い瞳が気になるくらいだ。でも、僕だって人のことを言えないし、容姿を莫迦にされるのは辛い。本人はそれを誇りに思ってるかもしれないが、僕は同情的な視線で中也を見た。


「何か用事?」

「手前こっちに住み込みしてンだよな」

「まァ、昨日からだけど」


何か言いづらそうな様子を見て、面倒臭いことが起きたのだと察する。


「早く言ってよ」

「…風呂までついてきてくれねェか」

「……は?」


これは、素の僕の反応。思わず目をぱちくりと見開いて凝視してしまった。気まずそうに赤い瞳は左へ右へと動く。


「そ、そんなにお坊ちゃん、なの?幾らなンでも、それは 」


驚きのあまり言葉が辿々しくなってしまった。直さないと。

こほん、と咳払いをして言葉を続ける。


「それは、流石に、じゃない?」

「違うンだわ。別にお手伝いなくても入れるし、ンな駄目人間じゃねェ」


誤解すんな、と僕を睨みつけてきた。じゃあどう言うことだ、と視線で訴える。


「さっきも言ったろ?今日は俺と手前しかいねェ。ンでもう昼だ」

「…いつの間に時間が経ってたのだね」


泣いた後、もしかして自分は寝てしまっていたのだろうか、首を傾げて思い出そうとするも朧げで殆ど記憶がない。わんちゃん、あるかも。


「手前が出てこないお陰で、逆に今日だけは縛られずに過ごせたわ」

「…ン~…まァ、中也がいいなら言いけど…」

「そンでさっきの続きだが、風呂入りてェんだけど護衛つけろって言うンだよ」

「…誰が?」

「親」

「うえ…態々行動を伝えないといけないのかい?面倒だね…」

「いや、まァそうでもねェけどな。俺が風呂入ろうとしてたら偶然かかってきたンだよ」

「偶然…」

「偶に掛かってくんだよな。多分今日は新しい護衛の感想を聞くためだったと思うが」

「?なンでそんなに曖昧なのさ」

「色々言われて面倒だったから切った」


うわぁ、我儘坊ちゃん。表情に出ていたのか中也がかすかに顔を顰めた。


「別に混浴じゃねェから安心しろ」


中也がそう言い終わる前にポケットから通知音が響いた。どうやら自分からのようだ。

しかしこの携帯は業務用連絡のものだ。…と言うことはまさか…。


「…さいあく…」

「…ンだよ」

「自分で見れば」


そう言って携帯の画面を中也に見せつけると、中也はまじかよ…とポツリと呟いた。

内容はこうだ。中也の風呂は同行し、きちんと安全を確保すること、部屋に1人でいさせないこと、食事は毒などがないかチェックすること、だった。


「君の両親過保護すぎないかい…」

「…過保護っつうか、俺が死んだら困るだけだろ」

「…はぁ? 」

「じゃなきゃ、こンな屋敷に閉じ込めてるわけねェだろ」


それっきり目を伏せて黙ってしまった中也に呆れたような視線を向ける。

そんな訳ないじゃない。そう言おうと口を開くが、言葉が出てこなかった。

なにしろ、太宰だって親の愛というものを知らなかったからだ。

それに本当かもしれない。ポートマフィアからは「護衛が死ぬ原因を調べよ」とあった。

そして、一番警戒しなければいけない人物が中原中也であることも事前に伝えられていた。


「……早く行くよ」

「……ン」


親の愛をしれない少年は何処か不機嫌にそう返事した。太宰もそれを可哀想だな、と感じつつ自分も例外ではない、と思い出さされたことが気に食わなかった。風呂にでも入ったら、お互い気持ちがサッパリするかもしれない。そう淡い期待を込めて、太宰は中也の手を握って浴場へ引っ張って行ったのであった。



割と書けそう。割と展開思い切ってバンバン進めてるけど、あくまで息抜きですので汗 ←こら


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