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ワインを飲み終わって、「そろそろ寝ようか」と、彼が口にする。
「着替えは、どうしようか? 僕のトレーナーとかでもいいか」
「はい、それで……」彼の服を着ることに、くすぐったさを感じる。
出された服に袖を通すと、身長のあるサイズ感に、だいぶ手の先が余った。
「さすがに、ぶかぶかだな。でもそこが、愛らしくていいな。ほら僕が、やってあげるから」
だらんと垂れ下がった袖口が、彼の手でまくり上げられると、それだけで胸がドキドキと高鳴った。
「顔、洗ってきますね……えーっとその、すっぴんは大丈夫ですか?」
「聞くまでもないだろう? 僕も顔を洗うから、一緒に洗面台に行こう」
恐る恐る尋ねてみたけれど、彼の返事に胸を撫で下ろすのと同時に、まさに聞くまでもなかったのかもと思うと、ふふっと笑みがこぼれた。
私が洗顔をする横で、彼が掛けているメガネをコトリと洗面台に置いた。たったそれだけの仕草に、目が離せなくなってしまう。
……掛けているメガネを外す瞬間って、なんだか無防備でちょっとすっぴんを見ているみたいで……って、私ったら何を考えて……。
勝手に赤らむ顔をひた隠して、バシャバシャとお湯をかけていると、
「……見とれたのか? 僕に」
彼がタオルで顔を拭きながら、フッと笑いかけてきて、
その水もしたたるいい男っぷりは反則ですからと、思わずにはいられなかった……。