──二人でベッドに横になると、胸の鼓動が彼にも聴こえるんじゃないかと思うくらいに高まった。
「……緊張、してるのか?」
コクっと小さく頷くと、私の手が取られ、
「僕もだ、ほら」
と、彼の胸に押し当てられた。
付けた手の平から、早まる心臓の音が伝わってくる。
「……チーフも、緊張してるだなんて……」
彼は、いつだってクールで、落ち着いているようにも感じていた。
「……君と一緒にいたら、僕だってドキドキする。……好きなんだから、当たり前だろう?」
『好きなんだから、当たり前』という言葉が胸にじんと沁み入って、彼も私と同じ思いでいてくれることに、たまらない幸せに満たされる。
「もっと、そばにおいで」
彼の胸にギュッと抱き寄せられる。
「……美都、君の匂いがする」
髪に顔がうずめられ、低く密やかに囁きかけられる。
「あなたの香りも……」
常用しているのだろう染み付いた彼のコロンの香りが、仄かに鼻先に漂う。
チュッと音を立てて耳たぶが啄まれると、胸の高鳴りがピークに達した。
「顔を上げて……僕に、キスしてくれないか」
うつむいていた顔を彼に向けると、高ぶる胸を片手で押さえ、目の前の唇にそっと口づけた。
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