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本気にさせたい恋

101 - 第101話  信じ合っていれば②

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2024年09月26日

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そして透子は観念したのかそれ以上何も言わず、オレに言われたまま社長室へと入る。


「ねぇ。とりあえず手放して・・」


そして、冷静に透子が呟く。

それを聞いてゆっくり透子の手を放す。


「どしたの・・・? 樹・・」


なんとなく、透子のその第一声でこの話題に自分から触れる気はないのだと感じる。


「そっちこそ・・・。オレに話あるんじゃない?」


なら、オレからその話に持って行くしかないか。


「何が? 何もないよ。変なの。せっかく久々に会えたのに、やだな~。こんな雰囲気」


明らかに無理して明るく振る舞って笑って誤魔化す透子。


こんな時まで透子は素直に気持ちをぶちまけてくれることもないんだな・・・。

それどころか不安を隠して無理に笑わせてしまってることに情けなくて苦しくなる。


「透子、いいよ。無理しないで」


透子の嘘なんてすぐにわかるのに。

オレの前でそんな顔させたくない。


「何、が? 別に全然無理なんてしてないよ?」


なのに、まだ透子は素直にならずに誤魔化し続ける。


もう気付いてるくせに、なんで透子は聞かないの?

どうして知らないフリをするの?


「聞いたんでしょ?」

「なんの、こと?」

「昨日、修さんから電話もらって話聞いた」


ここまで言えばもうわかるでしょ?


「そっか。修ちゃんから聞いたんだ」


するとようやく受け入れる透子。

だけど、無理して明るく振る舞うところは変わらなくて。


「だから、昨日それ聞いて夜中だけど、いてもたってもいられなくてすぐ電話した」


ホントなら、あの時すぐにちゃんと直接会って話したかった。

ちゃんと透子にオレの気持ちを伝えたかった。

ちゃんと透子の気持ちを聞きたかった。


なのに・・・。


「おめ、でとう! 婚約なんて全然知らなかったからビックリしちゃった!それならそうで言ってくれたら、最初から邪魔したりなんてしないのに~」


は・・・?

何言ってんの・・透子・・?


「それ本気で言ってんの・・?」



思わずショックで返す言葉も冷たくなる。


まさかそんな言葉が出てくるなんて思わなかった。

透子が本気で言ってるとは思えないけど、でもそんな言葉透子から聞きたくなかった。

すべての透子のその言葉がオレの心を突き刺す。

好きな人にこんなことを言われる悲しさと、こんなことを言わせてしまった悔しさで、思わず言葉を失ってしまう。


「だって、私邪魔でしょ・・・。誰がどこから聞いても私の存在そもそもおかしいし。婚約者がいるなら付き合ったりなんてしなかったよ・・・」


そして少しずつ透子の本音が漏れだす。


だけど、オレが聞きたいのはそんな言葉じゃなくて・・・。


「邪魔なワケないし。オレが好きになって透子が付き合ってくれた、ただそれだけ」

「それだけなワケないじゃん・・。てか、なんでそのこと言ってくれなかったの・・?」


オレの言葉に何一つ嘘偽りはないのに、透子はそれだけじゃないと信じてくれない。

オレはただ透子だけが好きで。

好きでたまらなかった人に好きになってもらいたかった。

自分のモノにしたかった。

ただそれだけなのに。


「言う必要ないって思ったから」


だからそれ以外何もない。

麻弥の存在は勝手に親父たちが言ってたことで、実際あってないようなものだったから。


「は・・? 何それ?ズルくない? 結婚するまでの都合いい関係ってやつ? それ酷過ぎるよ・・・」

「なんでそうなんの? オレそんなこと一言も言ってないよね? 透子とのことそんな風に一度も思ったことない」

「どうだか・・・」


なんでこうなるわけ・・・。

なんで透子とこんな言い合いしないといけないんだよ・・・。


透子は勝手に誤解してどんどん違う方向へ自分で考えて苦しんでる。

だけど、透子のその一つ一つの言葉にオレへの想いが感じられる。


「言う必要ないって思ったのは、透子に余計な心配かけたくなかったから」


言っても言わなくても結局透子を悲しませてしまって、結果何が正解だったかもわからないけど。

だけど、オレの中では、こうなる前に、透子にそれが伝わる前に、そうならないように、準備をしていたから。

だから、出来ることなら、透子にそんな不安や心配をさせたくなかった。


「余計な心配って、婚約するのにそれ矛盾してない!?」

「結婚はしない。だから婚約もしない」

「・・・え? どういうこと?」

「オレは元々そのつもりない」

「だって麻弥ちゃんが婚約するって・・」

「あぁ・・。それは親たちが勝手に決めたことで、親と麻弥が勝手に言ってるだけ」

「勝手に・・って。そんなちゃんともう決められた大事なこと変えられなくない?」

「オレは元々ずっと麻弥とは結婚はしないって言ってある。だけど最近親父が倒れて今みたいな状況になったから、親たちも急に焦り出して話を勝手に進め始めただけだから」

「なら余計そんな状況ならそうなっちゃうんじゃないの?」

「オレが好きなのは透子だけだから。透子以外誰も考えられないし」

「だからって・・・。もうそんな問題じゃ済まないでしょ・・・」

「透子は心配しなくていい。変わらずオレを信じて好きでいてくれればそれでいい」

「それでいいって・・・。婚約の話まで出てるのに今までと同じようにって無理あるよ・・」

「なら、透子はオレが他の人と結婚しても平気なんだ?」

「平気なワケないじゃん! ・・・でも、もうどうしていいかわかんない」

「透子は何もしなくていい。変わらずそのままでいてくれれば。但し、絶対何があってもオレを信じて好きでいること。そしたら絶対大丈夫だから」


最初はもうオレに嫌気がさして離れたいって思ってるのかと不安だった。

だけど、オレに投げかける言葉一つ一つにまだオレへの想いがあるような感じがして。


だからオレはその透子の気持ちを引き止めたい。

まだオレを好きでいてくれるなら。

ただ信じてほしい。



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