第三話:予感の嵐
数日後、町に不穏な風が吹き始める。遠くの海から黒い雲がゆっくりと近づき、波が荒くなってきた。紗夜は心配しながら灯台守のおばあさんを訪ね、「あの夜の嵐と似ている」と話す。おばあさんは、過去にあったその大嵐の話を静かに語り出す。父が海へ出た晩、その嵐は予想以上にひどく、灯台の光さえも揺らいだという。
一方、蓮は絵の中に荒れた海のモチーフを入れ始める。スケッチブックには波が高くうねり、雲が低く垂れ込めている。彼の筆運びからは緊張感が伝わり、手が震えているようにも感じられる。
紗夜は再び灯台へ夜登る。彼女はランタンを掲げ、風の強さに耐えながらも、光を絶やさないようにする。それを遠くから見守っていた蓮は、彼女の不安と覚悟を感じ取り、一緒に灯台へ登る決意を固める。