第四話:記憶の再来
夜、嵐が最高潮に達する。激しい風と雨、波が灯台の基部を打ちつける音が響き渡る。紗夜は必死にランタンを掲げて灯を守ろうとするが、灯台の明かりは揺らぎ、不安が彼女を襲う。
蓮は彼女を支えつつ、懐から自分のランタンを取り出し、二人で並んで光を掲げる。その瞬間、蓮の頭にかすかな記憶がもどってくる:幼い日の自分、遠くに見える波、そして誰かを求めて叫んだ声。彼の視線の先には灯台の姿があるが、それがただの建物以上の意味を持つように感じられる。
紗夜は蓮の動揺に気づき、「大丈夫?」と声をかけるが、彼は答えられずに目をつぶる。波風の中で揺れるランタンの光は、まるで記憶のかけらのようにちらつく。
そして、海の遠くに小さな船影が見える。紗夜は息を呑み、蓮も、かすかな希望と恐怖が入り混じった表情を浮かべる。