『国立雄英高等学校』
それは、数多くの名立たるヒーロー達を輩出するエリート高校である。
さらに偉大なヒーローになるためには雄英高校の卒業が絶対条件と言われるほどの学校。
特にヒーロー科の人気が非常に高く、入試倍率は300を超える。
そんな雄英高校は入学試験の日で、今まさに”模擬市街地演習”が行われようとしていた。
「―――ハイ!スタート!!」と言う試験説明を行っていたプレゼント・マイクの合図が突然辺りに響く。
しかし、誰も動くことはなく呆然と立ち止まり緩やかな風だけが吹く。
「えっ…?」
既に始まったことに気づかない受験生達は乾いた声を出す。
「どうしたぁ!?実戦じゃカウントなんざねぇんだよ。走れ走れぇ!!賽は投げられてんぞ!?」
もう試験は始まっている、そう伝えられた受験生は急いで足を動かさせる。
そんな様子をいつの間にか高い高いビルの上から静かに見下ろしている女がいた。
『個性発動 デビル』
女がそう呟いた瞬間、太陽の光にあたり輝いていた美しい黒髪から角が生え、そして、背中からは悪魔のような黒い翼が生えてきた。
女は、サングラスを外しニヤリと笑いながら呟く。
『…….ダークカッター』
その瞬間、今まで道を走っていた受験生の目の前に黒い刃のようなものが降り注ぐ。そして、建物や地面が刃に当たり壊されていく。地に落ちた石や、仮想敵などといった、彼女の目に映った何もかものモノが。
「ちょ、どうなってんだ!?」
「うわああぁぁ!!」
「あ、やりすぎた。」
急に彼女は空に向かって上げていた手を降ろし、指パッチンをした。すると、見る見るうちに慌てふためいた同じ会場の受験生の目の前に現れた黒い刃は消え去った。
だがしかし、仮想敵だけは違った。
既に何十もの仮想敵は躊躇なく切り刻まれ壊されていた。
―――唖然、圧巻、静寂、尊敬、動揺。
色々な感情が一斉に会場内を支配する中、それを起こした張本人は雑魚じゃんと口にしながら笑っていた。
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