テラーノベル
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デビルズパレスから馬車で3時間ほど先の森を挟んだ隣町へ依頼で行くことになった。
一泊で戻る予定のため、🌼はパレスで留守番してもらうことになったのだった。
しかし、崖崩れで道路が塞がれてしまい馬車ではパレスまで戻ることができなくなってしまった。
瓦礫の撤去には数日かかるらしく、🌸と執事たちは隣町に留まることになる。
その事を屋敷の執事達に伝えなくてはいけないのと🌼の体調が心配なのとで、ルカスが伝令としてパレスに馬と迂回路で戻ることになった。
🌸『気を付けて・・・🌼をよろしくね、ルカス』
「はい、勿論です。
・・・じゃあベリアン、着いたら鳩を飛ばすから返事をよろしくね」
「はい、承知しました」
ルカスはベリアンに鳩を飛ばすことを伝えると馬に跨り、急いでパレスに戻っていった。
「主様、宿に戻りましょうか?それかお散歩でも?」
🌸『ううん・・・宿に戻るよ。
🌼が居なくて、何だか落ち着かないの・・・』
「・・・そうですよね」
ベリアンは気遣わしげに🌸の様子を見て、そっと手を取りエスコートしつつ宿に向かった。
🌸は宿に戻るとルカスからの伝書鳩を待って窓から離れようとしなかった。
パレスに残っていた執事たち(ボスキ、ナック、バスティン、ラト、ユーハン、シロ)は、慣れない🌼の世話に苦労していた。
ボスキ、ナック、シロは抱っこしたがらず、ラトには危なっかしくて抱っこさせられず(本人は抱っこする気満々だった)、バスティンとユーハンでひたすら抱っこし、ボスキとナックにミルクやおむつの用意を任せていた。
なかなか泣き止まなかった🌼を何とか寝かしつけ、日が傾いてから漸く夕飯の支度をしようとしていたところでルカスが主達が戻れなくなったことを知らせに来た。
「・・・ということは、あと数日この状況が続くと?」
ユーハンの頬が引き攣っている。
「腹が減った・・・」
ずっと抱っこしていて食事を摂る時間も取れなかったバスティンが今にも倒れそうな様子で呟く。
「マジかよ・・・」
「困りましたね・・・」
サポートに回っていたボスキとナックも心配そうに眉を寄せた。
「そうなんですね・・・ところでどうして私には抱っこさせてくれないのでしょうか?」
ラトはまだ抱っこできていないのが不満らしい。
「・・・泣き声が止まないのは困る・・・」
シロは作業に集中できないと不服そうだ。
「そうは言ってもねぇ・・・こればっかりは我々ではどうにもならないから、頑張ろう?
私もできる限りのことはするから」
ルカスの言葉に皆不安そうに頷いた。
とりあえず簡単な夕飯を作って食べながら今後の役割分担を話し合った。
夜は疲弊しているユーハンとバスティンを休ませ、ルカスとラトで🌼の面倒を見ることになった。
また、ナックも夜通しサポートに入ると名乗りを上げた。
シロはあまり乗り気ではなさそうだったが、買い物や料理なら手伝うと言ったので任せることにした。
夕飯を食べ終わると昼間担当と夜間担当が交代で風呂に入り、昼間担当のユーハン、バスティン、ボスキ、シロは別邸のベッドを使って休むことにした。
夜間担当のルカス、ラト、ナックは主の部屋で🌼を寝かしつけ、ミルクやおむつは随時対応することにした。
「・・・ラト君、抱っこが上手だね」
子供があまり得意ではないルカスと抱っこできないナックに代わり、ラトは慣れた手つきで🌼を抱っこしてあやしていた。
「私にも弟が居ましたから・・・いえ、弟が居ますから」
フルーレを実の弟のように思っているラトを微笑ましく思いつつ、ルカスはベリアンからの返信に目を通していた。
🌸は🌼のことを酷く心配していて眠れそうにないこと、食事を楽しむ余裕もなく量も少ないこと、執事たちも🌸のことが心配で落ち着かないこと、ミヤジが最悪睡眠薬を飲ませようと考えていること、などなど・・・
どちらも別の大変さがあるなぁと考えながら、こちらは何とか🌼の世話ができているので心配しなくて大丈夫だと綴り、再度鳩を飛ばした。
「ルカスさん、🌼様が眠りました」
ラトの声で顔を上げると、ベビーベッドですやすやと眠っている🌼と手持ち無沙汰にしているラトの姿があった。
ルカスはラトに礼を言うと、少し休むことを提案した。
「どう?ちょっとお茶でも飲まないかい?」
「良いですね、では用意してきます」
「いや、私が淹れるよ。眠気覚ましに良い茶葉があるんだ」
「そうなのですね。では、お願いします」
ルカスが厨房で湯を沸かしていると、見回りをしていたナックと会った。
「おや、ルカスさん。休憩ですか?」
「うん、🌼様が眠ってしまったからね」
「そうでしたか」
「そうだ、ナック君もお茶はどうかな?」
「ありがとうございます。見回りが終わり次第頂きに行きますね」
ナックは嬉しそうに笑って庭に出ていった。
ルカスは熱湯でカップを温め、茶葉を蒸らしながら主の部屋に向かった。
「・・・いい香りですね」
「そうでしょう?パウンドケーキにもすごく合うん
だ♪」
ルカスは茶葉を蒸らす間にストックしていたパウンドケーキを持ってきてご機嫌な様子で椅子に座った。
ラトは好物とお茶を一緒に食べると美味しそうだと思い、庭からパセリを採ってきた。
「・・・パセリがお茶請けなんだ・・・」
「パセリは美味しいので。くふふ・・・」
何となく噛み合っていないような会話をしながらカップに口を付けた。
濃いめに淹れた紅茶はやはりミルクティーに限る、とルカスはパウンドケーキを食べながら思った。
ラトはパセリをもぐもぐと食べる合間に砂糖だけを入れた紅茶を飲んでいた。
もしかしたら、ミルクとパセリはあまり相性が良くないのかも知れない。
少し薄めに淹れればよかったかも、とルカスが若干反省していると見回りを終えたナックが部屋を訪ねてきた。
「お誘いありがとうございます」
「いえいえ♪さあ、召し上がれ」
ナックはオランジェットを持参し、ストレートで紅茶を飲み始めた。
次は薄めに淹れてこようとルカスはひっそりと考えていた。
しばらくするとおむつが濡れてしまったらしく、🌼が泣き始めた。
ラトがおむつを変えなくては、と言うとナックが素早くおむつを差し出した。
ルカスが丁寧に🌼のおしりを拭いて、手早くおむつを履かせた。
医者というだけあって、こういった作業は上手だ。
ラトは鮮やかな手さばきに感嘆の声を漏らし、ナックはゴミをササッと纏めて捨てに行った。
その後は何度かミルクやおむつで泣いた🌼の世話をして寝かしつけ、無事に交代の時間を迎えることができた。
先に朝食を済ませた昼間担当に🌼を託して、夜間担当は朝食(気分的には夜食)を食べて別邸で夕飯まで休憩をすることになっている。
昼間担当の執事たちは夜しっかり睡眠を取っているので元気そうだ。
夜間担当がしんどくならないよう、昼間に思い切り遊ばせようと頷きあう。
シロは街まで食料の買い出しに出かけるので、食事の支度をするバスティンが手を離せない間はユーハンが抱っこであやし、ユーハンが風呂の支度をしている間はバスティンが抱っこをすることになった。
ボスキは2人のサポートと🌼との遊び係である。
パレスは上手に役割分担をして、何とか主達が戻るまで🌼の世話を続けられそうであった。
一方、🌼が居なくて落ち着かない🌸は若干体調を崩してしまっていた。
今まで🌼のためにと頑張っていたが、🌼と引き離されてしまったため張り詰めていたモノが切れてしまったのだろう。
熱でぼんやりしている🌸にロノとハナマルが心配そうにお粥を持ってきた。
🌸はありがとう、と皿を受け取ったが食べる様子がない。
「・・・食欲、ありませんか?」
🌸『・・・うん、ごめん・・・ちょっとは食べるね・・・』
「・・・無理はしないでくださいね」
「そうそう、戻しちゃったらキツイからな」
🌸『うん・・・』
🌸はゆっくりと粥を食べ始める。
ベリアンとミヤジは日に日に窶れているような🌸を心配そうに見守っていた。
食欲もがっくりと落ち込み、よく眠れていないため、回復するどころかだんだん弱っているように思えてならない。
早く道が復旧してパレスに帰れるようにならなくては、🌸の体力的にパレスに帰れない可能性も出てくる。
「・・・ミヤジさん・・・やはり睡眠薬を飲ませられませんか?」
「しかし、主様がそれを望まれていない・・・🌼様の状況を何時でも知りたいと仰っているからね・・・」
「ですが・・・」
この会話ももう何度目だろうか。
他の執事たちも何時もの元気な姿が嘘のように静かで、無言で🌸の様子を探っていた。
「早く帰りたいね・・・」
「そうっすね・・・」
「だな・・・」
「はい・・・」
「ね〜・・・」
執事たちはただただ道の復旧の知らせを待つことしか出来ず、溜息を吐いていた。
コメント
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えっ、22話めっちゃ胸きゅんと切なさの両方来たんだけど!!😭💕 お留守番組の執事たちの右往左往ぶりが可愛すぎてニヤニヤ止まらんかった〜特にラトが「私には抱っこさせてくれない」って不満げなの、弟いるって設定活きてて好き!!パセリお茶請けにしてる姿も個性的すぎて印象に残った🍀 一方で🌸が体調崩しちゃってるとこは本当に切なくて…離ればなれの寂しさがダブルで来る回だったね。。ルカスの紅茶へのこだわりとか細かい描写もキャラ立ってて良い!早く道が復旧して家族が再会できますようにって祈りながら読んだよ🥺💕
MAKO