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#恋愛
桜空

2,250
そんなある日。
絵美ちゃん、花日、私の三人で、社会で使う大判の地図を教室に運び込んでいる時だった。
巻物になっている大判の地図は、重くて長い。
両端と真ん中に分かれて三人で運んでいたのだけれど、その配置がまずかった。
前を私、真ん中を絵美ちゃん、後ろが花日·····。
どうしても、一番背の低い花日のところに地図の重さがかかってしまう。
「花日ちゃん、位置、変わろうか?」
「ありがと、絵美ちゃん。でもいまさら持ち直すのも大変だから、このままで、いっ、いい·····、くくっ」
息も切れ切れになってしまっている花日。
その時、
「あれ? これ、教室に運ぶの?」
後ろから声をかけてきたのは·····、
「高尾!」
よかった! これで花日と交代して手伝ってもらえる!
私は咄嗟にそう思って、絵美ちゃんの顔を見た。
絵美ちゃんもそう思ったのか、とてもうれしそうな顔をしている。
「これ、教室に運ぶの?」
「うん。そうなんだけど、花日が大変そうで·····」
「綾瀬、オレ、代わるよ」
でも花日は、最後までがんばるつもりらしい。
「だ、大丈夫、これくら·····いっ」
「じゃ、一緒に持つか」
そう言うと、高尾は花日の手に自分の手を重ね、ひょいっと地図を持ち上げた。
·····。
本当に、このふたりは。
こういうことを自然にできちゃうんから·····。
ねぇ?
私は、絵美ちゃんの顔の見た。
絵美ちゃんに「ねぇ?」と心の中で話しかけるつもりだった。
コメント
1件
うわあ…高尾くんの「一緒に持つか」って台詞、自然すぎてずるいですよね。困ってる花日ちゃんに自分の手を重ねる仕草とか、そういうのを特別感なくやっちゃうところが本当にいい…。語り手の「このふたりは」っていう内心のツッコミに、私も思わず「ねぇ?」って頷いちゃいました。絵美ちゃんもうれしそうで、この4人の空気感がたまらないです。