4. ついに
その日の仕事が終わった後、二人はまた一緒に帰ることになった。江口が歩きながらふと入野に話しかける。
江口「ね、今日はどうだった?」
入野「何が?」
入野は無愛想に返すが、心の中では少しだけ気になっていた。江口がどういう意味で「どうだった?」と聞いているのか。
江口「いや、さっきのこと。」
江口は少し照れくさそうに言った。
江口「俺、ちょっと気づいたんだ。自由くんが何かを言ってるとき、俺、反応が遅すぎるなって。」
入野「…うん、まあ。」
入野はその言葉を聞いて、ちょっとだけ顔を伏せた。
江口「だから、もっとちゃんとお前に反応できるようにするよ。」
江口はその言葉を言いながら、入野の顔をちらっと見た。その瞬間、入野は少し驚いたような顔をして振り返った。
入野「お前、なんか変だな。」
江口「何が?」
江口はにっこりと笑って、入野の肩をポンと軽く叩いた。
江口「お前が照れてる顔、見てみたいだけだよ。」
その言葉に入野はまた顔を真っ赤にして、歩調を速めた。
入野「うるさい! 勝手に見てろ!」
でも、江口はそのまま歩き続け、しばらくしてからゆっくりと言った。
江口「お前のこと、もっと知りたいって思ってるんだ。」
その言葉に入野は驚きながらも、何かが心の中で少しだけ温かくなるのを感じた。
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