「ねぇ、拓馬く〜ん!」
あぁ…聞きたくなかった声だ。勿論声の主は真白なんだが…なぜ真白の声を聞きたくなかったかというと、真白は勘違いをしているからだ。僕が嘘の告白をされているのをコソコソつけていたので、僕が本当に告白されたと思っているのだろう。そのうえ、夜桜さんが告白にOKを出したときに声を上げて喜んだ。それも原因で、僕が告白されて本気なんだと思っているんだろう。なんと都合のいい解釈。それでいて真白らしい。僕が普通に人と付き合うわけがない。いや、付き合えるわけがない。相手は心を聞かれ続けるのだ。そんなの真白レベルの変人でも嫌がるだろう。僕は人が嫌がるのを無理に押し付けてやる趣味はない。全く…真白は気楽でいいよな。でも、僕が真白といるのは真白の『心の声』が聞こえないというのも理由だ。
「拓馬くんっ!」
「ん…?」
「もぅ…彼女ができたからってぼーっとしすぎ!」
まずい…また話を聞いてなかった。
「それに…夜桜さんには婚約者が居るのを知らないの?」
急だな…まぁ知ってるけど。僕は素直に言うことにした。
「知ってるよ?」
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