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「兄上、兄上、大変なのだ!!」
食堂で寛いでいると、ハヴァマールが慌ててやってきた。どうしたんだ。
「なにがあった?」
「農地がモンスターに荒らされてしまったのだ。このままでは食料が確保できなくなるのだ……」
「あの辺りはイノシシモンスターも多いからなぁ」
「そう、そのイノシシなのだ。今まではグリンブルスティやセーフリームニルがおったが……最近は『ワイルドボア』という強力なイノシシが出現するようになったのだ」
「ワイルドボア?」
「そやつ、かなり手強いのだ。おかげで作物はズタボロ。これでは収穫に影響が……」
そりゃ一大事だな。ただでさえ住人が三千人以上いるんだ。食料問題は今のところ問題はないけど――畑が荒らされたとなると、今後に影響が出る。
「分かった。ワイルドボアを討伐すっか」
「おぉ! 兄上、動いてくれるのか」
「島の危機だからな。ただ、動かせる人員は少ない」
「そうなのか?」
「ああ、みんな色々用事があってな。俺、ハヴァマールだけだ」
「なんと……けど、兄上がいれば大丈夫なのだ」
スコルを連れて行きたいけど、今日は料理の勉強をしたいといってキッチンに篭もっていた。邪魔をするわけにはいかないな。
「じゃ、二人で行くか」
「分かったのだ!」
ハヴァマールを連れ、城の外へ。
農地を目指した。
* * *
農地へ入ると、農作業をしている者達が絶望的な表情を浮かべていた。
「くそっ、イノシシが!」「これでは作物が育たん」「どうすりゃいいんだ」「食べ物が作れないんじゃ意味ないぞ!」「この島に来たのが間違いだったのか?」「こんなモンスターだらけではなあ」「誰か討伐してくれよ!」「あんなバケモノイノシシをどうやって倒すんだよ」「犠牲者も結構出てるし……」
いかんな。深刻な問題になっているじゃないか。こりゃ、俺がどうにかしないと。
「皆さん、その悩みを俺が解決します」
「あんたは……ラルゴの主様じゃないか!」「マジかよ、自ら出てくるとは」「おい、主様、なんとかしてくれよ!」「このままだと食べるのに困るぞ」「餓死だけはしたくないぞ!!」「イノシシを倒してくれ」「主様、頼むよ!!」
「分かりました。皆さんはそれまで安全地帯の畑をお願いします」
俺はハヴァマールを連れ、奥の畑へ入っていく。
すると、イノシシモンスターがあちらこちらにいた。あの大きいヤツか。結構でかいな……成人男性の三倍はある。
毛むくじゃらで、鋭い牙を持っていた。目つきなんか赤くて怖いな。
[ワイルドボア]
[属性:無]
[種族:動物]
[詳細]
イノシシモンスター。
常に暴走状態で危険。
「兄上、これがワイルドボアの詳細なのだ」
ハヴァマールは、モンスターの情報を見せてくれた。
「常に暴走状態か。そりゃ一般人にしてみれば厄介だな」
「暴走状態……つまり、バーサークしてるので狂暴なのだ」
「なるほどな。さっそく一匹倒してみる」
「兄上なら余裕なのだ! がんばるのだ!」
「おう、ハヴァマールも補助を頼む」
俺はゲイルチュールを召喚して構えた。モンスターを倒すのは久しぶりだな。
超スピードで接近してワイルドボアへ攻撃を仕掛けた。
つるはしの穂先を思いっきり命中させ、ダメージを与えていく。
「――グァ!!」
ワイルドボアは畑の上を転がっていく。意外と防御力が高いらしい。だが、俺の攻撃はここで止まらない。
「サンダーブレイク!!!」
雷を放出し、魔法攻撃を与えていく。
「ピギャアアアアアアアアアア……」
丸焦げになるワイルドボア。周囲のワイルドボアも巻き込んで、結構な数を丸焼きにした。
「おぉ、さすが兄上なのだ!!」
「思ったより楽勝だったな。ていうか、このイノシシ肉食えるんじゃね!?」
「うむ。ワイルドボアの肉は臭みがなくて美味らしいぞ」
「そりゃいいじゃないか。狩りまくって肉パーティだな」
「名案だな! 余も手伝うのだ」
「おう」
ハヴァマールと共にワイルドボアを討伐しまくっていく――!