コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
『』叶
「」葛葉
叶side
うっそだろ、、、最悪。最悪すぎる。
僕は落胆して葛葉に連絡する。
『葛葉、ごめん。仕事増えて今日遅くなりそう、、せっかく出かける約束してたのに本当にごめん葛葉、、遅くなりそうだから先寝てて』
そうLINEを送る。数十秒後、ぴこんと通知音がなりホーム画面に葛葉のLINEが表示される。
「おけ〜だいじょぶ。先寝とくわ〜。仕事頑張って」
そう書いてあった。
・・良かった、そこまで気にしてなさそう。楽しいゲームでも見つけたかな?デートが無くなったのは最悪だけど、とりあえず良かった。仕事片付けよう。
そう、本当はもう帰って葛葉とイルミネーションを見に行くつもりだった、葛葉イルミネーション見たことないんだってさ。僕が綺麗だよって言ったら興味持ったみたい。
まぁそれも行けなくなっちゃったんだけどね、、あーほんとに残念すぎる、、、
葛葉side
ピコン
通知音がなりスマホを見ると叶からLINE。今日のイルミネーションは行けなくなったらしい。
・・そうか、仕方ないな。
頭ではわかりつつも俺はわかりやすく落胆する。
ちょっと行きたかった、、テレビで見たのも綺麗だったし、実際みたらめちゃくちゃ良いって叶が言ってたから、、、
最近2人とも忙しくてあんまり出かけられなかったからな、ちょっと楽しみにしてたとこもあった。
・・・まぁ、しょーがない!ゲームしよ、ゲーム。
(数時間後)
・・叶遅いなぁ。あれから連絡もないしまだ終わんねーんだな、たぶん。
叶は先寝ててっつったけど、別にねむくねーしな。うーん、、、
あ、迎えに行ってみっか、叶のやつ。どうせいる場所はわかるし、暇だし。
ガチャ
さんむっ!!!!寒すぎだろ!びびったぁ〜。
えーと、マフラー、マフラーは、と、、
叶side
『了解です、わかりました!じゃあこれで、遅くまでありがとうございました。』
頭を下げて僕はため息をつく。
・・あーやっと終わった、、、
長すぎんだよ、まじで。
・・葛葉なにしてるかな、寝ててって言ったしもう寝てるかな。起こしたらあれだし、連絡するの止めとくか、、はぁ疲れた、帰ろ。
出入口まで歩き、重いドアを開ける。
ギィッ
『えっ?!?!』
「よっ!!おつかれ〜い」
『葛葉?!なんで?!』
「ん?暇だったから」
『寝ててって言ったのに、、』
「なに?嫌なの?」
『・・嫌なわけないじゃん、びっくりしただけだよ、、葛葉ありがと』
「いやほんとおつかれ、遅すぎるなまじで」
『ほんと遅すぎ。あ、てか葛葉めちゃくちゃ待ったんじゃない?寒くない?』
「さみーのはお前だろ、ほら」
そう言ってマフラーを差し出す葛葉。よく見ると葛葉もマフラーを巻いている。
気づかなかったが、たしかに朝家を出た時よりかなり気温が下がり、吐く息が白い。
『・・ありがと、葛葉』
「いや、風邪ひかれちゃ困るんで」
葛葉から渡されたマフラーを巻く。葛葉がずっと持っていてくれたからか、首にあたる部分がじんわり暖かい気がする。
『・・イルミネーションもう終わっちゃってるよね』
「・・あーさすがにな。行くだけ行ってみる?帰り道だし。」
そう言う葛葉と一緒に少しだけ回り道をする。
「あ!!ついてんじゃん!!叶まだついてるぞ!!」
興奮して走り出す葛葉。見ると、たしかに僕らが行こうとしていたイルミネーションがまだ点灯している、こんな遅いのに。。
「叶すげぇよ〜はやく来いよ〜」
気づくと随分先の方まで行っている葛葉。そんな葛葉を追いかけながら僕もイルミネーションを目の当たりにする。
時間も時間なので僕と葛葉以外に人はいない。
無数のライトで彩られた世界にまるで僕と葛葉しかいないみたいだった。
葛葉はしばらく何もいわずまわりをきょろきょろと眺めている。
あれは、葛葉がほんとに興味あるときにする仕草だ。葛葉、気に入ってくれたんだな。
・・こんな形だけど見れてよかった。
心からそう思った時、ふと背中が暖かくなる。
顔を上げると自分のおなかに回された両手が見える。そう、葛葉が後ろから僕を抱きしめていた。
葛葉っどうしたの、、、いつもなら言ってしまう言葉。
ただ今日はなんとなくこの2人だけのような世界を、空気を、壊したくなくて僕はなにも言わずに葛葉の両手に僕の両手を重ねた。
「・・きれーだな」
葛葉がぼそっと呟く。
『・・うん、すごく』
僕はそう返す。
どれくらいそうしていただろう。
突然イルミネーションが消えあたりが暗くなる。
『あ、終わった』
「・・終わったな、帰ろう、叶。」
葛葉はそういうと僕の右手をつかんで歩き出す。僕は葛葉にひっぱられるように歩く。
「お前手冷たすぎ。」
そう言うと葛葉は左手で僕の右手を握り自分のコートのポケットに入れる。ポケットにはカイロが入っているのかとても暖かい。
『・・あったか〜。葛葉、今日はありがとね』
僕がそう言うと葛葉は笑いながら
「たまにはな。」
と言う。
『・・僕、幸せだ』
思わず心の声が口に出てしまう。
葛葉は一瞬驚いたような顔をしたが、何も口には出さず、かわりにポケットの中の僕の手をぎゅっと強く握った。
僕たちは家までの道を少しゆっくり歩いた。
おしまい