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『』叶
「」葛葉
叶side
『・・おはよ、くず、、は、、ってまだ寝てるか。』
横を見ると口を少し開けてぐっすり寝ている葛葉。
・・最近の葛葉は特に昼夜逆転になってるからなぁ。。
仕事も忙しいのに加え、配信欲も高いらしく、深夜の長時間配信を連日している。
朝に寝て、昼に起きてまた配信。夜も配信してまた朝に寝る。
最近の葛葉はそんな生活だ。
僕も仕事が忙しく夜遅くに家に帰ってきてまた朝に家を出る。僕が帰ってきた時には葛葉はもう配信しているし、家を出る頃には熟睡中。
そう、つまり最近ろくに話もできていないのだ。別の家に住んでいれば安否確認も兼ねてLINEでもするだろうけど、同じ家に住んでいるとそれもない。気づけば仕事以外で1週間くらい口を聞いていない気がする。
僕と葛葉の関係だから、そうであっても別に仲が悪くなることはない、それは断言できる。
でもさすがに、、少し寂しいよ。
また前みたいにくだらない話をしながら2人でテレビ見たりしたいな。
でも葛葉、配信楽しそうだしそれを僕が制限するのは違うと思う。
・・まぁ少し我慢するしかないか、同じ家に住めてるだけ幸せだよな、うん。
僕は自分にそう言い聞かせ支度をする。コーヒーを飲み、荷物を持って玄関に向かう。
『・・行ってくるね、葛葉』
決して本人には聞こえないだろう言葉をぼそっと口に出しドアを開ける。
葛葉side
・・うーーん
「・・もう昼か」
目を開け部屋の時計を見て時間を知る。隣を見ると当たり前のように叶がいない。もう仕事に行ったのだろう、共有しているスケジュールカレンダーには朝から打ち合わせって書いてあった。
・・最近叶と話せてねぇな。
ふとそう思う。仕方ない、最近の叶のスケジュールは異常だ。正直バカなんじゃねーかって疑うほど詰まっている。あいつ、最近ちゃんと寝てねーんじゃねーの?
まぁでも、叶は増えた仕事も文句を言わず楽しそうにこなしている。案件も増えてるみたいだし、あいつにとって今が頑張り時なんだろう。
それをやめさせることなんて、俺には到底できない。
体を起こしリビングに行く。テーブルの上には朝に叶が使ったのであろうマグカップが置いてあり、ほんの少し黒い液体が中に残っている。
・・あいつまたコーヒーばっか飲んで、、
最近見かけるたびにコーヒーを飲んでいる叶。前はそこまででも無かったのに。
そこまでしねーとだめなのかな。あいつ、大丈夫かな。
俺は冷蔵庫からいちごミルクを取り出しながら携帯でカレンダーを見る。
・・ん?来週、どっちもオフの日あんじゃん。
叶side
?「叶さん、お昼休憩挟んでまた14時からお願いします」
『はーい、お願いします!』
・・やっとお昼だ、あー疲れた。
スタッフさんに頂いたお弁当の包装を開けながらふと携帯を見る。
もう13時か、、葛葉起きたかな、、起きていちごミルクでも飲んで配信すんのかな。
いや、それともなんかごはん頼んでるかも、最近ちゃんと寝起きにご飯食べてるからな。
・・このお弁当美味しいな、葛葉絶対好きそう。
ポケットからスマホを取りだし、カレンダーを見る。
あ、来週僕も葛葉もオフの日あるんだ、珍し。でもあいつ配信するだろうしな、、
配信?あ、葛葉配信してるかな?
アプリを開くと、予想通り配信中の葛葉。机にスマホを立てかけて葛葉の配信を開く。
「・・はい〜!!君っ弱いねぇーー!!ザコいねぇ!!アハハハハハ!!!!」
声だけでもニッコニコの葛葉が想像できる。
・・ふふっあいつ楽しそうだな。
思わず笑ってしまう。僕はそのまま配信を見ながらお弁当を食べる。
「最っ高!!ふぁーーー!楽しかったぁ!!・・ん?叶と配信しないのかって?」
突然自分の名前が出てきて少し驚く。おそらくコメントを読んだのだろう。
・・何て言うんだろう、と内心ドキドキする。
「うーん、あいつねー最近めちゃくちゃ頑張ってんのよ、ほんとに。だからまぁ、逆にちょっと休んで欲しいまであるわ!ま、叶とのやつはくろなんを待っててくださーい。」
・・葛葉、僕のこと心配してくれてたんだ。
少し驚きながら配信画面を見つめる。それ以降はまたテンション高くゲームを続ける葛葉。
・・やっぱり今日、葛葉に聞いてみよう、来週ゆっくりしないかって。
僕はまたお弁当に目を戻し、きちんと食べてお茶を飲む。
午後からの仕事は先ほどの葛葉の言葉が嬉しかったのか、自分でもわかるくらいニコニコだった。
?「叶さん、なんかいい事ありました?」
スタッフさんにも聞かれてしまう。
『ん?あ、ちょっとありました、でも内緒です』
僕はそう答え、仕事を片付ける。
時刻は18時。よし、今日はいつもよりだいぶ早く終わった。帰ろう。
葛葉side
ふぃ〜、昼の配信も楽しかったー。今日も夜やるか、どーすっかなーー。。
時計を見ると18時半。
・・叶まだ仕事してんだろーな。
ガチャガチャ
そう思った途端にドアの鍵を開ける音がして俺は一瞬びくっとする。
バタン・・パタパタ・・
カチャ
静かにリビングのドアを開ける叶。おそらく俺が配信していると思っているのだろう。
「おかえり、叶」
俺がそう言うと驚いて顔を上げる叶。
『うわっびっくりした〜、配信してると思ってたわ』
「さっき終わったとこ。叶、お前今日早いね?」
『うん、なんか今日は早く終わったわ』
「そうか、よかったじゃん」
なんかちゃんと話すのが少し久しぶりだからかお互いぎこちない気がする。いや、俺だけか?
あ、来週のオフ、、聞いてみるか?
叶side
・・っくりしたぁ。まさか葛葉がリビングにいると思ってなかったから素でびっくりしちゃった。
・・葛葉と顔合わせて喋るの久しぶりだからなんかちょっと緊張する。お昼の配信見てたこと言おうかな、あ、来週のオフの話、、、
「叶さ」
『葛葉さ』
互いの声が綺麗にハモリ、思わず笑ってしまう。
『ごめん、葛葉先どーぞ』
「いやっ、、叶からでいーよ」
葛葉にそう言われ、僕は口を開く。
『葛葉さ、、、来週のオフの日って、普通に配信するよね?』
「・・俺もその日の話しようとしてた」
葛葉はそう言いくしゃっと笑う。
「いや、今日配信でも言ったんだけど、来週はちょっとペース落とそうかなって」
『え、僕そこ見てなかった』
「・・は?お前俺の配信見てたの?」
『あ、、お昼食べながらちょっとだけ見てた、なんか僕の話してくれてたじゃん』
僕が笑いながらそう言うと、葛葉は少し耳を赤くして片手で自分の顔を隠す動作をする。
「・・見んなよー、てか見たとしてなんでそこピンポイントで見んだよ」
『だって開いたらそこだったんだもん』
「タイミングわるっ、、まぁ、でも、あれはほんとだから」
『・・っ!』
「・・ほんとに、最近のお前、頑張りすぎ。」
テーブルに両肘をついて頬を支え、僕を見上げながらそう言う葛葉。
「あと、コーヒー飲みすぎ。減りが早い。」
・・葛葉はコーヒー飲まないじゃん、と言いかけて口をつぐむ。
違う、葛葉は心配してくれてるんだ、多分。
『・・そうだね。ちょっと控えるようにするわ、、あ、僕今日朝マグカップ置きっぱじゃなかった?』
「そーだっけ?」
葛葉はそう言うが、キッチンを見ると僕のマグカップが綺麗に洗われて仕舞われている。葛葉が朝片付けてくれたのだろう。
『ありがと、葛葉』
「・・別に、いーよ、、んで?何の話だっけ?」
『あ、そうそう、もし葛葉が良いなら来週のオフはゆっくりしないかなって思って』
「・・ん、そうしよ」
『どこか出かける?』
「いや、、家でいい」
『じゃあ家でのんびりするか、、映画でも見る?』
「・・ゲーム」
『ん?』
「ゲームやろーぜ」
『ゲーム?いいよ、あ、でもそれならせっかくだし配信する?』
「・・しない、普通に遊ぼーぜ。てか配信したら意味ねえじゃん」
そう言い笑う葛葉。
僕も本末転倒な事を言った自分に笑ってしまう。
「飯、食った?」
『夜ご飯はまだだけど、、』
「食いにいかん?」
『えっいいけど、葛葉配信は?』
「・・んー。今日はもういいわ、さっき勝って気分良いし。」
『・・ふふっじゃあ、行こっか。』
(ごはん中)
「うめぇ〜」
『美味しぃ〜』
よく食べに行く店のはずなのに今日は格段に美味しい。
目の前の葛葉は口いっぱいにモグモグ頬張りながらニコニコしている。
「・・最近葛葉とあんま喋れてなかったからさ、僕ちょっと寂しかった」
僕は少し笑いながら正直に伝えた。
すると葛葉は一生懸命モグモグして飲み込み、水を飲んでから言った。
「・・いや、俺もだし」
思わぬ言葉を葛葉から伝えられ、思わず箸が止まる。
「止めるな、箸を。全部食うぞ、俺が。」
葛葉は少し下を向きながらそう言う。
『・・なんか僕達ちょっとだけすれ違ってたね』
僕のその言葉に声は出さないものの小さく頷く葛葉。
店を後にし、帰りに寄ったコンビニで買ったアイスの入った袋を持って家まで歩く。
僕たちは帰り道に話し、これから2人ともオフの日はなるべく一緒に過ごせる時間を作ることにきめた。
「帰ったらゲームしようぜ〜」
『いいよ、何やる?』
「・・気分で決めよ」
『おけ、”みんはや”以外ね』
「ふはっ!!やんねーよ!」
2人で笑いながら歩く帰り道。これからアイス食べながらゲームして、、
この後のことを考えるとつい笑顔になってしまう。
「なにニヤニヤしてんの?」
『ん?いや、今日は一緒に寝れるなと思って』
「おまっ、、なに考えてんの?」
『・・いや僕普通に寝ること言ってるんだけど』
「・・・・・」
一瞬で赤面し僕をおいて走り始める葛葉。僕はそんな葛葉を笑いながら追いかけた。
おしまい