テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
3,287
#初心者だからつまんないかも....
バガラジー
125
#能力者
紅優
146,928
第25話
「アニカ、今のって……」
ソフィーが目を見開いて私の事を見た。
「……初めて。光の力が使えた……ごめん。ずっと、任せっきりで……」
私がソフィーに抱きつくと「そんな事ないよ」と首を横に振った。
「私は、昔から使えたの。だから、お兄ちゃんに話してれば、こんな事にはならなかった。アニカは決して悪くない」
……でも、ソフィーには散々負担をかけた。だから、謝らないと……
「とりあえず、私は休めたからアニカはお兄ちゃんをお願い。家族を……たった一人のお兄ちゃんだから……」
そっか……二人は二人だけ……
私もお父様と私……でも、傷の差は大きいよね……二人は両親を亡くしたのだから……
それも、三年前……ソフィーも強いな。
兄妹はやっぱり似るんだな……私は一人っ子で、私が世界の希望の光だった。だけど、ソフィーは裏で期待されていたのか……
その苦しみは私だけと思ってたけど、ソフィーも……
「分かった。ごめんね。ソフィーに負担かけちゃって……必ず、行くから待ってて」
「うん」
私は立ち去るソフィーにこっそり回復魔法をかけてロルフを探した。
ロルフ……あ、いた!
私はロルフのわずかな魔力を見つけた。
駆け出した。不自然な月明かりが差す中、ロルフに向かって一生懸命走った。
でも、ロルフは岩場に転がって怪我が深かった。虫の息で意識も無く、服もボロボロに破れて、体は痛々しいような怪我を何箇所も。それに、脈も弱い。
私は、ロルフの冷え切った体を起こした。
嫌だ……ロルフは、やめて。お願い……
ロルフは体がボロボロになるまで戦った。なのに私は……
私は泣きじゃくりながらロルフの事を見つめた。
「やめっ……生きて……ロルフ……」
ロルフは気づいたのか、青い瞳で私の事を見つめてから微笑んだ。でも、直ぐに、ぐったりとして青い瞳を閉じた。
そんなロルフには生きて欲しいと思った。
ふと、お父様やロザンナ、マルコさん、シルビオさんの顔が脳裏に浮かんだ。
四人とも大丈夫かしら……
いや、まだ大丈夫……生きてる。きっと……あの四人なら……
私はロルフの事を治そうと試みたけど、私も魔力の残りが少なくて少ししか治せなかった。
駄目っ……このままでは……
私が頭をフル回転させていると、ふとある洞窟を思い出した。
治癒と時空の魔法石が取れる鉱山。もう使われてなくて誰も足を踏み入れないような所らしい。
そこに寝かしておけば、一つも歳を取らずに傷を癒せるという話を聞いたことがある。
魔法石は魔力を注がなくても常に、少しだけ、魔法を放っている。だから、時間をかけてでも傷を癒せる。
私はロルフの事をその洞窟へ向かった。馬は奇跡的に二頭共、生きていて、怪我の少なかった、私の馬に乗せて走らせた。
ロルフの馬は背中に傷があって、逃がした。あれくらいは致命傷では無いから、ごめん……
馬で走ると暴風の被害も少なかった町が見えた。
だけど、やっぱり、木はなぎ倒されて黒い風景の中で家も半壊。人だった何かが転がっていて人影があまりない。
隠れて、生き残った人がいるんだろうなと思いつつ、ロルフの鼓動が止まる前にと私は馬を急がせた。
山に入って少し走らせると例の洞窟が見えた。
ロルフの事を抱いて、洞窟の中へ入った。
傷だらけのロルフを見るのは辛かった。心がえぐられるように苦しかった。
洞窟の中は魔法石が自発的に光ってて、神秘的だった。それほど眩しくも無く、居心地がよかった。
私はロルフをその洞窟の中にそっと寝かせて、頬にキスをしてから馬にまたがった。
お願い……生きて。私たちの希望の光。
私には殆ど何も出来ない。だから、貴方に任せる。
お願い。ロルフ。
私は心の中でそう呟いてから馬を走らせた。
もう、日が上がってきて、長い夜の別れを告げた。
私は強張りつつ馬を走らせた。
でも、そんな中いつもロルフは護ってくれた。大災厄までの付き合いだったはずなのに、あんなに優しくしてくれて、護ってくれて……何かと殆どの時間を一緒に過ごしてきた。
だから、任せられる。本当は、直ぐに攻めてしまうロルフには負担をかけたくない。自分の中に封印して、押し殺してしまう貴方に……
でも、貴方は私の何倍も強い。
身体的にはもちろん、心も、周りに対しても強い。だから、任せたい。だから、お願い。
私は遠くに見えた黒い影に向かって歩き出した。
いざとなって向かうとその、黒い影は怖かった。傷も痛い。だけど、ロルフはそんな状況でいつも護ってくれた。やっとロルフの気持ちが分かった。こんな状況だけど、誰にも、誰一人相談できる相手がいなかった。
私にも心配させたくないと思ってたのだろう。
こんな怖いなんて気持ち、一つも感じられなかった。
歳はそれほど変わらないはずなのに、ちゃんと自分の使命に立ち向かって、命をかけて、全てを尽くして……
……だから、貴方は強い。
私は覚悟を決めてさっきの感覚を思い出して、全力の力を振り絞った。
コメント
1件
うわぁ、アニカとロルフの別れのシーンが切なすぎます…。光の力が初めて使えた瞬間、ソフィーと抱き合うところもグッときました。ソフィーもまた一人で抱え込んでたんだなって。ロルフを洞窟に寝かせる決断、アニカの必死さがひしひしと伝わってきて泣きそうになりました。最後に「貴方は私の何倍も強い」って信じてるのも、関係性が深まってて胸が熱くなりました。次が気になります!