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古零心鬼

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古零心鬼

9 - 9

2025年06月09日

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戻ったときには、リンシィーが机の上に並べて置いてくれていた。



戻ってくるのを待っていたのだろうか。



なんとも申し訳ない気持ちになる。





「終わったよ、お待たせ。」




「食べましょう。」




3人は席につき、机を囲んだ。




さりげなく、ロンレイはリンデェンの隣へ座った。




食べながら、2人に話をする。




「ロンレイは手先が器用だ。それは、両親から教えてもらったの? 」



黙々と食べていたリンシィーが、少しだけ顔を上げた。




ロンレイはさわやかに笑いながら答える。




「いいや、両親から教えて貰ったことはないよ。それに、そこまで器用じゃない。」




でもありがとう と応えた。




リンシィーが突然、口を開いた。




「ロンレイ道士は、いつ壁の修理を終わらせるのでしょう?」




やっとリンシィーがロンレイに口を聞いた。




 ̄やっとか……




ただ、口調は相変わらずどこか喧嘩腰な気がしていた。




「大きな穴だから、少し時間は掛かるかも。

1週間もあれば、綺麗さっぱり直せるはずだ

泊めてもらうからには、ちゃんと終わらせる 」



それを聞いて、リンシィーは少し肩を落とした。それがどういう意味なのか



リンデェンには読めなかったが、これが少しでも信用するきっかけになれば良いと思った。




「寝る所はどうするんですか?三人で彼処はどう考えても狭いかと。」




それはリンデェンも悩みどころだった。




3人で寝るには絶対に狭すぎる。




今までは、2人で寝ていたが決して広々していた訳では無い。




3人ともなれば尚更だ。



ロンレイをどこかで寝かせるのは悪いし、リンデェンがどこかで寝れば



リンシィーとロンレイの2人で寝ることになる。気まづいかか……




でも、リンシィーを1人にするのは、気が引けた。





「私が1人で寝ても構わないんだけど……2人は少し気疲れするかな。 」



リンシィーは目で訴えかけてきている。



それだけは嫌だ、と。





「私が何処か願うところで寝ます。2人はどうぞお気遣いなく。」





リンシィーがそう言った。



本当は、ロンレイが何処かで寝ることを望んでいるはずだ。





仕方なく、妥協 という表情だった。




ロンレイは、自分が1人で寝る なんて言いそうにないし、選択肢はそれしかなかったことに気づいたのだろう。





「本当に? 俺が1人で寝た方がいいと思ってたんだけど…… 」


申し訳なさそうに言うロンレイの顔に、

嘘っぽさを感じなかった。




「ある意味客人ですから、客人をそこらで寝かせる訳には行きません。これは、デェン師の

教えにもありましたので。」



これが本心なのか、どうなのか。




少しは心からそう思っていてほしい。




「それじゃあ、そういうことでいいかな。リンシィーには感謝しよう。」






ロンレイもありがとう と続けた。




三人は夕食を食べ終わると、少しの間そのままの体制で話をした。





「ロンレイ道士、両親は心配なさられないのですか?長い間、歩いていると聞きましたが。」




たしかにリンデェンもそう思っていたが、何だか聞きにくくて聞けずにいた。




遠慮なく聞いてくれたリンシィーに、心内で感謝する。





「俺の親は兄弟たちに付きっきりだから、居なくなっても分からないかもね。」




笑っているが、リンデェンには心からの笑顔だとは到底思えなかった。




リンシィーもこの返答を聞いて、少し聞いたのを後悔したのかもしれない。




何も言わなくなってしまった。




静かな空間が訪れる。




切り替えるようにリンデェンが口を挟んだ。





「少し散策へ行ってようと思うんだけど、遅くなるかもしれないし、先に寝ていて構わないよ。」




そう言って立ち上がった。



すると、ロンレイも続いて立ち上がった。




「俺もついて行くよ。いい?」





やっぱりそうだよな……





それを狙っていたまであるが、



「構わないさ。」


とだけ残し、扉をあけて進んで行った。





残されたリンシィーは、自分の寝る場所を整え、何かを書き記していた。






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