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戻ったときには、リンシィーが机の上に並べて置いてくれていた。
戻ってくるのを待っていたのだろうか。
なんとも申し訳ない気持ちになる。
「終わったよ、お待たせ。」
「食べましょう。」
3人は席につき、机を囲んだ。
さりげなく、ロンレイはリンデェンの隣へ座った。
食べながら、2人に話をする。
「ロンレイは手先が器用だ。それは、両親から教えてもらったの? 」
黙々と食べていたリンシィーが、少しだけ顔を上げた。
ロンレイはさわやかに笑いながら答える。
「いいや、両親から教えて貰ったことはないよ。それに、そこまで器用じゃない。」
でもありがとう と応えた。
リンシィーが突然、口を開いた。
「ロンレイ道士は、いつ壁の修理を終わらせるのでしょう?」
やっとリンシィーがロンレイに口を聞いた。
 ̄やっとか……
ただ、口調は相変わらずどこか喧嘩腰な気がしていた。
「大きな穴だから、少し時間は掛かるかも。
1週間もあれば、綺麗さっぱり直せるはずだ
泊めてもらうからには、ちゃんと終わらせる 」
それを聞いて、リンシィーは少し肩を落とした。それがどういう意味なのか
リンデェンには読めなかったが、これが少しでも信用するきっかけになれば良いと思った。
「寝る所はどうするんですか?三人で彼処はどう考えても狭いかと。」
それはリンデェンも悩みどころだった。
3人で寝るには絶対に狭すぎる。
今までは、2人で寝ていたが決して広々していた訳では無い。
3人ともなれば尚更だ。
ロンレイをどこかで寝かせるのは悪いし、リンデェンがどこかで寝れば
リンシィーとロンレイの2人で寝ることになる。気まづいかか……
でも、リンシィーを1人にするのは、気が引けた。
「私が1人で寝ても構わないんだけど……2人は少し気疲れするかな。 」
リンシィーは目で訴えかけてきている。
それだけは嫌だ、と。
「私が何処か願うところで寝ます。2人はどうぞお気遣いなく。」
リンシィーがそう言った。
本当は、ロンレイが何処かで寝ることを望んでいるはずだ。
仕方なく、妥協 という表情だった。
ロンレイは、自分が1人で寝る なんて言いそうにないし、選択肢はそれしかなかったことに気づいたのだろう。
「本当に? 俺が1人で寝た方がいいと思ってたんだけど…… 」
申し訳なさそうに言うロンレイの顔に、
嘘っぽさを感じなかった。
「ある意味客人ですから、客人をそこらで寝かせる訳には行きません。これは、デェン師の
教えにもありましたので。」
これが本心なのか、どうなのか。
少しは心からそう思っていてほしい。
「それじゃあ、そういうことでいいかな。リンシィーには感謝しよう。」
ロンレイもありがとう と続けた。
三人は夕食を食べ終わると、少しの間そのままの体制で話をした。
「ロンレイ道士、両親は心配なさられないのですか?長い間、歩いていると聞きましたが。」
たしかにリンデェンもそう思っていたが、何だか聞きにくくて聞けずにいた。
遠慮なく聞いてくれたリンシィーに、心内で感謝する。
「俺の親は兄弟たちに付きっきりだから、居なくなっても分からないかもね。」
笑っているが、リンデェンには心からの笑顔だとは到底思えなかった。
リンシィーもこの返答を聞いて、少し聞いたのを後悔したのかもしれない。
何も言わなくなってしまった。
静かな空間が訪れる。
切り替えるようにリンデェンが口を挟んだ。
「少し散策へ行ってようと思うんだけど、遅くなるかもしれないし、先に寝ていて構わないよ。」
そう言って立ち上がった。
すると、ロンレイも続いて立ち上がった。
「俺もついて行くよ。いい?」
やっぱりそうだよな……
それを狙っていたまであるが、
「構わないさ。」
とだけ残し、扉をあけて進んで行った。
残されたリンシィーは、自分の寝る場所を整え、何かを書き記していた。