テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
ガタン、と揺れたあと、車内は再び静まり返った。 誰もが緊張の糸を張ったまま、何かを待っている。
そんな中、前方から低い笑い声が漏れた。
龍真「……へぇ」
赤城龍真がゆっくりと立ち上がる。
その瞳には、さっきまでとは違う色が宿っていた。
右手には、光沢の鈍いナイフ。
刃先が、通路の奥に座る一人の老女を向く。
龍真「虫なんかより、こっちの方が早いだろ?」
老女の肩がびくりと震える。
周囲の乗客は息を呑んだまま動けない。
(……嫌な予感しかしない)
【専用スキル《登場人物一覧》を発動します】
〈人物情報〉
名前:赤城龍真
年齢:18歳
観測者:なし(現在2名の観測者が興味を示しています)
専用特性:異常適応(一般)
専用スキル:[優れた反射神経Lv.2][黒化Lv.1]
総合能力値:[体力Lv.4][筋力Lv.5][機敏Lv.6][魔力Lv.3]
総合評価:極限状況への順応が異常に速い。精神的な抑制が弱く、攻撃的行動に傾きやすい。
(やっぱり“黒化”持ちか……)
涼介「やめろ」
龍真「はぁ? 正義感か?」
涼介「いいや……俺が気に入らないだけだ」
龍真の口元が吊り上がる。
龍真「……面白ぇ」
その瞬間、黒い靄が龍真の全身を包んだ。
皮膚の下に黒い筋が浮かび、瞳孔が細く尖る。
【専用スキル《黒化》Lv.1が発動しました】
空気が重く、冷たく変わる。
龍真が一歩踏み出すごとに、床がわずかに軋む。
龍真「避けられるか?」
ナイフが一直線に老女の胸元を狙う。
俺は即座に踏み込み、刃を手で払った。
ガキン!
金属がぶつかる高い音。龍真の眉がわずかに動く。
龍真「おっと……やるじゃねぇか」
続けざまの横薙ぎ。
座席を蹴って後ろに下がり、距離を取る。
涼介「……あんた、ここで終わるぞ」
龍真「終わるのはお前だ」
黒い靄がさらに濃くなり、龍真が踏み込む。
その瞬間、俺は座席のパイプを掴み、一気に引き抜いた。
狙うは手首――
金属音とともに、ナイフが床に転がった。
【残り時間1分】
(……これであいつは、もう誰も殺せない)