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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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──朝だ。いや、もしかして昼?

──『朝』って? ルシは何時のことを言ってるんだ? 時計がないから結局わからないんだけど。


──とりあえず目、さめたし、村の中央に行ってみよ。いなかったら、戻ってくればいいんだし。


──リヨクはベッドから起き上がり洗面台を探す。

しかし、どこにも見当たらない。


そうか、ここは夢の世界だった。

地球とごっちゃになってたよ。

外にあるのかな。

──ん?


外に出ようとしたリヨクは、違和感に気づき止まった。


昨日歯みがきしないで寝たのに、口の中気持ち悪くない。──おなかの中もなんか空っぽみたいで、トイレも全然行きたくならない。髪の毛も……はねてない。──ま、いいや。


リヨクは深く考える事をやめ、リュックを持ち外に出た。


(ルシに聞こ。考えてたらまたみんなに置いてかれちゃうし、今は中央にいくことだけを考えるんだ)


村には、いろんなジャンルのキャラクターや物が建ち並んでいた。


(あ! これ、ファイアソードだ)


──リヨクは、”戦国武将のような格好をした仮面戦士”の上半身の形をした家を見て、足を止めた。


(……あ、いけない。いそがないと)


ふたたび歩き始めたリヨクは、知ってるキャラクターの家が現れるたびに、自分の家と比べてしまう。


(みんないいな……ぼくもちゃんと想像したんだけどな)


リヨクは、やるせない気持ちになりながら、村の中央に向かった。


村の中央に集まっている子どもたちを見て、間に合ったと思いホッとした。

しかし、子どもたちが進み出すのをみて、ぼくは走った。


「ハァ……」

「おはよ、リヨクくん。これで全員そろったね。──ポムヒュースに向かいましょう」


(全員?)


まわりを見るリヨク。そこには手を振るオウエンやユウマの姿もあった。


───ポムヒュースに向かう道中───


リヨクは、オウエン、ユウマと会話しながら、学舎に向かっていた。


「みんな待ってた?」リヨクはオウエンに聞いた。

「いいや、みんなさっききたばっかり」

「え? そうなんだ。時間わからないのになんで集まれたんだろう」リヨクはふしぎそうに言った。

「考えたって仕方ないよ。ここ、変なことだらけだし」ユウマは肩をすくめた。

「だよね…」


──10分ほど歩くと、壁のような巨大な木の根が現れ始めた。


「でっ…か」とオウエン。

リヨクやまわりの子たちも巨大な切り株の学舎『ポムヒュース』に近づくにつれて、上を見上げ圧倒されていく。


「これが学校って想像つかないよ」リヨクはユウマに言った。

「それな、1日で見学してまわれるのかな」


「うわ! あれ、楽しそう!」


オウエンがゆび差す方向を見ると、小さくて見えづらいが、1人乗り用の“バケツ”に乗った人がロープウェイのようにして上からくだって行くのが見えた。


「ルシ、あれ、なに?」オウエンが前を歩くルシに聞いた。


「あれは人魚さ。あの中には水が入ってて、この木やエドラの根に水を撒いてるんだ」


「にんぎょ!? あれが、ポンドが言ってたにんぎょか!」オウエンが大きな声で言うと、まわりの子たちも不思議がり、遠くを見はじめた。


「空飛ぶ馬がいたんだ、人魚がいたっておかしくないよな?」驚いている子どもたちを見ながらユウマは、やれやれといった感じで言った。


「そうだね。元々ポンド言ってたしね」

リヨクも他の子たち同様おどろいていたが、横にいるユウマが冷静だったので、自分もそれに合わせて平静を装った。




──茶色い巨大な壁の前にきた。


「ここがポムヒュースの入り口だ」


ルシについていき、子どもたちは次々と中へ入って行った。


───ポムヒュースの中───


巨大な切り株の中は大草原が広がっていた──2階、3階と吹き抜けの層になっており、3階には、4つの橋がかかっている。


「わぁ〜……」と目を大きくあけ、上を見上げ子どもたち。


目線の先には、大きな葉っぱにつかまり、ゆっくりとおりてくる学生たちの姿があった。

楽しそうに空中で会話している彼らをみてリヨクは(この学校なら……)「楽しめそう」とつぶやいた。


「たのしいよ」


急に知らない声がして横を見ると、髪の中に、大きな赤い宝石が埋めこまれた、ルシと同じ水色髪の少年がいた。


水色髪の少年はリヨクにニヤリと笑いかけると、ルシの元へ行った。


──「この子は私の弟、グオだ。『初めましてグオ!』これから君たちと一緒に学ぶことになるから仲良くしてやってくれ。学内の案内はこの子に任せるので、この子について行ってくれ。それじゃグオ、後たのむよ」


「わかりました! ──それではポピュアのみなさん、学内を案内させていただきます!」


グオはそう言うと、首にかけてある笛を「ピー」と鳴らした──するとピンとした綱のような植物が、子どもたちの足元から生えてきた。

そして、頭の上ぐらいまで伸びると成長が止まった。


「それにつかまって! それから、足をからめて固定して。──いいかんじ! それじゃ、3階まで上がっていくよー」


グオは子どもたちが、ちゃんとつかまったことを確認すると、「ピーピー」と2回笛を吹き、綱のような植物をさらに上まで伸ばした。


「おぉぉぉ!」


リヨクはどんどん高くなっていくにつれて自分の顔が引きつっていくのを感じていた。

ユウマは綱をぎゅっとにぎり、目を強くつぶっている。


遠くから、車と車がぶつかったような音が聞こえてきた。

見ると2階に、見たこともない巨大な獣とそれと戦う学生の姿があった。


──巨大な獣は重そうなパンチをくりだすが、その学生はひらりと身をかわす。


「うぉー! あいつすげーな。おれも戦いてぇ!」


そのバトルを見ているオウエンは片手で植物をつかみながら、まるで自分が戦っているかのようにパンチしたり、頭をふったりしていた。


「なぁなぁ、おれもあのゴリラみたいなやつと戦いたい」

オウエンはグオに聞いた。


「あれは、4年生の獣術専攻の人が学ぶ反射の授業で、観察して動きを見切るんだ。獣使いになるならまず覚えなくちゃならない、基礎となる授業なんだ」

「4年になるまで戦えないのか?」

「うん。今戦ったらペチャンコにされちゃうと思うよ? あれは{イーデランガ}と言う獣で、見た目どうり力がすごくて素早いんだ」

「おれならよけれる」

オウエンは、その、{イーデランガ}と言う獣をじーっとみて、頭の中でシュミレーションをしているようだった。


──リヨクは、あの化け物みたいな獣とオウエンが戦っていることを想像しただけで、ゾッとした。

リヨクは、あれと戦わなければならないなら、この学舎に通うのをやめよう。そう思ったぐらいだった。


3階を超えたあたりで、グオが「ピーピーピー」と3回笛を吹いた。すると、つかんでいる綱のような植物は徐々に垂れ始め、3階にぼくらをおろした。


──ポムヒュース3階──


東西南北にタワーのような花がそびえ、中心に繋がる4つの橋の先には、6つの塔があった。


──「高っ!」


下を見おろすと、4つの橋の影により、大きな光の花びらが、1階の草原を照らしていた。


「ユウマ、下みて! なんかすごいよ?」

「やだよっ」


「それじゃ! この橋を渡ってあの塔の中に行きましょう!」


──子どもたちはグオについていき橋を渡っていく。


「リヨク、おどかしたりしたらおこるからな」と、真剣な表情で言うユウマ。


「おどかさないよ、それに、こんなに広いし、大丈夫だよ」

ユウマは、リヨクより高いところが無理らしい。


「ぅわ!」

オウエンはユウマをおどかした。


「おまえっ」

するとユウマは怒った顔になり、オウエンにパンチをくりだした。


しかし、オウエンはスッとよけ、からぶったユウマは「おっとっと」と言いながら下に落ちた。


「ユウマ!!」


リヨクの叫び声と同時に、学舎全体に太い声が鳴り響いた。



《《《リベク! 》》》

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