TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

もう10年以上前のこと

私とあいつは中学からの同級生だった。

いつも遊ぶ6人グループの一人同士だった。

私はその6人で過ごす休日や、登下校の時間が生き甲斐だった。

「今日はあいつら遅いんだね。」

私が言う。

「いつもの事じゃない?また部活終わりにわたゃわちゃしてるんでしょ。」

グループのひとりである友紀(ゆうき)が呆れながら言う。

「まさか、女じゃない!女!」

と、言うのはまたグループの1人である千紗(ちさ)だ。この子は私の幼稚園からの幼なじみで、私の半身に近い子だ。どうも昔から人の貞操に探りを入れがちだが、屈託のない性格は私をいつも勇気づける。

 数分後いつもの集合場所に3人がやってきた

メガネで秀才、だが、天然で、はっちゃけた部分もある英司(えいじ)。少し太っていて、包容力がある和(かず)。そしてあいつ。慎二(しんじ)の3人だ。その日もいつも通り集合して、いつも通りの道をいつも通りの立ち位置で帰った。

特に何も無い。何も変わらない日だった。

そのはずだった。

 夜だった。

その当時私はまだ携帯電話が許されていなかった。

「千代(ちよ)、慎二くんから電話ー。」

「はーぁい。」

 私は自分の部屋から出て、電話の前まで行き、母から受話器を受け取る。

(慎二から電話なんて初めてじゃないかな。)

女子同士はよく電話をしていたが、男子からはほとんど来ないので、少し緊張した。

「か、かわりました。どうしたの?明日遊ぶとか?」

少しの沈黙…

「え?なに?聞こえてる?慎二ー」

「千紗が、事故にあったって。ガソスタの前で車に轢かれて緊急搬送されたって。」

「は…?」

 親友が死んだ。突然すぎた。あまりにも突然で、けど、理解はすぐにできてしまった。

 私は半身を失った気持ちになった。いや、実際に失った。全身打撲だらけで、千紗なのか、違う人間ですと言われても違和感のないような無惨な遺体。数日の間にあの屈託のない、私の太陽だった笑みは、灰になって土に還った。

 私の半身を犠牲にして、私たちのグループは5人になった。

この作品はいかがでしたか?

6

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚