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斗真side
昴の事があってから僕達は、保健室に入り浸る
ことが増えた。
授業はちゃんと教室にいるけど、動物園のパンダ
状態だし、まもちゃんが怖いのか話しかけてくる
人はいないけど遠くからチラチラと視線を感じる
毎日だ。
そんな状況を感じて、申し訳なさそうな顔をする
昴がいるから、こちらも悲しくなる。
気にしなくていいのに。
僕も転校して来てからずっとそんな感じだったし
まもちゃんだって似たり寄ったりだっただろう。
なかなか気持ちが晴れない毎日を送っている頃
だった。
「三者面談の案内渡すからなー
ちゃんと親御さんに渡してくれよ」
三者面談……。
昴どうするんだろう。
蓮さんに頼むのかな。
でも、昴のことだから気を使って頼めなさそう。
なんて考えて昴の方を見ると
何も考えていないような顔で
窓の外を見る昴がいた。
昴side
「お疲れ様でしたーー」
「お疲れ様!
急遽バイト入ってもらってありがとうねーー」
「いえいえ、長谷川さん全然お休み無いですよね
明日俺入るんで、休んで下さいよ。」
「えー大丈夫だよー」
「いいからいいから、明日はお休みして下さいね」
「えー……いいの??」
「はい!」
明日は土曜日。
特に予定も無かったし、蓮さんも明日から1泊で
出張だから長谷川さんの代わりにシフトに
入った。暇だと考えちゃうし。
「昴くんさー」
「はい?」
「なんか悩んでる?」
「え!?」
「なんとなーく思っちゃった」
「大丈夫ですよ。特に何も無いです。」
「ふぅーん。」
「…………学校で三者面談があるんです。」
「三者面談??」
「はい、前までは施設の人が来てくれてて
終わらせてたんですけど、頼むならやっぱり
昴さんに頼むしかないよなと思って」
「嫌なの?」
「いや!嫌だとかじゃなくて
ただでさえ迷惑かけてるのにこれ以上迷惑を
かける訳には行かないのに……
昴さん忙しいし、わざわざ時間作ってもらうのも
ほんとうに申し訳ないなって。」
「うーん。昴くんさー」
「はい」
「迷惑かけたくないとかの前にさ、結局は
誰かしら来てもらわないと駄目なんでしょ?」
「はい……」
「俺行ってもいいけど、多分、そんなことしたら
暁さん拗ねるよ?」
「す、ねる?」
「うん。絶対拗ねるよ!なんでお前には言えて俺に
は言ってくれないんだろうって」
「そう、ですかね。」
「うん!昴くんが思ってるより、暁さん君のこと
気に入ってるよ?予定とかもあるだろうから、
相談するなら早めの方がいいんじゃない?」
「……出張から戻ったら相談してみます。」
「そーしなー!
もし無理だとか言うなら俺行くし!」
「ありがとうございます。」
斗真side
「なんかさーつまんないよねー」
「あぁ?」
「どうしたの?斗真」
そう、つまらないのだ。
僕は。
「昴!!」
「っ!?はい?」
「ちゃんと蓮さんには相談したの?!」
「え、なにを?」
「三者面談!!!」
僕の言葉に、隣で聞いていたまもちゃんも
ああ、という顔をした。
まもちゃんは、お母さんが張り切ってるらしく
すごく嫌だと話してた。
僕もお母さんがおめかししなきゃって言ってた。
「ずっと気になってたけど相談とかしてくれない
しさー!蓮さんにちゃんと言ったのかなとか!
心配になるじゃんー!」
「ごめんごめん。相談はしたいんだけど、
蓮さん出張が長引いちゃってて戻らないんだよね」
「え!じゃあ、あんなに広い家で1人なの?」
「まぁ、うん。今日はバイトも無いし」
「え!!じゃあ!遊び行くしかないよね!
まもちゃん!!」
「は?俺も?まぁ、行くけど」
「え!ま、待って!蓮さんに確認してみる」
「はーい」
昴side
プルルルプルルル
出るかな。お仕事中かな。
迷惑にならなきゃいいけど……
ガチャ
『はい?どうした?昴』
3日ぶりに聞く蓮さんの声に、どこかほっとして
いる自分がいて驚いた。
『昴?』
「あっ、えっと。き、今日家に斗真と真守呼んで
もいいですか?」
『え?全然いいよ。あ、そーだ。真守くんに
かわれる?』
「真守?はい、わかりました」
「……俺?」
「うん、蓮さんが代わってって」
「……もしもし?」
『ーーー、ーー?』
「はい、はい。あー、そうっすね」
『ーーーーーーーー。ーー、ーー?』
「大丈夫っすよ。はい」
何話してるんだろう。
「気になるね」
「っ!?」
「おもちゃ取り上げられた子供って顔してるよー」
「え、いや、別に。なんだろうなって」
「あ!終わったみたいだよ」
「昴。はい」
「え、あ、うん」
『もしもし?』
「はい」
『昴のご飯が恋しいよ。
いつものリビングで昴と話しながら、作ってく
れたご飯一緒に食べてる時間が、1番の癒しだ』
「え、いやいや!あの。えっと、俺も、です」
『よかった。じゃあまた』
「はい!」
「蓮さんが俺らが大丈夫なら、泊まって行って
くれってさ」
「「え!?」」
「何日も1人にしてるからって」
「やったー!!お泊まりするー!」
「へ、へへへ。そっか。」
「大事にされてんだよ。お前は」
「うん。」
斗真side
昴の家にお邪魔して、ご飯作ってもらって、
蓮宅探検して、騒いではしゃいで、気付けば
3人クタクタになっていた。
だって、めちゃくちゃ楽しいんだもん!!
「明日も学校なんだからもう寝るよ」
「はーい!」
「まじで風呂でかいよな。」
「俺も初めて入った時、漫画かと思った」
「楽しいねー!」
そんな話をしながら夢の中に落ちていった。
「ーーーんー。喉乾いた。」
カーテンの隙間から見える外は、微かに明るく
なっている時間帯。
「変な時間に目覚めちゃったなー」
キッチンで水を貰って、キッチンに面してる
大き過ぎるベランダに出てみた。
しーんと音が聞こえる程の静寂。
「僕しかいないみたいだ。」
静寂の中に消えて行くと思っていた僕の一人言。
「残念。俺もいました。」
「っ!!?!」
余りの驚きに声も出せずに、振り返る。
そこに立っていたのは。
「朔月さん、」
「こんばんは」
「え、あ。こん、ばんは。なんで?」
「蓮の仕事がね、夜終わって今日帰ればいいのに
早く帰るって聞かなくてさ、高速走らされたよ。
朝、みんなにおはようを言いたいんだって」
「あ、そう、なんですね。お疲れ様です!」
「うん。ありがとう。みんなにって言うか
主に昴くんにだろうけどね」
「はははっ、ですね」
心臓が早い。
驚いたから?
多分、朔月さんだから。
「……………。」
「……………。」
どうしよう!
いきなり過ぎて。
頭回らない!
「学校は楽しい?」
「えっ!あ!はい!あ、いや。」
「ふふっ、なんで緊張してるの?」
「なんか、えっと。」
「ふっ、意地悪な質問だったかな。
学校、楽しくないの?」
「僕、ゲイなの転校初日に話したんです。
それからクラスで浮いてて、でも今は昴も
まもちゃんもいてくれて、そんなの気にならなく
なって。」
「うん」
「なんですけど、この間。
朝、教室行ったら黒板に
昴は親に捨てられて孤児院育ちで、体売って
生活してるって、生まれて来なければよかった
人間だって書かれてて。」
「えっ、」
「昴とまもちゃんとちゃんと話して、昴的には
大事にしたくないって、僕たちと蓮さん、朔月
さんって味方がいてくれてるから、それだけで
いいんだって。他何も興味無いからって
言ってて。本当に、それでいいみたいなんです
昴は。でも、教室では居ずらくて保健室で過ごす
事が多くて。保健室の先生がまもちゃんの知り合
いで、長居してても黙認してくれてるんです。」
「……そっか。」
「昴自身も気にして無さそうだから、僕が出しゃば
る場面じゃないのわかってるから、その後はなに
も言わないけど。僕と一緒にいるからそんなこと
起きたのかなとか、なんで昴のこと知ってるんだ
ろうとか。やった奴、許せないとか。
色々モヤモヤしてて。」
「……うん」
「って!!ごめんなさい!疲れてるのにこんな!
昴も多分蓮さんに話してない事だと思うんで
内緒でお願いします!」
「あ、あぁうん。」
朔月side
あぁ、もう。
余計な事起きず、平和に流れてくれよ。
疲れる。