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前書き
今回の話には、
『539.ループ3-1』
『540.ループ3-2』
の内容が含まれております。
読み返して頂くとより解り易く、楽しんで頂けると思います。
盛り上がりつつ三々五々散り始めている悪魔を見ながら善悪がコユキに言う。
「んまあ万事オケイでござったぁ、にしても見事な手際でござったよ、コユキ殿ぉ!」
コユキは答える。
「まね、良かったわ…… んだけどコレからが忙しくなるわよ善悪、なんつったって二十五年しかないんだからさっ! でしょ?」
この言葉に善悪はやや不思議そうにしながら返すのであった。
「えっとぉ、ここからやる事ってぇ、他勢力の悪魔達に協力を申し込む事とぉ、信用できる人間に魔法を教える、コレくらいでござろ? 暇じゃないだろうけど、そんなに忙しくなるとは思えないのでござるがぁ……」
コユキは少しだけイライラしている様だ、多分、全幅の信頼を置いている自身の相方が慮外(りょがい)に浅い認識だった事に憤慨していたのではなかろうか?
鼻から荒めの息をフンスっと吐き出した後、コユキは神聖銀のカギ棒、スプラタ・マンユとスプンタ・マンユを握り込みながら、其の身をボンキュッボンのナイスバディに変じて言った。
「んだから善悪! 後、二十五年しかないんだってばぁ! えっと、そのぉ、他にもしなければいけない事って、ほら、あるでしょうぅ?」
久々に見る美しいコユキの姿に目のやり場を見付けかねた善悪は、苦し紛れに自分の二本の念珠、漆黒のアンラ・マンユと白銀のアフラ・マズダを両手の拳に握り込んだのである。
途端にムキムキ美ボディな美坊主に姿をトランスフォームする善悪。
珍しく美男美女へと姿を変えた二人の内、コユキが顔を赤らめて言う。
「アタシ達二人が子供をぉ、えっと、その、つ、作ったとしたらぁー、その子ってぇ、ヘラクレス、ハーキュリーズなんでしょっ? う、う、産まなくて良いのぉ? どう、どうなのぉ? ぜ、善悪ぅ?」
ムキムキ善悪は驚きを面(おもて)に丸出しにして返す。
「え、ええ、えええ! そ、それってぇ? そー言うー事ぉー?」
コユキは深紅の顔で答えた。
「そ、そうよっ! ねぇ、善悪っ! アタシと結婚しなさいよぉっ! んで美雪を産み出すのよぉ! 駄目? まぁ、どうしても嫌なら仕方ないけどさ……」
言われた善悪も首所か作務衣からチラリと覗いた足首まで真っ赤であった。
ムキムキな体をもじもじさせながら答えた言葉は一言、それだけである。
「や、優しくしてね」
コユキは大きな声で答えた。
「お、応っ! 任しときなさいっ!」
コユキのプロポーズを善悪は受け入れてくれた様である。
その後、家事の分担、どちらが主婦業務を担うか、子供が生まれた場合の教育方針、週末はハワイと茶糖家どちらの比率を優先させるべきか? そんな話し合いを経て、モラクスの美しい声が響いたのである。
「でわ、誓いのキッスを」
「ウワウワ! チッスチッスゥ!」
ソフビサイズのオルクスがはしゃいでいて、テレまくる二人にはさぞ煩(うるさ)く聞こえていた事であろう。
とは言え、一生に一度しかないかもしれない誓いの場である。
美しいコユキと、逞しい善悪は向かい合い互いの瞳をジッと見つめ合ったのである。
揃って見た目的な体脂肪率はテンパーを切っていた。
静かに見つめ合ったままで互いに微笑みあう二人の瞳は瞼の奥へと閉じられて行き、やがて丹精で形の整った唇が近づいて、そして重ね合わされたのである。
揃って初めての接吻、所謂(いわゆる)、ファーストキスであった。
初心な二人は互いの唇の柔らかさ、優しさに揃って息を呑み、恍惚とした幸せ、いいや陶酔の中に引き込まれ、どちらとも無く、手にした物を手放して、シッカッとお互いの体を抱きしめたのであった。
地面に落下する二つの念珠と二振りのカギ棒…… 横で見守っていたモラクスが大きな声で言う。
「のーこったぁっ! のこったのこったぁっ! ほぃっ! はっきょーいぃっ! ほいっ!」
巨大な体に戻ったコユキと善悪の二人は、揃ってアンコ型、大型力士の水入り直前の動けない状態、既に御贔屓(ごひいき)さん達から数度の拍手を受けた位の状態で膠着(こうちゃく)状態に陥っていたのであった。
ニブルヘイムの凍て付く大地に落ちた二人の影は、伸びても尚、太って見えていた。