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家に着き、自室の椅子に深く沈み込む。スマホの画面には、えとからのメッセージが一件。たった今、別れたばかりなのに、心臓がまだ落ち着かない。えとの「好き」という言葉は、きっと動画に対するものだろう。それでも、俺の胸の中は、まるで嵐が通り過ぎた後みたいにぐちゃぐちゃだった。

(どうする、これ……)

俺の秘密が、クラスの三大マドンナの一人にバレた。しかも、俺の学校での陰キャ生活と、YouTuberとしての活動を知られてしまった。これは、黙っているわけにはいかない。特に、じゃぱぱ、のあ、たっつんには、すぐに報告する必要がある。今後の活動にも関わる重大なことだ。

俺はすぐにグループ通話アプリを立ち上げ、三人とのグループ通話をかけた。コール音が鳴り響く。

「お、ゆあんじゃん。珍しいな、こんな時間に電話とか」

最初に繋がったのは、じゃぱぱだった。いつもと変わらない陽気な声が、俺の緊張をさらに高める。

「何かあったんか? ゆあんがこんな焦ってる声出すとか、宇宙人が攻めてきたんか?」

続いて、たっつんの声が聞こえてきた。彼らの軽口が、今はひどく遠く感じる。

「どうしたんですか、ゆあんくん。何かあったんですか?」

最後に繋がったのは、のあだ。いつもはクールな彼女だが、その声にはかすかな心配が滲んでいた。

「あのさ、みんなに報告しなきゃいけないことがあるんだ」

俺は深呼吸をして、震える声で話し始めた。

「今日、学校で、俺の秘密がバレた」

沈黙が数秒流れる。そして、先に口を開いたのは、信じられない、という様子のじゃぱぱだった。

「は? 何がバレたって? お前の陰キャ設定のことか?」

「ちゃうやろ、じゃぱぱ! ゆあんがそんな深刻な声出しとるんやぞ!」たっつんがすかさずツッコミを入れる。

「私のこと? それとも、じゃぱぱさんたちのことですか?」のあが冷静に尋ねてくる。彼女は、俺が学校で彼らとYouTuberとして繋がっていることがバレたのではないか、と察しているようだった。

「俺の、YouTuberとしての正体がバレたんだ。クラスの……えとに」

俺がそう告げると、電話の向こうから、じゃぱぱの「ええええええええええっ!?」という絶叫と、たっつんの「マジか!?」「おいおいおい!」という焦りの声が聞こえてきた。のあは、一瞬の沈黙の後、「…誰に?」と小さく問い直した。俺はもう一度、「えとに」と答えた。

「で、どうすんの、これ? おいゆあん、まさかもう学校の奴らに言いふらされてるとか、ないよな!?」

じゃぱぱの狼狽ぶりに、たっつんが「落ち着けって!」と叱咤する。

「いや、まだ誰にも言ってないって。えとだけ。それで、どうしたらいいか、相談したくて」

俺は、えとがなぜ気づいたのか、そしてどうして黙っていてくれたのかを、正直に話した。夕日の写真のこと、バスケのパス、そして声。すべてが、俺の秘密を暴く決定的な証拠だったこと。そして、えとが「もったいない」と言ってくれたこと。

話を聞き終えると、じゃぱぱが珍しく真剣な声で言った。

「そっか……えとさんかぁ。たしかに、あの子なら気づいてもおかしくないかもな」

「正直、今までよく隠し通せてたなって感じやけどな。ゆあんの完璧主義、裏目に出たな」たっつんが呆れたように言う。

のあは少し考えてから、静かに口を開いた。

「えとさんが、ゆあんくんの活動を『面白い』『好き』って言ってくれてるなら、そこまで悪い状況じゃないのかもしれません。むしろ、チャンスかも」

のあの言葉に、俺はハッとした。チャンス? 一体、何のチャンスだというのだろう。

大好きな君と大嫌いな自分

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