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「チャンスって、どういうことだよ、のあさん」

俺が尋ねると、のあは落ち着いた声で続けた。

「考えてみてください。もし、えとさんがゆあんくんの正体を悪意を持って広めていたら、今頃もう学校中にバレてるはずです。でも、そうじゃない。えとさんは、ゆあんくんが隠したがってたことを尊重してくれた。しかも、ゆあんくんの活動を好意的に見てくれてる」

「たしかにそうやな……」たっつんも同意する。

じゃぱぱが、少し浮かれた声で言った。「ってことはさ、えとさんを動画にゲストで呼ぶとか!?」

「アホか、じゃぱぱ。そんな簡単にいくわけないやろ!」たっつんが即座にツッコミを入れる。「ゆあんくんの秘密がバレただけでも大事件やぞ。これ以上、リスクは増やせん!」

のあが静かにじゃぱぱを嗜めた。「じゃぱぱさんの気持ちもわかるけど、まずは冷静に考えましょう。えとさんが秘密を守ってくれる保証は、今のところない。それに、ゆあんくん自身がどうしたいかですよ」

「俺は……正直、どうしたらいいかわかんない。このまま、えとだけに秘密を握られ続けるのは正直きつい。でも、じゃあ、学校中にバラしていいかって言われたら、それも困る」俺は本音を吐露した。

じゃぱぱが「うーん」と唸った。「じゃあさ、もういっそ、えとさんを味方に引き入れるってのはどうだ? 俺らの秘密を共有する仲間になってもらう、みたいな」

「え、じゃぱぱ、それ本気で言うてんの!?」たっつんが驚きの声を上げた。

しかし、のあは意外にもじゃぱぱの提案に考え込むような素振りを見せた。

「それは…確かに、一つの手ではあるかもしれないですね。えとさんが信頼できる相手で、私たちの活動に理解があるなら、むしろメリットになる可能性も。ただし、リスクも大きいですよ。もし、彼女が意図せずとも秘密を漏らしてしまったら、私たちの学校生活もYouTubeの活動も、すべて台無しになります」

「そこまで考えたら、もう俺らがえとさんに頭下げて、秘密にしてくれるようお願いするしかないんじゃないか?」じゃぱぱが弱気な声で提案する。

「それやと、ゆあんくんがえとさんにずっと弱み握られっぱなしになるやろ。それはそれでキツいやろ」たっつんが鋭く指摘する。

俺は黙って三人の会話を聞いていた。どの選択肢にもメリットとデメリットがある。だが、この状況を打破するためには、何かしらの決断が必要だ。

「……一つ、聞いていいか?」俺は口を開いた。「もし、えとが秘密を共有する仲間になってくれたら、その先に何があるんだ?」

のあは、俺の問いに真っ直ぐ答えた。「それは、ゆあんくん次第です。秘密を共有することで、えとさんとの関係は確実に変わる。友人として、あるいはそれ以上に。そして、私達の活動にも、新しい風が吹く可能性もある。でも、それはあくまで可能性です。確実なのは、今までとは違う日常が始まる、ということだけ」

俺はスマホを握りしめた。えとが俺の秘密を知って、どう振る舞うのか。そして、俺自身が、この秘密をどう扱うのか。

次の日、学校でえとに会うのが、ひどく怖くて、同時に、少しだけ、楽しみだった。

大好きな君と大嫌いな自分

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