「掴まって」
「…… 侑(ゆう)、呼んでるよ。行ってあげて」
「…… ちな!」
「私は大丈夫、平気だから」
侑にこれ以上心配かけたくない。
笑みを作ってベッドから足を下ろせば、履こうとした靴が見当たらなかった。
「あれ、靴……」
「……ない? さっきあんたを運んだ時に、ベッドの下に置いたんだけど」
佐伯(さえき)に口を挟まれ、一瞬固まった。
(え……)
靴がないことより、彼の「運んだ」という発言に引っかかる。
だけどそんなことあってほしくないと、私は思いつきそうになった思考を全力で否定した。
「ま、ないならないでいい。 あんたはそのまま鞄持ってて」
彼が窓から身を起こした瞬間、本能がまずいと叫んだ。
「掴(つか)まって 」
小さく呟かれ、脇にあったシーツがバサリと音をたてた。
「ちな! 」
侑の焦った声が響いた。
けれど体が浮き上がった瞬間、五感のす***********
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