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第16話:揺れる心と確かな絆
先輩の目がオレを見つめるたびに、心臓が跳ねる。
その目に何かを期待している自分がいる一方で、
それが恐ろしいほどの力を持っていることを感じていた。
「葵、ちゃんと見てるか?」
先輩の声が少し低くなる。
その声色に、オレは少しだけ怖くなるけれど、それでもその声に引き寄せられてしまう。
「はい、先輩……」
目の前に立つ先輩の姿が、オレの心をさらに引き寄せる。
その存在に、どんどん自分が縛られていく気がした。
「お前、いつも俺に身を任せすぎだろ」
先輩が少し笑いながら言う。
その言葉が、オレの胸の中で何かを引き裂くような感覚を呼び起こす。
「でも、オレ……」
オレは言葉を続けようとするけれど、何かを言うのが怖くて、
口を閉じてしまう。
先輩の気持ちがどんなものなのか、正直にわからないから。
「怖いなら、俺にもっと頼れよ」
先輩の手が優しくオレの肩に触れる。
その温もりが、オレの心を少しだけ安心させるけれど、
それと同時に心の奥底で何かが引き裂かれるような感覚があった。
「先輩、オレ、怖いんです。あんまり近づかれたら、
オレ、どうにかなっちゃいそうで……」
その言葉を吐いた瞬間、先輩は少し黙って、
オレの目をじっと見つめた。
「葵、お前が俺を避けても、もう遅いんだよ」
その言葉が、オレの心に深く突き刺さった。
先輩の目に宿る冷たさ、でもどこか温かい情熱が混じったような輝きが、
オレをどんどん引き込んでいく。
「逃げることなんてできない、葵」
その一言が、オレをさらに先輩の世界へと引き込んでいく。
心の中で抵抗しようとしても、体がそれを拒む。
「でも、オレ、ちゃんと……先輩のことを……」
言葉に詰まるオレに、先輩は少しだけ微笑んだ。
「わかってるよ、お前は不安だろうけど、
俺はお前のそばにいるから、ちゃんと支えてやる」
その優しさに、オレは少しだけ安心する。
でも、それと同時にその支配が続いていくことに、少しだけ恐怖を感じる自分もいた。
「大丈夫、俺がいる限り、お前は絶対にひとりにしないから」
先輩の言葉に、オレはただ黙って頷くしかなかった。
その手のひらがオレを支える感触が、
いつしかオレにとっての安心感になっていくのを感じた。