テラーノベル
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あれから3年が経った。
あの頃とは、見える景色も歩き方も、全部違う。
仕事も戻って、
朝起きて、電車に乗って。
当たり前みたいに一日が過ぎていく。
「ふぅ……」
あんなに欲しかった“普通の生活”。
それを、今はちゃんと手に入れている。
それなのに―――
「……なんでだろ」
胸の奥に、ぽっかりと穴が空いているようだった。
何年経っても、その穴は埋まらないまま。
夜、ふとした瞬間に思い出す。
あの声。
あの手。
「…阿部さん……」
名前を呼んでも、もう隣にはいない。
もう、会えない。
それでも消えてくれない。
忘れてくださいって言われたのに。
忘れることなんてできない。
むしろ、時間が経つほど、はっきりしていく。
今、何してるんだろ。
元気なのかな。
ちゃんと、笑えてるのかな……
阿部さんの連絡先は消えてしまっていた。
彼の居場所がわかるものなんて何も―――
「…っ」
そこで、はっとする。
「…深澤さん……」
あのとき、病院に来てくれた人。
阿部さんの友人。
あの人なら、
阿部さんの居場所を知っているかもしれない。
阿部さんが今、どこで何をしているのか。
あの人なら分かるかもしれない。
気づいたときには、もう体が勝手に動いていた。
部屋の中を漁る。あの日、深澤さんに渡された名刺がどこかに―――
「…っ………あった……」
「深澤 辰哉」と書かれた名刺。
箪笥の奥にしまっていた財布の中に入ったままだった。
名刺には、深澤さんの連絡先と勤めていた会社の名前が書いてあった。
スマホを取り出してその電話番号にかける。
プルルルル…プルルルル…
しかし。
―――『おかけになった電話番号は現在使われておりません。番号をお確かめのうえ、もう一度お掛け直しください』
「うそ………」
電話が繋がらない。これじゃ阿部さんの居場所も聞けない……
そうなると残った手段はあと一つだ。
俺は上着を掴んで、家を飛び出した。
名刺に書かれた会社の住所。
都内なのでそこまで遠くはないだろう。
心臓が、うるさいくらい鳴っている。
ただ俺は、
阿部さんに会いたい。
それだけだった。
住所を何度も確認して、ようやくたどり着いたそこは大きくて綺麗なビルだった。
「……ここ、か」
一瞬、足が止まる。
怖い。
もし、深澤さんがいなかったら?
いたとしても、阿部さんには会えないと言われたら?
そうしたら、本当に全部終わってしまうんじゃないか。
でも、ここで諦めたらそれこそ本当に一生会えない。
そんなの嫌だ。
「……よし、」
ゆっくりと一歩踏み出し中に入った。
ビルの中のひんやりとした空気に包まれる。
俺は受付の人に声をかけた。
「あの、すみません…ここに深澤辰哉さんっていらっしゃいますか、?」
「深澤辰哉さんですね。少々お待ちください。」
受付の人はそう言うとパソコンを操作しだした。
そして少しすると顔を上げた。
「深澤さん、いらっしゃいます。お呼びしますか?」
「っ、お願いします」
心臓の音だけが、ずっと耳に響いている。
よかった。深澤さんに会える。
これで阿部さんの居場所が―――
でも、なんて言えばいいんだろう。
どうして会いたいなんて……
自分の中でうまく言葉がまとまらない。
でも――
目的は一つしかない。
足音が聞こえる。
こちらに近づいてくる。
はっとして顔を上げると、俺より背が高くて華奢な男性が立っていた。
「えっと、どちら様……?」
あの声。
あの日病室で聞いた声で間違いなかった。
「……っ」
息を整える。
「佐久間大介です、」
「えぇーっと……?」
深澤さんも戸惑っている。そりゃそうだ。あの日一回会っただけの他人のことを何年も覚えているはずがない。
「阿部さんの事件の時の……」
そこまで言うと、深澤さんは思い出したように頷いた。
「あぁ、あの時の…」
しかし戸惑いは消えない。
「でも、なんでここに…?」
「今、阿部さんがどこにいるか、知りたくて」
迷わずはっきりと言う。
しかし、深澤さんの顔は少し曇った。
「……でもあいつ、もう忘れてほしいって―――」
「それでも!」
深澤さんの言葉を遮るように言った。
思わず、声が大きくなる。
周りの視線が少し集まる。
それでも、そんなことを気にする暇なんてなかった。
「俺は、阿部さんに会いたいんですっ!!」
息が、荒くなる。
「っ……」
「お願いします……」
声量を落とす。
少し声が揺れる。
「阿部さんの場所を教えてください……お願いします……」
深く頭を下げた。
沈黙が落ちる。
深澤さんも葛藤しているのだろう。
教えるべきか、教えないべきか―――
「……わかった」
「…っ!」
ばっと顔を上げる。
深澤さんが俺に近づいてくる。
「……俺が居場所を教えるのは、あいつのためだから。」
そして、
耳元で小さく囁く。
「……あいつを、幸せにしてやって」
「……はい」
もう迷いはなかった。
決意を込めて頷いた。
もう、逃げない。
もう、手を離さない。
俺は、彼に会いたい。
伝えられなかったたくさんのことを、ちゃんと彼に伝えたい。
居場所を教えてもらいもう一度深澤さんに頭を下げて、ずっと会いたかったあの人のもとへ走り出した。
コメント
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あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙((( いい話すぎる(;´༎ຶٹ༎ຶ`) 💜の「幸せにしてやって」でキルされましたʚ( ˘꒳˘ )ɞ続き待ってます!!! (一応→プロフにも何処にも書いてませんがガッチガチの(?)⛄️担です。)
💜がいい人すぎる😭 はやく💚🩷結ばれてくれー!!!
天嶺 雫玖
90
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yuka @男体化+幼児化
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