事件後、折原俊一は批判を浴びながらも、彼の研究成果として新たな論文を発表した。そのタイトルは次の通りだった:
「恐怖と学習:感情的刺激が記憶形成と認知行動に及ぼす影響」
この論文は事件に関連する研究を正当化するためのものであり、科学界を揺るがす内容が含まれていた。一部の批評家は「狂気の産物」とし、他の研究者は「斬新かつ恐るべき研究」と評価した。以下にその内容を要約する。
折原は序論で、次のように述べている:
「恐怖は原始的な生存本能に根差した強力な感情である。制御し、応用することで、人間の能力を新たな次元へと引き上げることができる。」
彼は恐怖をネガティブな感情としてではなく、「脳の潜在能力を解放する鍵」として捉えている。
折原の論文で最も物議を醸したのが、この研究方法だ。
被験者の選定: 実験には年齢や性別、背景が異なる100人以上が参加。参加者は視覚・聴覚を刺激する映像を順次体験させられた。
刺激の強度: 映像の内容は、通常のホラー映画から事件の「動画」に近いものまで多岐にわたる。
生体データ測定: 脳波、心拍数、電気反応などをリアルタイムで測定。
記憶テスト: 恐怖体験の直後と24時間後に記憶力と認知能力を測定。
折原は、このデータを用いて恐怖が脳の学習効率に与える影響を数値化した。
恐怖が記憶力を強化する:
強い恐怖体験を経験した被験者は、通常の学習課題を行う場合よりも情報の定着率が約45%向上した。
恐怖後の認知行動変化:
恐怖映像を体験した被験者は、問題解決能力が25%向上したことが観測された。これは「生存のための本能的覚醒」の効果だという。
限界点の存在:
ただし、一定以上の恐怖は逆効果を生む。被験者の約15%が過度なストレスによる認知機能低下を示した。
折原は論文の中で、自身の研究が引き起こす倫理的な問題にも触れている。
「恐怖を利用することは倫理的な議論を避けられない。しかし、その応用次第では人類の進歩に大きく寄与する可能性がある。」
特に教育現場や医療分野での応用を提案しており、PTSD治療の一環として恐怖映像を利用する可能性を示唆している。
折原は論文を次の言葉で締めくくっている:
「恐怖は刃でもあり盾でもある。その両方を適切に扱う術を人類は手にするべきだ。」
彼はこの研究をさらに進め、脳の恐怖反応を直接制御する技術の開発を目指していると宣言した。
折原の論文発表は、科学界と一般大衆の間で激しい議論を引き起こした。
肯定的な意見
「恐怖を科学的に解明する試みは新しい可能性を開く」(著名な心理学者)
「倫理的問題はあるが、応用の価値は高い」(神経科学研究者)
否定的な意見
「実験そのものが非人道的だ」(人権団体)
「恐怖を武器にしたいだけではないのか」(SNSの投稿)
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