テラーノベル
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入部が決まって、同学年の音無春奈ちゃんと仲良くなって一緒に行動することが増えた。春奈ちゃんはサッカー部のマネージャーで私は選手で、お互いを補い合うように一緒にいさせてくれた。
フットボールフロンティアの予選で尾刈斗中と試合することになって皆、豪炎寺先輩がいないと勝てないと口々に言う中、染岡先輩は痺れを切らしていた。そりゃそうで、人に頼りきりになった瞬間、人間は弱くなる。それを知っているからか、それとも染岡先輩自身も必殺技欲しさに焦っているからか分からない。
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私はそんな染岡先輩の練習風景をみながら、小学生の頃のことを思い出した。
当時の私も、染岡先輩のように思うように必殺技ができなくて、兄に泣きついていたような気がする。
(「まなみにとってサッカーはなんだ?」)
兄は私を膝の上に乗せて抱え込みながらサッカーの試合が行われているTVに視線を写しながら質問してきた。
(「想像力、だと思う。」)
私の答えに、お兄ちゃんは「ハハッ」と笑い、優しく頭を撫でてくれた。その時、お兄ちゃんの表情は分からない。
(「それがまなみの答えなんじゃないか?」)
(「答え?」)
私がそう復唱すると、「嗚呼。」と頭を撫でる手を止めて私のお腹に腕を回し、再びTVへと視線を戻した。
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