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「あの」
「あの…」
「せんぱ…」
静かに本を読む先輩に何度も呼びかける
聞こえているそぶりすら見せずに次のページへ読み進めていく
「なんで無視するんですか」
何度呼び掛けても返事が返ってくることは無い
パチリと、瞬き
『はぁ、』
先輩、なんでため息をつくんですか
なんで無視をするんですか
なんでそんな顔をするんですか
気がつくと涙がつたっていた
「愛してますよ、先輩」
もう無駄だろうか
どれだけ話しかけても彼は返事をくれる訳が無い
涙をこらえる為に天井を見る、嗚呼今日はいい天気だ、
自身の気持ちを嘲笑うかのように突き刺すような風が体全体で感じる
ガチャ
と扉を開ける
「先輩、さようなら」
そう言って
_________
部屋で静かに本を読み進めていく
1ページ、1ページと
正直内容は頭に入ってきていない
『はぁ、』
空いている窓からは冷たい風が流れ込んで冷えきっている体と心を更にひやしていく
あいつが居たら、こんな気持ちにはならなかったのだろうか
少し風が強いせいか扉が独りでに開く
そして直ぐに閉じる扉を見て呟く
『今行くからな』