「鬼塚教場、五条芹那。教官室に来い」
放送がなる。
「えー」
「五条、何したんだ?」
「何もしてないよ」
「セリだけ呼び出しとか珍しいな」
「行って来る」
「いってらー」
私は教官室に行く。
コンコンコン
「失礼します。鬼塚教場、五条芹那です」
「来たか」
鬼塚教官に連れられ個室に入った。そこには黒スーツの男2人が居た。まるで補助監督の服装だ。
「五条様。お待ちしておりました。私、警察庁警備局特殊課の佐藤と申します。」
「同じく斎藤と申します」
呪術界の息がかかった課だ。私にそう言う態度なのも分かる。
「どうも」
「単刀直入に言いますと、スカウト、と言う名目でお会いしに参りました」
「私は元からそこに配属される事になってますよね?だからスカウトと言うよりも、確認しに来たのでは?」
そう。私の役割は呪術界と警察のパイプ。呪術界の上と警察の上は知っている。つまり、私がちゃんと分かっているか確認しに来たのだ。
「ええ。その通りです」
そこからは早めの課の説明をされた。簡単に言うと、この課は警察がこちら側に踏み入れようとした時の捜査の中止、隠蔽、時に協力を主に行う。課の人間は全員補助監督、窓、呪術師で構成されており、皆本業はそっち。警察なのはサブ。そして警察だとバレてはいけない。この課が存在している事も基本隠さなくてはならない。まあ、基本呪術師だからバレることもないだろうが。
「分かりました」
「これからどうぞよろしくお願いします」
「はい。失礼します」
私は教官室を後にした。
「ふう…」
私がここを卒業したらみんなと会うこともなくなるのだろうか。寂しいな。次は移動教室だったな。階段を降りている時、誰かに背中を思い切り押された。人の気配はしていたが突き落とされるとは。私は階段を転げ落ちる。無下限を張ったため怪我はない。
「何のよ、う!」
私に馬乗りになり頬を打たれた。口の中を切る。あれ?無下限は?
「お前が!お前が悪いんだ!!」
私を突き落とし、殴ってきたのは男だった。こいつ、どこかで見た気がする。いつだ?誰だ?
「お前が!俺の告白を断った上にあいつらと仲良くするから!!手紙も無視しやがって!!」
ああ。思い出した。私に告白してきた男だ。確か大学が同じとか何とか言ってたな。私は殴られ続ける。なんで無下限張れないの?手が震える。もしかして私、怖いの?相手は一般人。ただの一般人なのに。ああ、そうか。小さい頃に呪詛師に襲われ犯されかけた。あれに似てる。悟が助けに来てくれたんだっけ。私の唯一のトラウマ。粘着質な人間。あの時と同じように馬乗りされる。あれ?無下限どうやって張るんだっけ?
「殺してやる!殺してやる!!」
首を絞められる。動け、術式を張れ。どうして、動かない!
「はっ。ただ殺すのも勿体無い。一回抱かれとくか?」
「ヒュッ」
私は制服のボタンを引きちぎられる。
助けて。
「何してやがるてめえ!!」
松田の声がした途端。上に跨っていた男が吹っ飛んだ。
「「「「「セリ!」」」」」
ヒロに抱きしめられる。
「ヒロ…」
「今班長と萩原が教官呼んできてる」
「ヒロ…」
「怖かったね。もう大丈夫だよ」
向こうで松田とゼロが男をボロボロに殴っている。
「ヒロォ!」
「よしよし」
「怖かったあ」
「そうだよね。遅くなってごめんね」
私はヒロに思い切り抱きつく。
「松田、降谷、そこまでだ」
「「チッ」」
班長と萩原が教官達を連れて来た。
「11時27分、暴行罪、わいせつ罪で現行犯逮捕する」
男は連れられて行った。
「セリちゃんこれ、俺のジャージで悪いんだけど」
萩原のジャージを上から着させられる。
「ありがと」
「保健室行こうか」
私は医務室で手当てをされる。
「はい出来た。裁縫道具も貸してあげるね」
「ありがとうございます」
「セリちゃん大丈夫?」
「取り敢えず、みんなに見られた下着がお気に入りでよかったと思ってる」
「元気そうだな」
「確かにセリちゃんの下着可愛かったね!」
「でしょ?」
「こら萩原」
「みんな、助けてくれてありがとう」
こうして私のストーカー事件も終わった。
コメント
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なぜ男に下着を見られたのにそんな平然としていられるんだ、平然じゃないかもしれないけれども。