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【笑うあの子の裏事情】
Episode.13 雪
⚠️閲覧注意⚠️
《🎼🌸side》
その日は、雪が降った。
思った以上に、前日の夜から雪が強く降り始めていた。
窓を打つ音で、夜中に一度目が覚めたくらいだ。
朝になっても、雪は止まない。
道路も、屋根も、白く覆われている。
ニュースをつける。
アナウンサーが、少し興奮した声で言っていた。
「この地域でここまでの大雪は、15年ぶりです」
15年。
……そういえば。
小学生の頃にも、こんな雪が降った気がする。
友達と、学校の校庭で雪合戦したり。
手袋びしょびしょにして怒られたり。
そんなことを思い出しながら、家を出た。
今日は、生徒は登校しない。
学校の判断で───自宅学習。
理由はもちろん、この雪。
自転車が滑る。
足元も危ない。
もし転んで、頭を打ったら。
もし車がスリップして事故になったら。
取り返しがつかない。
きっと今頃、生徒たちは───
雪だるまでも作って。
「学校休みだー!」なんて言いながら、少しはしゃいでいるんだろう。
そんなことを考えながら、学校に着いた。
職員室の扉を開ける。
🎼🌸「……静かだな」
先生たちも、少ない。
遠い地域から車で通勤してくる先生も多い。
今日は休みにしている人もいるんだろう。
俺は比較的、近い。
車で30分程度の距離だ。
それに───
仕事が、そこまで暇じゃない。
🎼🌸「おはよ、なつ」
声をかける。
🎼🍍「ん、おは」
隣の机。
コーヒーを片手に、パソコンを見つめるなつがいた。
🎼🌸「コーヒー珍しいじゃん」
🎼🍍「まぁな」
🎼🌸「ミルク入りだ」
なつは少しだけ眉を上げる。
🎼🍍「バレるもんだな」
俺は笑う。
🎼🌸「ブラック飲めないだろ、絶対」
🎼🍍「だから甘くすんだよ」
教員でも、こんな会話は日常茶飯事だ。
俺は保健室の鍵を持つ。
🎼🌸「じゃ、仕事してくる」
🎼🍍「おう」
職員室を出る。
廊下は静かだった。
普段なら、朝の時間は足音や声が響くのに。
今日は、何もない。
少し歩いて。
廊下の左。
保健室。
鍵を開けて、扉を閉める。
机に向かう。
積み重なっている紙。
健康観察カード。
身長、体重、視力、色々記録するやつ。
🎼🌸「……まだ終わってなかったんだよな」
時計を見る。
長い針が、8を指した。
🎼🌸「さて」
椅子に座る。
🎼🌸「仕事開始」
紙を一枚ずつ確認する。
🎼🌸「みんな成長してるな」
去年より身長が伸びてる。
体重も変わってる。
🎼🌸「そりゃそうか」
2年生は、もうすぐ3年生だ。
🎼🌸「あ、1年生の記録も見直さないと」
ファイルをめくる。
……よかった。
3年生のは、もう全部終わってる。
🎼🌸「過去の自分、お疲れ」
小さく笑う。
ふと、外を見る。
雪は少し弱くなっていた。
空も、少しだけ晴れ始めている。
光が雪に反射して───
キラキラ光っている。
🎼🌸「……きれいだな」
コーヒーを一口飲む。
ふと思う。
……こさめ。
雪だるまとか、作ってるのかな。
『らんくん見てー!!雪だるま!』
とか言いながら、今日も来たりして。
そんな呑気なことを考えていた。
その時。
???「……らん……くん」
……?
耳を疑うくらい、小さい声。
か細い。
ほとんど聞こえない。
でも、確かに。
扉が───
小さな音を立てて、横に動いた。
誰かが、入ってきた。
椅子を後ろに下げる。
ゆっくり振り向く。
🎼🌸「……………こさ、め?」
そこにいたのは。
───血だらけの、こさめだった。
🎼🌸「っどうした、こんな……!」
俺は椅子を蹴るように立ち上がる。
駆け寄る。
腕───血だらけ。
右頬───血。
足も。
足の甲も。
手も。
見たことないくらいの怪我。
🎼☔️「……らんくん…」
青い瞳が、俺を見る。
揺れている。
今にも、涙が溢れそうだ。
🎼🌸「っ……話は後で聞く。早くこっち」
優しく腕を引く。
ベッドへ。
こさめの体は、少し震えていた。
🎼🌸「ここ座って」
俺は急いで棚を開ける。
ガーゼ。
消毒液。
包帯。
全部出す。
🎼🌸「傷、洗うぞ」
水で流す。
赤い血が、流れていく。
こさめの肩が、びくっと揺れた。
🎼☔️「っ……」
顔が歪む。
……痛いんだ。
当然だ。
でも。
今までなら。
「いったーい!」とか言いながら笑ってた。
「でも平気!」って笑ってた。
でも今は。
静かだ。
歯を食いしばって。
涙をこらえて。
痛みと戦っている。
俺は丁寧に消毒して、ガーゼを当てて、包帯を巻く。
🎼🌸「………何があったんだ」
こさめは黙ったまま。
🎼🌸「……こさめ、答えて」
沈黙。
🎼🌸「こさめ」
🎼☔️「………怒られた」
……怒られた?
🎼🌸「誰に?いつ?」
こさめは口を閉ざした。
🎼🌸「……こさめ、話して」
俺は少し声を落とす。
🎼🌸「この怪我は、親御さんに連絡するレベルだよ」
🎼☔️「………やだ」
小さく首を振る。
🎼🌸「どうして?」
こさめは、少し俯いて言った。
🎼☔️「……俺のこと、嫌いだから」
……ああ。
そういうことか。
何かが、少し繋がった。
あの日。
こさめが言った言葉。
『期待されないって、楽だよ』
……ああ。
だからか。
🎼🌸「……なんで、そう思うの?」
🎼☔️「……だって」
こさめの声は、小さい。
🎼☔️「嫌いだから」
🎼☔️「…………こさめのこと、見てくれないから」
沈黙。
言葉が見つからない。
その時。
こさめが、ぽつりと言った。
🎼☔️「……昨日」
🎼☔️「お家、帰ったの」
帰った?
まるで───
いつも帰らないみたいな言い方。
🎼☔️「……雪が、すごくて」
🎼☔️「…………帰った」
🎼☔️「すぐ部屋入ったけど」
🎼☔️「……ダメだった」
……ダメ?
🎼☔️「……嫌だったから」
🎼☔️「…外、また出た」
外に。
この雪の中で。
🎼☔️「……いっぱい転んで」
🎼☔️「気づいたら、朝で」
声が震える。
🎼☔️「ここまで怪我してなかった」
🎼☔️「でも」
こさめは少し息を吸う。
🎼☔️「……落ちちゃって」
🎼☔️「……痛くて」
🎼☔️「……………動けなかった」
俺は息を止めた。
🎼🌸「どこから落ちたんだ」
こさめは少し迷ってから言う。
🎼☔️「……階段」
🎼☔️「外の」
……外階段。
雪が積もれば、滑る。
足を踏み外せば、 落ちる。
🎼☔️「……全然、ね」
こさめは小さく言う。
🎼☔️「起き上がれなかった」
🎼☔️「寒くて」
🎼☔️「………でも」
青い目が、俺を見る。
🎼☔️「……らんくん、いると思って」
その言葉に。
胸の奥が、ぎゅっと締め付けられた。
🎼🌸「……歩いてきたの?」
こさめは、こくんと頷いた。
雪の中を。
血だらけで。
ここまで。
俺はゆっくり息を吐く。
そして、静かに言った。
🎼🌸「……よく来たな」
こさめの口から、小さな息が漏れた。
next.♡1000
コメント
12件
これも一気に読みしました! ☔くんを助ける🌸くん、ほんとに優しくて感動した😭✨ ☔くん、ほんとのこと話してよぉぉ😭😭 続き楽しみ❣️
ホントに泣きそうになってきます😭 続きが気になります。
泣けてくる😭 🦈くんが🌸くんが居るって信じて 頑張って歩いていくのが凄い… 続き楽しみにしてる!無理しないでね!