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月明かりの下でワルツを踊ろう ほら、一緒にステップを踏み出してみて 楽しいリズムに合わせてクルリクルリ回って 手を取って踊りましょう 二人で息を合わせて くるりくるりと回っていたら いつしか夜も明けてくる そしたらまた歩き出せばいい ゆっくり歩いていく道にも 明るい未来はあるかもしれないよ もしも迷ってしまった時は 僕と一緒に旅に出よう 大丈夫、怖くはないから安心して 僕は君を守る騎士なんだ 君を傷つけるものはすべて斬り捨てる たとえ相手が悪魔であろうとも 君の涙を見るくらいならば、喜んで命を捨てよう 僕の剣はそのためにあるんだ そして世界中を旅し終えた暁には 愛しい人を迎えに行くんだ 約束しよう、必ず見つけ出すと 君は忘れてしまったかもしれないけれど 今度は僕が迎えに行く番だよ だから待っていてくれ 約束の場所まで、どうか無事に辿り着けるように
「ねぇ」
少女の声は透き通るようだった。
声をかけられた少年は振り返り、そして言うのです
「僕の名前は、」
それはいけないわ だって、あなたの口から出る名前はひとつしかないじゃない だって、あなたが好きな人の名前を言ったって、 その子になれるわけじゃないし、 だからと言って、他の子になれっこないし そもそも、私はその子を知らないのだもの だからダメよ 私のことは諦めなさい いいえ、違うわ 忘れてちょうだい さっきまでのこと全部、なかったことにして頂戴 お願いよ どうせ、このまま一緒にいたって つまらないだけの日々が続くだけでしょう? だったら、いっそここで終わらせましょうよ これ以上続けば、苦しいばかりになるわ それなら、まだ幸せな方を選んだ方がいいでしょう? ねぇ、どうかしら? あなたにとっての幸せは何? 教えて欲しいわ 私にとってもそれが一番大切なことですもの あなたのことが知りたいの ねぇ、聞かせてくれないかしら? あなたの望みを教えてくださいな 私はここにいるわ あなたのためにずっと待っているのよ 早く会いに来てくださいな あなたのためだけに生きているんですもの ねえ、どうして来られないの? 私に会いたくないという理由でもあるのかしら? それとも他に好きな人が出来たとか……そんなことはないと思うけど もしそうだとしたら嫌です そんなの耐えられません お願いします 私を捨てないで下さい 私を愛してると言ってください 約束してくださらないと許さないわ あなたがいない世界なんて考えられないのですもの 嘘つき ひどい人ですね やっぱり私よりもあの子の方がいいと言うのですか? どうして? おかしいですよ そんなの絶対変です あんな子に負けるはずありません 絶対にあり得ないです だって、あんな子はただの友達なんでしょう? 恋人なんかじゃないんですよね? そうですよね? だとしたら問題なしです 全然大丈夫ですよ むしろ喜ばしいくらいです あんな子と付き合うような人は最低だと思うし 正直言って大嫌いだし、死んで欲しいと思ってます そんな人と縁を切ることができるなら万々歳ですよ まぁ、本当はちょっと寂しい気もするけど……
そこは我慢することにします あ、ごめんなさい 私ったら取り乱してしまいました うふふっ 心配しないでください すぐに落ち着きを取り戻しますから もう大丈夫です 安心しましたか? よかったです それでは、改めてもう一度言いますね 愛しています 大好きです 一生をかけて守り抜きます だから、ずっと側にいてもいいでしょうか? それだけはどうしても譲れない願いなんです あなたがいない人生など考えられないのです お願いします どうか、一緒に生きてください それは遠い昔の物語 まだ誰も知らない未来の話誰もが待ち望んだ奇跡の始まりだった