テラーノベル
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赫「……また飲んでる」
家に積まれた酒の缶。
嫌なほど目に留まる
考えれば考えるほどアルコールの匂いが鼻に来る
茈「んー…?」
振り返ったいるまは、
頬をほんのり赤くして笑う。
茈「いいでしょ、別に。酔ってる方が楽だし」
カラン、と氷が鳴る。
同時に視線を逸らすいるま
その音がやけに耳に残って離れない
赫「……それ、もう何杯目」
茈「覚えてない」
悪びれもせずに口に運ぶその仕草が、
妙に綺麗で、
余計に気に食わない。
赫「やめときなって」
グラスを取ろうと手を伸ばすと、
するりと避けられる。
茈「やだ」
軽く言われる
けど、その目はどこか必死で。
余計に心が締め付けられて
茈「…これないとさ、無理なんだよ」
赫「何が」
茈「……全部」
一瞬だけ沈黙があった
いるまは視線を逸らして、ぽつりと続けた。
分かってる。俺も知らないふりをしてる
茈「考えたくないこととか、あるじゃん」
赫「……」
茈「酔ってれば、全部ぼやけるから」
また一口、喉を通った
それを見て、俺は少しだけ眉を寄せた。
赫「……逃げてるだけでしょ」
赫「そうだよ」
あっさり肯定された。
茈「でも、それの何が悪いん?(笑」
笑ってるけど目は笑ってない
バレバレだよ?目の赤らみ
いるま最近アンチに悩んでるもんね
赫「……それで、いつまで持つの」
茈「さあ?」
いるまは肩をすくめた
茈「壊れるまでじゃない?」
そんなこと、軽い調子で言わないで
そう思うのに、言葉が続かない。
…代わりに、手が動いた。
赫「……ちょっと、貸して」
茈「え?」
グラスを奪う。
そのまま、口をつけて一気に飲み干した。
赫「……っ、苦っ」
いつも酒飲まない いるまが
アルコール度数の高い酒を飲んでるのは意外だった
茈「なにそれ…」
赫「お前が飲んでるやつ、気になっただけ」
グラスをテーブルに置く。
酔いが覚めるほど驚いたのか、
目を丸くこっちを見ている
赫「……美味くない」
正直な感想をぶつける
いるまは少しだけ笑った。
茈「でしょ。なのにやめらんないの」
その言葉に、少しだけ間を置いて。
赫「……ならさ」
ゆっくり、いるまの方へ近づく。
赫「それ、やめれば?」
茈「無理だって――」
言いかけた言葉を遮って言う
赫「代わりがあるなら、やめてくれる?」
茈「……は?」
距離が少しずつ近づく
逃げられる前に手首を軽く掴む。
赫「俺じゃダメ?」
一瞬、空気が止まる。
いるまの瞳が揺れた
茈「……何言ってんの」
赫「そのまんま」
ただ静かに俺といるまの視線が絡む
赫「酒で誤魔化すくらいなら、俺で誤魔化せばいいじゃん」
茈「……そんなのっ」
否定しようとしても出来ないんでしょ
分かってるよ
赫「俺の方が、強いよ」
逃がさないように、指に力が入る。
赫「依存するなら、ちゃんとしたやつにしなって」
その言葉に、いるまの喉が動いた
茈「……ちゃんとしたって、何」
赫「簡単でしょ」
少しだけ笑って、
赫「離れられないやつ」
静かに、距離を詰めた
赫「……お前、今も酒やめられてないじゃん」
耳元でそっと
赫「それと同じ」
逃げ場なんて最初からないみたいに。
赫「俺のことも、やめられなくしてあげる」
ぞく、といるまの背筋が震える。
怖いはずなのに。
なのに、否定できないんだね_♡
茈「……それ、保証ある?」
かすれた声で聞かれた
少しだけ目を細めて
赫「試す?」
その一言で、全部が決まる。
いるまは、ゆっくり目を閉じた。
茈「……じゃあ、責任取って」
弱い声。
完全に、預ける声。
その瞬間、満足そうに息を吐いて――
赫「もちろん」
優しく、でも逃がさない温度で。
赫「最後まで面倒見るよ」
もうグラスはいらない。
代わりに残ったのは、もっと抜け出せない酔い
それはアルコールよりずっと強くて、
ずっと、醒めない。
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