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第4話【声の正体】
“結城!湊も一緒か…!”
そう言って迎えたのは
最高司令官の姿だった。
“早く情報教えろや!”
湊さんも酷く慌てている。
声は震えたままだった。
““アリス”は元々死刑対象の魔物で”
“本部はずっと”アリス”を追跡していたんだ”
どうやら連続変死体事件の犯人は
その”アリス”というやつらしい。
“アリス”を追っていた本部員は
全員、消息不明になっていた。
““アリス”は〇△病棟の近くだ”
“今すぐに追跡してくれ!”
私と湊さんは
最高司令官の命令で
〇△病棟へ向かった。
〇△病棟につくと
辺りは恐ろしいほどの静寂だった。
“ほんまに”アリス”は居るんか?”
“周りに誰一人も居らんで”
“アリス”の能力は誰も知らない。
そもそも”アリス”はなぜ
死刑対象になっているのか―。
“湊”
ふと後ろから
明るい女性の声が聞こえた。
“紗夜…!!無事だったんか…!!”
声の主は湊さんの彼女だった。
彼女の生死が分かり
湊さんは安心して身体を抱きしめていた。
“ごめんね、心配かけて”
私は嬉しさと同時に
ある疑問が飛び交っていた。
この静寂な〇△病棟に
なぜ、彼女だけ居たのか―。
避難したのかもしれない。
あるいは―。
まさかそんな訳…と思いつつ
私は湊さんの方を見た。
するとそこには
湊さんが横たわっていた。
湊さんの強さは
浜辺で戦った時から分かっている。
容易く殺れる人ではない。
よく見ると出血もないし
足跡の痕跡もない。
眠っているだけだと知り
安心していたが、
そこに、彼女の姿は無かった―。
急な殺気を感じ
私は警戒して立ち止まる。
恐る恐る振り返る先には
亡くなったはずの”両親”が立っていた。
“結城、そんな驚いてどうしたの?”
私の目には
不意に涙が溢れていた。
“おい!どうしたんだ結城!”
あぁ、父と母の声だ…
何十年ぶりかに聞いたこの声―。
永遠にこの時間が続けばいいのに。
“アリス、これで良かったの?”
うさ耳青年が不安げな声で問う。
“えぇ、いいのよこれで”
“あの生活は、禁忌に反しているから”
アリスが急に歩き出す。
そこには眠っている湊と結城の姿。
“馬鹿な男ね、緋翠湊…”
“なぁアリス、また本部員が来たぞ”
猫目の青年が言う。
“ここに連れてきて”
アリスは猫目の青年に頼む。
うさ耳の青年はずっと怯えていた。
“大丈夫よ、きっと大丈夫―。”