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精神的に攻めが追い詰められてるときに受けが健気に心配しつつ暖かく支えようとしてくれるのいいよねっていう気持ちで書きました。
一瞬にして町を滅茶苦茶にしていった高層ビルよりも背が高い、大型のエネミー。視認してすぐに通信機に報告を入れた。
嵐よりも速く、俺の雷鎚よりも疾く、奴は行ってしまった。
「本部へ連絡です。大型ヴィランは南西の海岸から猛スピードで北上しています。今すぐヒーローを、増援を」
____
「増援が……出せない?」
____
「なぜですか?!本部は無事なんですよね……?!」
………
「応答を……誰か…誰か答えて下さい…!!!」
………
「オリエンス……!!…聞こえているなら返事を、誰か…誰か、誰でもいいから応答を ……!!」
『…あ、あ』
「テツ!!さっきの聞こえてたか?大丈夫か!?」
『り、と君……ごめん、いけ、ない』
「…え?」
『瓦礫に…挟まれて、デバイスも……粉々で……もう、体の感覚が……』
「…すぐに、すぐに救助を呼ぶから…だから……!!」
『ごめん、ね…りと君……今まで、ありがとね』
「やめろ……やめろって……!!」
『ご…めん……ね』
「______!!」
宇佐美は声にならない叫び声を上げて飛び起きた。
心臓がバクバクいっている。
ぐっしょり汗で濡れたシャツが気持ち悪い。
あぁ、夢だ。夢だった。
大丈夫、大丈夫……。
自分にそう言い聞かせながら胸を撫でつける。夢だと分かっても体が震えてしょうがない。
よりによって最愛の彼の最期を擬似的に体験してしまうなんて。
それも、側に居られず声だけ聞いて終わりだなんて。
怖い。
夢だった。夢だったけれども。現実でも、もしかしたらあるかもしれない事だった。
それだから余計に恐怖を感じた。
「リトくん……?」
「……ぁ、テツ」
眠たげな声がして見れば隣で眠る彼を起こしてしまったらしい。
それもそうか、叫んでしまったから。
「ごめん。起こしちゃったよね」
「んー…大丈夫?」
重いまぶたをこすりながら彼が心配そうな声で聞いてきた。
疲れていただろうに起こしてしまったのが申し訳なくて平静を装う。
「うん。大丈夫」
「ほんと…?」
「うん。大丈夫。ごめんね、なんか疲れてたのかな…」
「リト君」
不安げな顔の彼がいて、なんとか安心させようと笑顔を作りながら言葉を続ける。