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僕は一惺。今日は翔の仕事の手伝いをしている。
現在、ど修羅だけど…
いわゆる、毒親(翔の部下)というものに翔は対峙していて、事の顛末は、受け入れ先が見つけられず連れてきた子供は絶賛イヤイヤ期というもので翔の部下は自分の子供に手を上げそうになった所を翔が止めて、俺が子供を預かって翔は部下のヒアリングに行った。
一応俺もその場に居合わせることになった。
翔
君、大人の本気のビンタは子供にとって交通事故に遭う事と変わらない。
最悪死ぬよ。
とにかく、そんな穏やかな君が手を上げるとは考えにくいし何より子供に手を上げてしまう程追い込まれている、1度僕と一対一で話をしようかな?
翔も俺が知る限りであれば翔の父親がそれにあたるはずで、翔は向こうの話をじっくり聞きつつも一通り聞き終えたところで至極真っ当な返事をした。
翔
………
失礼を承知で言うよ。
君、それを毒親って言うんだよ。
部下
な、失礼な…!!!
私はあの子達のために…!!
翔
あの子達の為。
毒親の典型例だね。
子供達だってひとりの人間だから。
君とは人格も性格も違うし、それが当たり前。
毒親は自分で気付くこともできないの。
鬱病とかと同じで、自覚症状が無い精神疾患のようなものさ。
子供のためにやってあげてるっていう認識なんだもん。
部下
………!!!
翔
勉強や服装、交友関係、あらゆる事を心配する気持ちは親の気持ちとしてよく分かるよ。
僕も1人の高校生の娘がいる親だから。
子供は親のアクセサリーでも、操り人形でもないから。
あなたの為、そう押し付け続けているようじゃ分かり合えない。
いずれ子供が大きくなるにつれて自分で責任を取らなければならない場面がどんどん増える。
僕達親は、それを見守り、道を外しそうになれば手を差し伸べ声をかける。
今の君には追い打ちをかける形なってしまうけど…
少し悩んだ末、翔はキッパリ言い放った。
翔
要するに、君は自分の子供を信用していない。
部下
なっ……!!!
翔
自分がいなきゃあの子は駄目って決めつけてるから、上手くいかないの。
シングルの親としてここまで頑張ってきたことも、僕は知ってる。
でもね、親と子供は違う生き物。
子供のため!と押し付けがましいようじゃあの子だって嫌がるし、話を聞こうとしてくれない、自分も同じような経験をして同じような気持ちになったことは無かった?
わかっもらえなくて、もどかしくて、でもどうやってその気持ちを親に向ければいいか分からないから拙いやり方になってしまう。
君の子は、君の為に生まれてきた訳じゃない。
核心を突くようなぐぅのねも出ない説得力のある発言だった。
翔
厳しいことを言ったけど…
あの子の親は君なんだから。
唯一無二の正真正銘、あの子の肉親。
1度自分が1人になって頭を冷やす事を勧めるよ。
余裕があれば、素直な気持ちであの子と向き合える筈さ。
子供は僕らで協力して面倒を見るから。
部下
そんなこと…できません…!!
私はあの子に酷いことばかりしてきたから、1度離れた戻ってきてくれないかもしれない…
翔
それが君の本当の気持ちだったんだね。
そこは心配しなくていいよ。
どんなに怒られても、あの子にとっては君だけが親なの。
そう易々と子供の気持ちは肉親から離れていかないよ。
ね?
部下の子供
うん!!
ぼく、おとうさんのこと、だいすき!!
子供の素直な気持ちほど、親の心を動かすものは無い。
翔の部下は、子供を預ける決心を決めて1度1人になる事になった。
1週間後…
翔
どう?
1人になることで頭が冷えて、冷静になれたかい?
押し付けるだけじゃないやり方を。
こういのは、急がば子供に合わせろ。
イヤイヤ期はそれが鉄則さ。
まずはじっくり話を聞くの、感情的に捲し立ててくる相手にはそれが一番効くのさ。
もちろん、小さい子には最もな対応なの。
そう言って翔は自分の部下のヒアリングをきっちり済ませた。
そして俺は自分の直属の上司こと首領さん
(呼ぶ時はマスター)に用があって話をしに行った。
一惺
なぁ、首領(マスター)?
首領さん
んー?
どったの一惺?
一惺
さっき翔がかくかくしかじか…
首領さん
ふーん…
ねぇ一惺は分かったかな?
翔、まただいぶ追い込まれたような顔してたんだよねぇ。
一惺
俺は…なんとなくしか…
ただ彼奴の過去を考えたら…
首領さん
そう、翔って冷たそうに見えて情に脆いから、過去の自分とあの子が重なって見えていたんじゃないかな。
それで、あんなに疲れた顔してるんだと思うんだ。
1度翔が組織に加入する前に一悶着あったでしょ?
その時に…ワイは必死に翔の心の中でやり合ってたんだけど…
一惺
ああ、その事だが何をして翔の事絆たんだ?
首領さん
翔が苦しそうな顔してたからこっちも最終兵器を出すことにしたのさ。
一惺
最終兵器???
首領さん
そ、翔の母親を顕現させること。
一惺を引き入れる時もこの手段を使わせてもらったよ。
気絶してる間、お師匠さんと会えたんだよね?それで、もう前を向いていい、自分の道を歩けって言われてたでしょ。
一惺
……!!!
全部聞かれてたのかよ…
恥ずかしいわ…
でも、後悔は残ったが後ろ向きな気持ちにはもうなってないぜ。
その…ありがと…////
首領さん
もうっ!!
ツンデレなんだからぁ〜(笑)
一惺
な、もういじらないでほしい…!
首領さん
そう言うとこがまだまだ23歳って感じがするんだよねぇ…
クールぶってるとことか(笑)
一惺
黙れ黙れ!!!(恥)
そもそも話が脱線してんだよ!!
それで…
どうすんだよ。
首領さん
どうするもこうするも…
また翔の夢の中に雪芽さん(翔の母親)
を顕現させるけど?
一惺
どうやってやってんだ?
首領さん
まず死後の世界行くでしょ〜?
そしたら、ワイの神様権限使って顕現させる対象を探すのよぉ。
ちなみに死後の世界にも戸籍標本みたいなのがあって、一人一人の戒名で探すの。
ちなみに戒名ってのは本来めっちゃ難しいし長〜い説明になるから色々割愛するけど、生前その人がどんな人柄であったとかその人の尊敬する人間に関する名前で漢字を決めるの。
あとはその人の名前の漢字一文字を入れることもあるよ。
一惺
へぇ……
それで、その故人さんを探し当てたら?
首領さん
とにかく真面目に交渉!!
一惺のときも、ちょっと面倒いことして地獄に行って、色んな手続きしてお師匠さんと交渉したんだ〜
こんな方法で顕現させて、それが終わったら魂は責任持って元居た場所に返す!
それが鉄則!!!
それで、顕現させる故人さんが天国か地獄に居るかによっても変わってくるよ。
一惺
へぇ、興味深い。
首領さん
まずね、地獄から顕現させるには閻魔様に申請書と報告書を作って持ってくの!
日時と目的とその他etc…
細かい情報を書き込んで、緊急性が高いと閻魔様が判断したら審議の時間はカット!!
一惺のときも翔のときも一般人に被害が出てたり出かねなかったりしたから審議の時間は省かれたよ!
天国から顕現させるときは地獄と違って申請書と報告書が必要だけど故人さんがOK出してくれたらいつでも顕現させてOKなルール!
一惺
さすが天国。
話が早く進むんだな。
首領さん
それで、顕現させた魂と君たちが喋っている間はとくに口を出さず見守ることが義務。
どちらかが暴力に走った場合は儀式は即刻中止で故人側に非があった場合は担当の神様による審判が…!!
軽いものであれば反省文、一番重い罰は地獄行きになるよ…
一惺
……!!!!
首領さん
ただ…初めて翔の母親を顕現させるときは…
翔自身が心を閉ざしてたから顕現させられる時間があまりにも少なかったの。
ワイなら本来12時間は顕現させられる。
でも翔があまりに拒むから50分が限界だったんだ…
一惺の時も、一惺も心を閉ざしてたから6時間だったし…
一惺
あの時は…悪かった。
首領さん
一惺の未練が断ち切れて、自分で進もうって思えたならそれが一番。
というわけで、今回は翔にお母さんに対する未練やらなんやらに決着をつける決心をしてもらうべく奔走してくるから、1週間くらい部屋から出ないからねん。
ご飯は暇が出来た時に食べるから1日1食置いといてねん。
一惺
承知した。
さて、これからワイは天国に向かって魔法でゲートを開通!!
さぁいくぞぉ……!!!
首領さん
久々だなぁ…天国は…
相変わらず綺麗な場所!
神界以上だねぇ!
さてさて雪芽さんは…
あ〜いたいた!
雪芽さーん!
雪芽
…!
あら、首領さん…?!
この間はどうも。
いらっしゃい、お茶とお菓子をご馳走するわ。
天国と言っても、風景は現代社会と変わらないけど、心の綺麗な人が多い天国は現世より1層色鮮やかに見える。
それに時間の流れも。
現世では4年、天国では4ヶ月という時差が生じているのだ。
雪芽
それで…
今日は何用かしら?
首領さん
それが…かくかくしかじか。
雪芽
まぁ…!!
あの子が…
翔ったら限界まで我慢する子だから…
それに前回しっかり話が出来なかったのも私としてはいただけないわ。
こんな格好でもアレでしょうし、少しおめかしをする時間をくださる?
首領さん
それは時間をかけてもらって大丈夫!!
前と違って緊急性は高くないからさ。
雪芽
ええ、そう言ってもらえて嬉しいけれど、あの子の母親としてなるべく早くおめかしは済ませるわ!
30分後…
雪芽
さっ、これでおめかしはバッチリね!
首領さん
本当翔そっくり!
綺麗だね〜!!
雪芽
あの子が待っているわ、私としても早く翔に会って話をゆっくりしたいの。
早く行きましょう!
首領さん
アイアイサー!!
そして私は息子に会うために尽力してくれる神様の術で翔の心の中に入り込んだ。
入り込む前に映ったあの子の顔は、凄くやつれていてもう限界という顔だった。
首領さん
さて、行ってらっしゃい!!
雪芽
ええ、ありがとう、首領さん。
(翔さんの心の中)
雪芽
………
雨…きっとあの子の今の気持ちなのね…
それも、とっても冷たい…
あの子はシャイで表情を顔に出さないけど、ちゃんと傷付いていて、苦しいのね…
早く見つけてあげなくちゃ…!!
まぁ…!!
居たわ、翔!!
翔
…!!!
雪芽
こんなに冷たい雨にずっと当たっていたら冷えて風邪をひいてしまうわ…!!
それに貴方がずっと頑張り続けてもがき苦しんだ事も、何もかも空から見ていたもの…!
翔
来ないでよ、お母さん…
雪芽
どうして…!
私は、あなたとしっかり話がしたくてここに来たの!! 面と向かって話をさせてくれるまで帰らないわよ!!!
翔
……
とにかく嫌なの…!!
自分を変えるために、何かを変えるために、沢山の人を傷付けて、憎くてたまらなくて父親に復讐したのに、本当は認めて貰いたかった気持ちがあった……!
なのに、なのに僕は傷付けるやり方しか分からないから、間接的に自分の親も殺しちゃったんだよ…???
それが辛くて、苦しくて、そんな自分が嫌で、醜く見えるから、そんな自分が…
大好きなお母さんに顔向けできるはずがない、していいはずがない、しちゃいけないんだよ…
ッ…!!!
離れてよ、お母さん…!!
雪芽
嫌、絶対離れなれません、離しません!!
私、これだけは許せないから怒ってるわ!!
自分の事を自分で醜いなんて言っちゃいけませんっ!!!!!
貴方は幸せになるために生まれてきているの、私は、貴方の幸せを願って産んでいるの!!
それに、人の話を聞く時は相手の目を見なさいと小さい頃から言っているでしょう、もう!
こっち向きなさい!
私は貴方と話をする為にここに来ているんだから、翔は素直な子でしょう?
そう言うと、翔は今にも泣きそうな顔で振り向いた。
身体をこちらに向けて、膝から崩れ落ちるのにつられて、お互い向き合った。
雪芽
でも、翔の本心がようやく分かって安心した気持ちがあるの、びっくりしたから捲し立ててごめんなさい。
15歳といえど、まだまだ子供だった翔を1人にしてしまったのがとても心残りだったの。
ごめんなさい、翔。
でも、空から全部ちゃんと見てた。
苦しむところも、復讐しても虚しい気持ちだけ残って1人静かに泣いているところも。
でも、どんなに辛くても翔は自分の足で歩いていたわね。
お疲れ様、翔。
私の骨が入った指輪、私の婚約指輪、私の月下美人の簪を大切にしているところも見ていたわ。
翔
そ、そうでなきゃ…
雪芽
自分を保っている事ができないわ。
ごめんね、翔…
普通の人間なら耐えられないわ、肉親が死んで、絶縁までされて立ち直れだなんて。
安心して翔、あの人は今、地獄でしっかり然るべき裁きを受け、罪と向き合っているから。
それで、私が翔に伝えたかった大事なことを、今から教えるわね。
翔は、溜めていた気持ちが止まらなくなりそうとでも言うようにぽつりぽつりと涙を流し始める。
翔
うん、お母さん…
ちゃんと聞く。
雪芽
ええ、ありがとう、翔。
私が伝えたかったのは、苦しい時、辛い時はとにかく沢山泣きなさいって言いたかったの。
翔は何もかも我慢してしまうから。
でも、我慢ばかりしていても心には限界があるの。
いつまでも我慢していれば心は絶対悲鳴をあげながら壊れるわ。
現に、ここまで来るまで何度も心がバラバラに割れて壊れてきた。
硝子のように、1度くっつけてもヒビは残るし、そのヒビからまた割れるかもしれない。
1度溶かさないと、綺麗な形には戻らない。
でもね、溶かすのは難しいから頑丈に補修するしかないの。
紙にでもいいから自分の気持ちを書き出すくらいしなさい。
どんなに耐えてこられたとしても、いつか取り返しがつかないことになっては遅いから。
翔
……………
雪芽
そして翔、私からもう2つ。
私から貴方への願いよ。
美味しいものを沢山食べて、温かい布団に入って幸せな夢を見て、沢山笑って、驚いて、時には泣いて、怒って…
どの角度から見ても輝く切子細工がされた硝子のように、喜怒哀楽に満ちた人生を歩んで欲しいのよ。
今からでも遅くないわ、きっと今の貴方ならそれが出来る。
翔の目から零れる涙の量が少しずつ増える。
翔
お母さん…
僕、まだ自分の名前の由来も知らない…
雪芽
ええ、まだ教えていなかったわね…
今から教えるわ。
翔っていう漢字は、高く飛ぶ意味を持っているわ。
目標に向かって力強く歩いて行ける、芯の強い無限の可能性を持った人であって欲しい気持ちを込めて、貴方にこの名前を名付けたの。
こうやって、今の翔みたいに立ち上がって困難を乗り越え、力強く生きていて欲しい願いを叶えてくれて…
自分の足でちゃんと歩けている。
私はそれがとっても嬉しいわ。
自分の願いが叶っているんですもの!
翔
嬉しい…ありがとう、お母さん。
雪芽
立派に成長したわね、もう、私達の事で後悔して苦しむ必要は無いわ。
そう言ってあげないと、翔はいつまでも前に進めないもの。
次はいつこうやって貴方を抱きしめてあげられるか分からない、頼りない母親でごめんなさいね。
翔
そんなことない…!!
お母さんは、お母さんは…!!
やさしく、あたたかく包んでくれるから…
僕にはそれで十分…!!
雪芽
強がらないで、翔。
きっと不安でたまらないでしょう?
私は貴方の母親よ?
全部お見通し。
貴方に十分な愛情を注いであげられなかった。
愛情を注ぎ、子の不安を取り除いたり、一緒に背負ってあげるのが親のつとめですもの。
もう、翔…
また我慢して!!今はもう我慢するのは許しません!!
感情的になっていいの!
時間が許す限り、じっくり聞いてあげるわ。
洗いざらい悩みを打ち明けなさい?
わかった?
翔
(コク)
雪芽
よろしい、おかえりなさい、翔。
すっかり降っていた雨は止み、日の光が差していた。
翔はついに止められなくなった大粒かつ大量の涙が今まで押さえ付けてきた感情が溢れ出すように流れ続ける。
私に思いっきり抱きついて泣きながら悩みを打ち明けひとしきり泣いたあと、泣き疲れたのか私の腕の中で眠ってしまった。
雪芽
首領さん、終わったわよって…
首領
うぐっ…ひぐっ……
い゛ぃ゛はなしがすぎるよ゛ぉ゛〜
よ゛がっ゛だね゛ふだり゛とも……!!
雪芽
さて、私はそろそろ帰るわ。
翔によろしく言ってくださる?
空からずっと見守っていること、自信を持って歩き続けて欲しいこと、大好きな人は思いっきり愛して大切にしなさいということ。
いずれまた会いに来ること。
首領さん
う゛ん゛っ…
わ゛か゛っ゛だ……!!
雪芽
さぁ、私を元の世界に送ってくれるかしら?
いえ、泣き止むまで待つわね。
そうして首領さんに送ってもらい、私は天国での生活に戻った。
とは言っても現の湖という場所から翔の様子はいつでも見れるので寂しくない。
(現世にて)
首領さん
ただいま戻りましたん!!
一惺
おう、おかえりなさい。
ていうか翔、今日謎に生き生きしてるのは何かあったのかよ?
首領さん
うん!!
まぁ、ちょっと色々あっただけだよ!
翔にとっては凄く幸せな夢!