コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「そうね…」
松原女史が短く頷いて、
「ねぇ、永瀬さん?」と、酔いで赤く充血した目を、ふと私に向けた。
「はい…?」
一体何だろうと、お猪口に僅かに残っていたお酒を、物足りなさげに口に運ぶ女史を上目に見やった。
「もし、笹井さんが傷ついたりすることがあったら、どうか力になってあげてね……」
そう心配気に口にする彼女に、
「ああ…はい…」
と、答えはしたけれど、私にそんな役割なんて、到底できはしないだろう……としか思えなかった。
私だって、あの医師には心底傷つけられていて、それを誰かに話すことさえもできないでいるのに、まして他の人のフォローなどができるはずもなかった……。