俺は、外へ出たことがない…
生まれた時からこの本殿で暮らしている。
それを苦だと思ったことはなかったはずだった…
小さい頃はよくお父様もお母様も遊んでくれた、でも俺が7歳になったくらいから、口調が強くなって、冷たくなっていった
四季
「お父様!」
父
「後にしろ」
四季
「お母様!」
母
「静かにして」
そうやって…口数も少なくなって、俺もいつからか話さなくなった。
まぁその生活も慣れてしまえななんともなかった…
でも、俺が10歳になった時、急にお父様が話しかけてきた、俺は久しぶりに相手をしてくれると嬉しかったんだ…でも
父
「四季、お前は今日から神様になる」
四季
「え、神様?」
父
「そうだ、実は、この山を降りると村がある。その村の人たちは困っているんだ、家族をなくして、そんな人達を四季が救うんだ。四季を待っている人達がたくさんいるんだ」
四季
「救う✨人を救えるんだね!なら、やる!」
この山を降れば村があるという事にも驚きだったが、人を救えるのなら、俺を必要と言ってくれるのなら…喜んでやる、これで、きっと寂しくない
けど、現実はそうじゃなかった
信者
「四季様、、、泣」
信者
「ああ、なんと美しい、、泣」
信者
「神、、神の子だ、泣」
毎日のように、様子のおかしい大人が俺の前で泣いては「神の子」「神の子」と言ってくる。
俺はそんな名前じゃない…四季って呼んでよ、なんで泣いてるの?笑ってよ…
俺がいるから?俺が上手にできてないから?
なんで、なんでみんな辛そうなの…?
でも、お父様やお母様から、信者?の人達には触っちゃいけないし、喋ってもダメって言われた…
管理人
「では、今日の祈りはこれまでです」
いつからかその言葉を聞いた瞬間「やっと終わった」と思ってしまうようになった。
そんなこと、“神の子”の俺が思っちゃいけないのに…
そんな日々が嫌になった…だからお父様とお母様に時間をもらって、話をしてみた
四季
「お母様、お父様、俺、もう神の子できない…です」
昔、2人は俺の話を聞いてくれて、一緒に悩んでくれた。数字がわからなくて、これはできないと言ったら、「なら、もう少し簡単な問題を出しましょう」そう言って優しく微笑んでくれた。「出来ないことをそうやって正直に言うのは勇気がいるし、大事なことよ」
そう言われたから、今回もわかってくれると思っていた…
でも、
パチンッ
四季
「え…」
言葉は返ってこなかった…ただ、俺の右頬に痛みがはしり、じんわり熱くなった。
ガシックシャッ
四季
「い、たいッやめて、、泣」
四季の長い髪をわしづかみ引っ張る父親
冷たい目でそれをみている母親
ドゴッドコッ ガシャンッ!!
鈍い音と、ガラスのようなものが割れる音がした
父
「お前は言うことを聞いておけばいいんだよ!!」
母
「あなたがそんな事を言う子になったとは…はぁ」
ドゴッドコッ
四季
「ゲホッ お、とうさま…やめッ 」
グリグリ
お父様は俺の声を聞かず、ずっとお腹を蹴っては踏みつけてきた…
四季
「な、なんでッ」
ググッ
四季
「カハッ」
お父様?なんで、なんで俺の首を絞めてるの?怖い、怖いよ…お母様?ねぇ助けてッそんな目でみないで…
父
「お前は外に出ない代わり、あいつらの相手をしてればいいんだよ!!そうじゃなきゃここには置いてない。お前がもっと上手くやれれば、あいつらも俺らもなんの苦労もないんだよ!!」
そっか…俺が悪いんだね、、やっと分かった。あの人達が泣いている理由も俺なんだね…そっか、そうだったんだ…
四季の大きな目からハイライトが消えた…
青空のような目は曇り、綺麗ではあるがより暗くなった…
父親は四季の首から手を離す
四季
「ゲホッゲホッ カヒュッカヒュッ」
母
「あなたは、必要なのよ…いい子にしててね」
ギュッ
さっきのは見間違えだったのだろうか…母親は優しく四季を抱きしめる…
四季も、母に抱きつく
きっと、俺のためだよね?お父様が怒ってるのも…
父
「全部、“お前のためだ”」
四季
「はい…ニコ」
お父様もお母様も愛してくれている。だから、だから俺も頑張らなきゃ。みんなが幸せでいるために…
それからは、四季は逆らわなくなった。疑わなくなった…信者達が増えていくことも、親が冷たくなっていくのも…気づかないふりをずっとしてきた…
必死に笑顔を練習した、どんな状況でもその顔が出来るように…
言葉遣い、礼儀、信者の前での態度…全部覚えた。
上手くやっているはず、それでもお父様達にはまだ、足りないみたい…
最近は俺が上手くできなくて、迷惑かけているから、ご飯とかも少なくなっていった…
でも、仕方ない…だって俺が悪いんだもん…俺が上手くできないから、お父様達が困ってる…救わなきゃ、信者の人たちも、お父様達も、笑ってもらえるように…
中学生くらいの年齢になると、ある少年が俺の世話をすることになった…
名前は唾切 というらしい
唾切は、とってもいい人だった。
いつも優しく髪をといてくれる、祈りが終わった後、上手くできたか俺が不安でも「大丈夫だよ」って言ってくれた…
なぜかわからないけど、唾切がいる時は息がしやすかった、
でも、唾切もいつも辛そうだった…
口癖は「ごめんね」や「守れたら」だった…
俺は幸せなはずだ…お父様もお母様も、俺のために怒ってくれている…そして“愛してる”って伝えてくれる、、
そう伝えても、唾切の表情は暗いままだった…
だから、管理人の人に聞いた、ミサンガというお守りのようなものを作って、唾切にあげた
黄色とオレンジは希望とかの意味があるらしく、その色の糸を使って少しでも唾切を助けれたら…そんな想いがあった
ミサンガを渡すと、ちゃんと貰ってくれた。その時、願いが叶うということも伝えたが、どうやら今は無いみたいだ。
それからも、唾切の口癖は変わらなかったが、色々話してくれた。今日の村の天気やどんな事があったのかとか…俺の知らない世界で聞いていてとっても楽しかった…
でも、また、俺は間違えたみたいだ
怖い男の人が部屋に入ってきて、押し倒してきた…
銀色に光ってる尖ったもので、刺そうとしてきたけど、ギリギリで避けて、かすり傷だけですんだ…でも避けちゃダメだったみたいだ、
その男の人は怒って次は俺の首を絞めてきた
昔と同じ光景…目の前には怒った顔をした人…苦しい、、でも、これも愛情表現なのかな…?もうわかんないよ、、何がしたいの?俺は何をすればいいの?
男の人の顔を見たくなくて、目を逸らした…そしたら、唾切がそこにいた…
なんでかわからない…でも俺は
四季
「つば、きり…助けてッ」
気づいたら、そうんな言葉を言っていた
そしたら数秒後、急に酸素が肺に入ってきて、息ができた…
周りを見れば、唾切がその男の人の上に乗って首を絞めていた…
このままじゃ、その男の人が…なぜかそう思い、必死で声を出した
四季
「ゲホッゲホッ つ、ばきり」
すると、唾切はすぐに手を離し俺のそばに来て抱きしめてきた
四季
「唾切、、、」
唾切
「ごめん…守れなくて、」
四季
「大丈夫、唾切のせいじゃ無い、、」
また、また唾切にそんな顔をさせてしまった
あの男の人は逃げた…あの人も きっと何か嫌な事があって…だから俺に、、
『でも、どうして?』
それは、俺が神の子だからで
『神の子?お前はそんなのじゃ無いだろ?』
違う、俺は神の子で…
『お前の名前はなんだ?どうやって呼ばれてた』
俺の名前、名前は…
『思い出せないのか?なんでだ?』
なんで、えっと…俺は、、
『お前は愛されてない』
違う、だって愛してるって言ってくれるもん
『それは嘘だ』
そんな事ない!!
『なんでそう思う』
だって、だって…
唾切
「四季!」
唾切に名前を呼ばれ、我に返った…
それから、ずっと俺の頭の中で声が聞こえた
『お前は誰だ』
『何をしたい』
『それは愛じゃない』
そうやって…ずっとずっと、、頭が痛い…
笑い方かたが…わからない、、、、
でも、最近になってそれは少なくなった…
なぜかわ知らないけど…
でも、前より光がまぶじくなった、窓から差し込む少しの光でも、心が締め付けられる…
けど、一つだけ嬉しい事があった
それは唾切が最近明るくなったことだ
どうやら、一緒に住んでる人がいて、その人達が自由人で大変だとか
俺に人の愚痴を言うなんて…前より心を開いてくれたのかな?と嬉しくなった。けどどこか、「自分もそこに…」なんて思ってしまった。
唾切
「それと、多分だけど、今度の祈りに来ると思う…」
四季
「そっか…」
唾切
「顔は見れなくても、僕が伝えるよ」
そんな会話をした。
その週の祈りの最後の時に、唾切から「いま前にいるよ」
そう言われて、嬉しかった。
顔は見れなくても、声が聞けたから…
5人くらいかな…?みんな優しい声、あったかいなぁ
自然と口角が上がった
祈りが終わって、また唾切と部屋に戻った
いつも通り目隠しをとってもらって、髪をといてもらった…顔、見たかったなぁなんて呑気な事を思っていたら、唾切が「誰かいるみたいだから、見てくる 」と呟いた
俺は頷き、唾切が戻ってくるのを待った。
唾切はすぐに返ってきた、けど唾切だけじゃない…後ろには少年たちが何人かいた
どうやら唾切の言っていた、一緒に住んでる子達だそうだ
四季
「こんにちは」
そう挨拶すると、みんな返してくれた。
嬉しかった、顔が見れた事、唾切が仲良さそうにしていた事、久しぶりに見る人たちの無邪気な笑顔が見れた事
眩しかった…部屋は薄暗いはずなのに、、遠い世界のようだった…
すると、頬に何かが伝っているのが分かった
四季
「あ、れ?」
なんで泣いているんだろう
辛い事があったわけじゃ無いのに…
それを隠すように素早くふいて謝った、けど誰も責めない…むしろ心配してくれた。
暖かかった…この暖かさを守りたいと思った。
だから村から出ていくよう、言おうとしたけれど、途中で声が出なくなった…
この子達にこの言葉を言ったら、逆にこの子達を苦しめるんじゃ無いか…だから、不自然に切れた言葉の続きを考えた
四季
「この部屋から出て行ったほうがいい」
そう言葉を続けた
けどあの子達はまたきていいかと言った。
本当はいいよって言いたかった。でも、またここへ来られたら、俺はきっとまた会いたいって思ってしまう…
また、涙が溢れそうだった…
けど、泣くわけにはいかない、だから、笑って部屋を出ていく5人を笑顔で見送った…
俺は、これからどうなってしまうのだろうか…何が正解で、何が本当の愛なんだろうか
終わり〜!!!
めっちゃ長くなった…
あと雑い、、四季くんの思い伝わりましたかね…本当雑ですよね、ごめんなさい
いつも見てくれている方もコメントしてくれる方も大好きです!
ありがとう(*´﹀`*)
また次回!
コメント
9件
だから四季君はずっと悲しそうにしてたんだね… 唾切さんにとって四季君は救済だったけど、四季君にとっても唾切さんは心の拠り所だったわけだ! 親の影響で細かったり、言いたいことをちゃんと言えずに言葉に詰まったりしてたのか… もぉ!親!!四季君になんてことしてんの!! 四季君は全く間違ってないでしょ…悪くもないし! すっごい続き楽しみっ!待ってるね!!
四季くん… 両親のきったない思考に巻き込まれちゃったんだ… 唾切が現れて少しは、楽になったのかな… 四季くんが幸せになれますように! 続き待ってるよ!