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wrwrd短編(zmメイン

第70話 - ボクを捨てて､俺になった日

12

2025年11月06日

#zmメイン

#zm愛され

#zm受け

#グロ等あり

#捏造、妄想注意

#wrwrd

中さんサブ

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こぽこぽ　こぽこぽ

それが初めて聞いた音。水の音だった。まぶたをゆっくり開くと「にんげん」と呼ばれるいきもの達が居た。彼等はこちらを見て興奮気味に大きな声で話しかけて来る。それがうるさくて、嫌で､みみを塞いだ。これが初めての自分の行動だと思う。ボクはこの瞬間に自我を持った。そしたらまたにんげん達が騒いだ。ふとにんげん達の方を見ると1人だけ、静かに微笑んでいるこが居た。かみ色は薄水色で､ちょっと長い。めは薄桃色と薄水色の美しいオッドアイ。まるでかみさまみたいなそのこが気になって、みみを塞いでいたてを伸ばそうとしたけどやめた。またにんげんが騒ぐのは嫌だ。勿論自分が嫌っていうのもあるけれど､あのこに嫌な思いをして欲しくない。ボクは考えるとなんだか子供みたいになる。不思議。薄く開いていたまぶたをまた下ろして､ボクは眠った。

また瞼を開くとあのこだけが居た。部屋が薄暗いから「よる」ってやつなんだろう。くちから泡を出しながらてを伸ばした。そのこは驚いた様な素振りをみせた後、ガラス越しにてを重ねた。ふにゃりと笑うそのこは本当にかみさまみたいだった。そのこはくちを開いて､ボクに話しかけた。そのこはボクになまえをつけてくれた。「ぞむ」ってなまえ。No.が0203だかららしい。そのこはボクがきこえる事が分かっているみたいだった。そりゃそうか、あの時みみを塞いだから。ボクも笑ってみせるとそのこはニッと眩しい笑顔になった。その日の一方的な会話はそれで終わった。

あのこは次の日も来た。それも､にんげん達が居ない時に。あのこなまえは「しんぺい」っていうらしい。この辺りじゃ珍しい名前。ボクのなまえは二つあるけど、しんぺいにつけてもらったなまえの方が好きだ。しんぺいは今日も話してくれた。今日は紙でお面を作ったらしい。ボクがかみさまみたいって思ったからなのかな。しんぺいはかみって書いたお面を作ったらしい。得意気に話すしんぺいはおとななのにこどもみたいだった。明日着けてきてくれるらしい。楽しみだ。楽しい、と思ったのは初めてだった。昨日は嬉しいだったから。その日の一方的な会話はそれで終わった。

しんぺいは今日も来た。昨日と同じ､にんげんが居ない時に。しんぺいは「神」と書かれたお面を着けていた。「似合ってる」と口を動かして伝えるとしんぺいはまた喜んだ後に､じぶん以外のにんげんにはやったら駄目と言った。どうやらにんげん達にしてしまうと怖い事が起きるらしい。怖いのは嫌だ。「分かった」と伝えるとしんぺいは満足気に頷いた。しんぺいはまた色んな事を話してくれた。もしもの時はじぶんを呼ぶ事､茶色いかみで紫のストールを着けているともだちの事､Ω国って所が悪い事をしている事､外の事…本当に、色んな事だ。嗚呼､また明日しんぺいと会うのが楽しみだ。その日の会話はそれで終わった。

今日はしんぺいが来なかった。

今日はにんげん達が話していた。しんぺいはころされたらしい。

……………

どういう事だ。何故彼が殺された。何故？何故？何故？何故？何故？何故？何故？何故？何故？

脳が急速に発達していく。ボクは疑問を覚えた。ひとの殺し方を覚えた。いきものへの興味を覚えた。にんげんの優しさを覚えた。人間の怖さを覚えた。人間の弱点を覚えた。紫のともだちを思い出した。優しいあのこを思い出した。壊し方を覚えた。怒りを覚えた。殺意を覚えた。いつの間にかボクはガラスを割っていた。服がとても重い。割れたガラスを持って人間の喉を切り裂いた。赤い液体が出て来た。ボクは踊る様に人間を殺した。ボクは外の興味を覚えた。ボクは外を見た。窓を壊した。外に出た。草の感触を覚えた。日差しの暖かさを覚えた。土の冷たさを覚えた。兎を見つけた。兎の殺し方を覚えた。肉の味を覚えた。美味しいを覚えた。笑い方を思い出した。今日覚える事はそれで終わった。

今日は別の人間に会った。ボクにお話があるらしい。話を聞いた。話を聞いたらボク人を殺した事を知っているらしい。お金があれば色々買える事を覚えた。お金を渡すからある人を殺してって言われた。暇だったから頷いた。割れたガラスを持ってそのある人に近付いた。喉を切り裂くと赤いお話を咲かせて倒れた。お金をもらった。今日は草の上で目を閉じた。

今日も人を殺した。

今日はΩ国の人に会った。ボクが必要らしい。嬉しかったからついて行く事にした。楽しみだ。

Ω国に行った。首輪をつけられた。苦しかった。毒を入れられたみたい。体が麻痺して動けなくなってる時に殴られた。蹴られた。刺された。鞭で打たれた。痛かった。身体中が痛い。ボクは逆らえなくなった。暗い所に入れられた。ご飯が美味しくない。

今日はΩ国の偉い人に会った。首輪を引っ張られて､天井に固定された。首が締まった。苦しかった。跡が残った。怖い。怖い。怖い。

しんぺい、助けて。

今日も殴られた。変な薬を飲まされた。ずっと苦しかった。何だか早く動けるようになった。

今日も変な薬を飲まされた。力が強くなった。

今日は戦地に駆り出された。武器は古びたナイフ一本だけだった。たくさん殺した。怖かった。でもパンをもらえた。カビが生えていて美味しくなかったけどいつもの栄養剤よりはマシだった。

今日も戦争に行った。もう嫌だ。

今日は暗殺に行った。

今日も暗殺に行った。

今日も暗殺に行った。あとどれくらいこの暗い所で過ごせばこの地獄は終わるのだろうか。…今誰かが来た音がし

昨日は散々だった。背後から刺された後に顔に熱湯をかけられのだから。ボクの顔は大きな火傷跡が残ってしまっている。いつも以上にフードを深く被らなければ。それにしても最近ご主人様達の機嫌が悪い。このままだと俺も他の子の様に壊されてしまいそうだ。

今日は我々国と戦うらしい。嗚呼､ほら人間が来た。人間はこちらを見てボクの首につけられた鉄製の重い首輪についている鎖を引っ張って檻の外に引きずり出される。渡されたのはいつも以上に古いナイフ一本だけ。ボクの事を今回の戦争で処分したいのだろう。せめてしんぺいにはもう一度会いたかったな。戦車の中には乗せてもらえず､戦車に縄で腕を縛られて､引き摺られた。戦地の真ん中に来ると縄を外され放り投げられる。フードの袖はボロボロになって､根性焼きされた跡やあざがたくさん見えた。足が震えて止まらない。でも、でも殺さなきゃ。それがボクの存在意義だから。

たくさんナイフを振った。でもナイフが錆びてるせいで切り傷を与えれるだけで､その上最近ご飯をもらえなくて痩せ細ってるせいで力が上手くコントロール出来ない。肌の色は青いを越して白い。周りの大人はボクを殺していいのか分からず､焦っている様だ。ボクの見た目は実年齢より若く見えるのだろう。これでも一応18歳だ。まぁ栄養が足りないから身長は小さいけど。すると奧に大きな人影が見える。…あの雑面、見覚えがある。しんぺいだ。嗚呼､久しぶりだな。ボクと会うのは何年ぶりだろう。身長､大きくなったなぁ。今は医療系のお仕事に就いてるんだな､ボクと違って色んな人を助けてる。この時だけは薬に感謝だなぁ、お陰様で視力がずっとずっと高くなって､しんぺいの様子が見れたから。ボクは久しぶりに笑顔になれた。安心感からか、ボクは倒れた。意識を落とす前に見えたのはしんぺいがこっちを驚いた様子で見ている姿だった。

「ｯぁ、？」