「六兆年と一夜物語」曲パロ
水 × 赤(♀)
苦手な方バック推奨
これは遥か昔、名も無い時代の。
誰も知らない、知ることもない、御伽話。
集落の人)お前は忌み子だ……
集落の人)恐ろしいわね……
ドカッ
水)い……っ、!
名も無い集落に、名も無い忌み子のぼくが生まれた。
集落の人)忌み子には罰を、
集落の人)たっぷり与えないと…
水)……っ、
産まれたときから、身に余る罰を受けた。
悲しいことなんて、
何もないんだ。
悲しいなんて感情は、ぼくには必要ない。
そのはずなのに。
どうして?
なんで、どこかに引っかかりを覚えるんだろう。
水)………
母)ほら、行くわよ ((グッ←水の手を握る
水)……、はい
ぼくは、何も知らない。
僅か数秒前まで、お母さんは顔を真っ赤にして怒鳴って、ぼくを責めて。
それなのに、今はこんなに優しい。
この握られた手も、きっと温かいんだろうな。
雨上がりに優しくそっととられたこの手の温もりを、
ぼくはいつになったら知れるんだろう。
……そうだ。そうだ。
感情がないなんて、嘘だよ。全部、嘘……。
本当は。
本当は、ぼくは……
心が寒いんだ。
ぼくはなんで○なないの?
夢のひとつも見れないくせに……、どうして。
そんなぼくを誰も知らず、知ろうともせず、今日も日は沈んでゆく。
水)………っ、、
水)(さっき殴られた所が痛い……)
毎日、毎日。殴られて。
毎日、毎日。蔑んだ目を向けられて。
ぼくが何をしたっていうの。
ぼくが忌み子だから?
ただそれだけで、?
ぼくはこんなにも、苦しまなくちゃいけないの……?
赤)……… ((スッ←蹲る水に手を差し出す
水)……、ぇ…っ
いつのまにか、ぼくの前には女の子が立っていた。
水)ぁり、がとう……
水)((ギュッ←手を握って立ち上がる
真っ赤な髪の、女の子。
とても綺麗な、赫い瞳の女の子。
だけどその瞳は、どこか淋しげで。
漠然と、だけど確かに。
ぼくと、似たようなものを感じる気がして。
水)……君…、名前なんていうの、?
赤)………ぇ…、
駄目だ。
ぼくと話したら、君まで殴られる。
蔑んだ目を向けられてしまう。
だから、駄目だ。
なのに、気になって。
赤)……… ((パッ←口を開けてみせる
水)……ぇ……っ、?
女の子には、舌が無かった。
赤)……、、 ((カキカキ←持っていた布に何か書く
赤)………っ、
『ごめんね なまえもしたもないの』
水)………!
さっきまでは気づかなかった。
女の子の華奢な体には、多くの青痣ができていた。
君も……ぼくと同じなの?
親に、子として扱ってもらえないの……?
水)名前……つけてもらってないの、、?
赤)((コクッ←頷く
水)…まぁ、ぼくもなんだけど…w
赤)……、、、、 ((カキカキ
赤)((スッ←布を見せる
水)……え、
『なまえ つけてあげる』
水)ぃ、いの、?
赤)……ん、((コクッ←頷く
水)ありがとう……
赤)……ん~…、
水)(考えてくれてる、)
水)(可愛いな……)
水)(……ん、?)
水)(可愛い、って、)
水)(何考えてんだろ、ぼく……//)
赤)……ん! ((スッ←布を見せる
水)あ、つけてくれたの、?
赤)ぅん……っ// ((ニコニコ
水)……!
『ほとけ』
『わたしにとってあなたはほとけさまとおなじぐらいやさしいひとだから』
水)……っ、//
赤)……✨
水)…、ありがとうっ
赤)……!// ((パァッ←顔が輝く
水)(……やっぱり)
水)(可愛いなぁ……、//)
赤)ん、!
水)…、?
『わたしにもなまえつけて』
赤)……✨
水)………笑
水)そうだなぁ~……、
見たところこの子はなんか、辛い過去を持ってそう……
親に売られた、のかな……。
反抗できないように舌を抜かれて。
ならぼくと同じで……自分を偽ってるんだよね。
裏を見せれないって、辛いよね……。
いつかぼくもこの子も、裏を見せられるようになったら………
あ。そうだ。
『裏』を『り』って読んで、
たしか……、『卜』っていう字もあったはず、
それで……、
水)『りうら』
赤)……!!
水)とか、どう、かな……、?//
赤)………っ✨ ((コクコクッ←めっちゃ頷く
水)あ、ありがと……//
赤)「ぃ、う、ぁ……!」
赤)「ぁ、ぁい…あぃあ……っ」
水)あぁっ、無理して喋らなくていいよっ💦
水)ありがとうは十分伝わったよっ! ((ニコッ
赤)……!✨
赤)………、((ニコニコ
赤)ん、! ((スッ←布を見せる
水)んー?なになにー?♪ ((チラッ
赤)ふふん……✨ ((ドヤッ
水)………ッ、…!///
『ほとけっちだいすき』
水)……、
水)ぼくも、りうちゃんのこと大好きだよっ!//
赤)……!!
赤)ぅん……//
赤)((スッ←布を見せる
水)?
『いっしょにかえろう』
水)………ぇ、
ぼくの居場所なんか、どこにも無いのに。
赤)ん! ((ギュッ←水の手を握る
水)あ、ちょっと……!💦 ((タッタッタッ
りうちゃんはぼくの手を引いて、駆けていく。
ぼくは何も知らない。
君は親に売られて、もうみんなが言うような”普通”の子供では無いことも。
でもね、?
今感じてる、この手の温もりだけは。
本当なんだって分かるよ。
なんで?
なんでりうちゃんは、ぼくの手を引くことを辞めないの?
忌み子のぼくと一緒にいるところを見られたら、りうちゃんまで○されるのに。
雨上がり。
見上げてみると。
いつのまにかしとしとと降っていた雨が止んで、綺麗な夕焼け空が視界いっぱいに広がる。
……こんなの考えてても、しょうがないか。
ぼくは考えるのをやめた。
雨上がり。
忌み子ふたりで空に向かって、駆けていく。
ぼく達は、過去を消すように遊び回った。
やがて夕焼けが真っ暗な空に変わって星が見え、夜が明けたとき。
大人達に捕まった。
嫌だ。
嫌だよ。
また、暴力を振るわれるの?
そんなの、嫌だよ。
でも、ぼくが逃げたら、りうちゃんが責められる。殴られる。○される。
そんな未来になるのは、もっと嫌だ。
こんな。
こんな、嫌な世界。
いっそのこと。
ぼくとりうちゃんだけになれば良いのに……
「その願い、私が叶えてあげるわ」
水)………!?
知らない声が聞こえたその瞬間。
ぼくと君以外の全人類が、消えた。
抗う間もなく。
赫く染まる夕焼けの中に吸い込まれるように。
ふたりで、丘に腰掛ける。
水)夕焼け……、
水)りうちゃんの瞳みたいだね、
赤)……っ、
水)綺麗だなぁ……
赤)……!!
赤)(…きれ、い……?//)
赤の母)お前の髪と目は血の色みたいだね…
赤の母)そんな不吉な子はうちにはいらない。
赤の母)お前を売ってやるからね!
赤)……っ
赤)………ん……っ、 ((ギュッ←水に抱きつく
水)わっ、りうちゃん、っ
ぼくはやっぱり、何も知らない。
これからのことも。
君が。君が幸せな家に生まれてたら。
つけられるはずだった名前も。
でも。でもね。
今は、これで良いんだって、ぼくは思う。
あのとき聞こえた知らない声。
今はもう聞こえない。
何事もなかったかのように、時が進み出す。
あの声が耳鳴りだったのかもしれないと思うぐらい、当たり前に。
あの耳鳴りも………
夕焼けの中に吸い込まれて、消えてったのかな。
end
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私は舌が無くても発音できるのかは知りません。
参考
ハテナブログ
「Kemuさんの『六兆年と一夜物語』を解釈してみた」
コメント
2件
最高かよ(( 2人が可哀想に思えてくるけどでもしあわせならそれでいいかな ゆずの小説いつも感動させてくるよね 感動させんなや涙流れるだろこのy(((こいつは貴方の事を褒めています