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4 side
その日の朝、アラームが鳴る前に目を覚ました。
体が鉛みたいに重くて、息を吸うだけで胸の奥がじんと痛む。
起き上がろうとして、いったんベッドに手をつく。
視界が一瞬だけ暗くなって、額から汗がにじんだ。
嫌な予感がする。
4「……まずいな」
額に手を当てると、はっきり熱っぽい。
喉は焼けるみたいにひりついて、声を出そうとすると少しかすれる。
それでも、今日はライブ。ツアーのファイナル。
1年前、タカシがツアーのファイナルに出れなかったときの、8号車の悲しそうな寂しそうな表情を思い出す。
メンバーにも迷惑をかけてしまう。
休むなんて、考えられなかった。
楽屋に入った瞬間、リョウガがすぐに気づいた。
3「お前、歩き方おかしくね?」
4「……気のせい。ちょっと寝不足なだけ」
そう言って笑おうとしたけど、口角が思ったほど上がらない。
これ以上一緒にいるとすぐにバレそうで、顔を隠すように俯きながら楽屋の端の席に座る。
マネージャーにも「顔色悪いよ?」って言われたけど、「大丈夫です」で押し切った。
リハが始まると、いつもなら体が勝手に覚えてる振りが、今日は一拍ずつ遅れてくる感じがした。
4「ふぅっ…、、っ…はぁ」
息がすぐに切れて、胸の奥がひりひりする。
ライトがにじんで見えて、床が微妙に揺れている気がする。
(本番が終わるまで、ステージから降りるまでもてばいい。)
そう思って、水を飲んでも、喉を通る感じが薄い。
確実に、朝よりも体が熱くなってるのを感じた。
本番。
歓声が上がって、音が鳴った瞬間、体はちゃんと動いた。
4「盛り上がっていくぞー!!」
滅多にしない煽りだってしてみる。
大丈夫。ちゃんと踊れてる。
でも、体はずっと警報が鳴りっぱなしみたいで、心臓の音がやけに大きい。
曲を重ねるたびに、足が少しずつ重くなる。
それでも、笑顔だけは崩さなかった。
本編が終わり、ステージ裏へ戻る。
8号車の超特急コールに応えるために、アンコールの準備をするステージ裏は忙しない。
そんな中、タクヤは着替えスペースまで行くその一歩が出なかった。
4「っ…はぁはぁ、、……っん、、はっ…ぁ」
何かを掴んでいないと立てない。
目の前がグルグルとしていて、先程までの軽い体が嘘のようにズンと重い。
体を奮い立たせて前に進もうとするが、途端に気持ち悪くなってしゃがみ込んでしまった。
3「タクヤっ!?」
近くで着替えていたリョウガがそばに寄ってきたのが分かった。
3「おまっ…あつ、…」
14「タクヤくん!?」
7「タクヤ、?」
ぞろぞろとメンバーとスタッフも集まってきた。
急がないといけないのに、と申し訳なさでいっぱいになる。
3「熱あるだろ、タクヤ。」
4「大丈夫、ちゃんとやり切るから…」
13「でも、、、」
4「お願い…っ、ちゃんと最後まで踊りたい」
超特急に穴を開けたくない。
8号車に心配されたくないし最後まで楽しんでほしい。
だから、絶対にステージに立ちたかった。
3「……分かった。でも、キツかったら言えよ」
4「うん。…ありがと」
スタッフの「もうそろそろです」という声かけで、また忙しなく人が移動する。
リョウガに助けてもらいながら立ち上がって着替えに向かう。
3「少しくらい、遅くなってもいいからな」
3「焦らなくていいから。ゆっくり着替えろよ」
返事をする気力はなかったから、コクッと頷いて着替え始める。
4「あともう少しだけ、もってくれ」
そう願った。
ーーーーー
3 side
アンコールの一曲目が始まる前に、少し遅れてタクヤがステージに出てきた。
そして、やっぱりすごかった。
体調が悪いのを微塵も感じさせない踊り。
緑のペンライトの方にファンサするときの表情も、いつもと何ら変わりがない。
4「ごめんごめん、着替えに手こずっちゃって〜笑」
ましてや、アンコールに遅れたのを笑い話にして会場の笑いを掻っ攫ってしまう。
俳優として、アーティストとして、あるべき姿の“超特急 タクヤ”だった。
「「「ありがとうございましたー!」」」
最後の挨拶が終わり、ステージを降りる。
ステージ裏の階段を下って、メイキングのカメラを通り過ぎた瞬間、タクヤは力が抜けたように膝から崩れ落ちた。
3「タクヤ!!」
抱き留めると、伝わってくる先程よりもさらに熱いタクヤの体温に驚きを隠せない。
こんなにも熱がありながら踊っていたのか、と。
熱で上手く呼吸ができないのか、肩で息をしている。
目元は薄っすらと涙が滲み、焦点が合っていなかった。
3「タクヤ、頑張ったな。お疲れさま」
4「っ…はぁ、は、ぁ……終わっ、た…?」
3「うん、終わったよ。だから安心しな」
そう言葉をかけると、タクヤは安心したように微笑みながら意識を失った。
苦しそうに、でもしっかりと寝息を立てていることを確認して、タクヤを抱き上げて楽屋に運ぶ。
ソファに優しく寝かせると、メンバーも後を追って集まってきた。
5「タクヤ、朝から熱あったんだってね」
11「もう、ほんといつも無理するんだから…」
12「シューは人のこと言えないけどな?」
2「今は静かにしておこうか。ほら、みんな帰る支度するぞー」
カイの声かけにまた一人、二人と楽屋を出ていく。
最後の一人になり、寝ているタクヤを見つめる。
3「ほんと…よくがんばったな」
そう言って、頭を優しく撫でてそばを離れた。
ーーー
4 side
次に意識が戻ったとき、楽屋のソファだった。
体がやたら重くて、起き上がろうとすると、頭の奥がぎゅっと締めつけられるみたいに痛む。
4「……あ……」
声が思ったより小さくて、自分でもびっくりした。
3「起きたか」
ちょうどリョウガがタクヤの荷物を持って楽屋に入ってきた。
4「……ごめん……」
反射でそう言うと、リョウガは深くため息をついた。
3「朝から熱あったんだろ」
タクヤは、少しだけ目を伏せる。
結局迷惑をかけてしまった。
4「……ちょっと、だけ」
3「ちょっとだけだとしても、ちゃんと伝えろよ」
3「お前の体は、もうお前だけのものじゃないんだよ。超特急の、俺らのものでもあんの」
そのリョウガの言葉が、心にスッと入るのを感じた。
“超特急のもの”
その言葉が、少し照れくさい。
それでもなんだかうれしくて、すごく心が軽くなった。
3「ほら、病人は寝てろ。車が来るのはもう少し時間がかかるから」
4「……じゃあ、リョウガそばにいてよ」
3「は、?なんで」
4「いーから」
腕を引っ張って無理矢理ソファに座らせる。
リョウガの温もりを感じながら、再び眠りについた。
fin
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こんにちは、まめです!
閲覧ありがとうございます🙂↕️
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