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唇が離れたあとも、鼓動の速さは全然おさまらなかった。
咲は視線を落としたまま、頬が真っ赤に染まっているのを隠せない。
悠真はそんな咲を見て、ふっと優しく微笑んだ。
「……帰ろうか。風邪ひく」
差し出された手。
ためらいながらも咲はその手に自分の手を重ねる。
指先が触れた瞬間、また胸の奥が熱くなった。
「……あったかい」思わず小さく呟くと、悠真は少し照れたように笑った。
イルミネーションの光の中を並んで歩く。
繋いだ手のぬくもりが、これからの未来を約束してくれるようで――咲はもう、振り返ろうとは思わなかった。