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214 - 第10章 聖夜に灯る想い 第214話

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2025年09月05日

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夜風は冷たいのに、繋いだ手のぬくもりがそれを忘れさせてくれる。

歩くたびに、指先から心臓へじんわり熱が伝わっていくようだった。


「……あの」

勇気を振り絞るように咲が声を出す。


「ん?」悠真が横を向く。


「私……今、すごく幸せです」

顔は真っ赤で、うつむいたまま。けれどその言葉ははっきりと届いた。


悠真はしばらく黙って歩き、やがて少し苦笑するように答えた。

「俺もだよ。……もっと早く気づいてればよかった」


その言葉に胸がぎゅっとなり、咲はぎこちなく首を横に振る。

「いまだから……よかったんです」


街灯の下、二人の影が重なり合い、寄り添うように揺れていた。

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