【お願い】
こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります
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ご本人様方とは一切関係ありません
ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります
卓上のピザを口に運びながら、ほとけが「え?」と小首を傾げた。
食らいついたピザからびよんとチーズが伸びる。
それをおいしそうにもぐもぐと味わいながら言葉を継いだ。
「いふくん明日からいないの?マジ?ウケる」
何がウケるのか全く意味が分からない。
けらけらと楽しそうに笑ってから、ほとけは汚れた手を近くの手拭きでぐいと拭う。
「出張ってどこに?遠いの?」
「大阪」
「おー、何日?」
「3泊」
珍しく、明日から会社の指示で大阪への出張が決まっていた。
その荷物をキャリーケースに詰め込みながら俺は短く答える。
「えー結構長いじゃん。配信どうすんの?」
「お前ほんまに共有スケジュール見てないねんな。あにきに代わってもらうし、問題ない」
「へー、で、何でないちゃんはそんなに冷静なの?」
目の前でコーラを飲みながらりうらと談笑していたピンクの髪に視線を移して、ほとけはそう話題を振った。
尋ねられたないこが「え?」とそちらを振り返る。
「だっていふくんと3泊4日も会えないんでしょ?」
ほとけの言葉を受けて、ないこは目をぱちぱちと数回瞬かせた。
それからふっと笑みを零す。
「何言ってんの? たった3日じゃん。こっちにいたって仕事忙しくてそんな毎日会ってるわけじゃないし」
肩を竦めて答えるないこに、今度はほとけが瞬きを繰り返す番だった。
「え、じゃあここはないちゃんの家なのにそこで出張の荷物詰めてる人はなんなの? もうほぼ一緒に暮らしてるじゃん。私物もここに揃ってるってことじゃん」
「うるっせぇなぁ。こっちは明日早いんやからいい加減帰れよ」
「ぶぶー、残念でしたーここはないちゃんちなのでいふくんの言うことは聞きませんー。ね、ないちゃん、寂しくないの? 3日だよ? 大阪だよ?」
僕だったら絶対無理、死んじゃう。
そんな言葉をわざとらしい声音を作ってほとけは口にした。
「んーでもりうらもちょっと意外。ないくんだったらもうちょっと拗ねるかと思ってた」
「だよね!? ちょっとないちゃんらしくないよね? もっと拗ねて喚くかと思ったんだけど」
「お前らの中で俺ってどんなイメージなわけ?」
りうらまでがほとけに同調し始めたせいで、ないこは今度は苦笑いを浮かべてがくりと肩を落とした。
コーラの缶を、コトンと音を立ててテーブルに戻す。
「仕事なんだし拗ねるわけないじゃん。俺はお前らみたいに子供じゃないの」
首を竦めて応じたないこの反応がおもしろくなかったのか、ほとけはわずかに頬を膨らませた。
拗ねる子供のような表情を作り、テーブルに頬杖をつく。
「ホントにいいの? 明日の朝いつも通り玄関でいふくんの見慣れた背中を見送ってもさ、もう帰って来ないかもよ? 大阪できれいなお姉さん見つけて住み着いちゃうかもよ?」
「なんでやねん」
思わず割って入ってほとけに冷徹な言葉を投げつけたけれど、あいつは全く気にする素振りもなく続ける。
「それか出張先のキャリアウーマンと夜飲みに行って意気投合して、そのままホテルに連れ帰っちゃう展開になるか」
「あほか」
「それでもなければホテルにデリヘル呼ぶかも!」
途中までツッコミのように合いの手を入れていたけれど、さすがにバカバカしくなって俺は口を噤んだ。
ないこも呆れたのか、眉を下げて嘲るような笑みを浮かべている。
「いむは想像力豊かだよなぁ、ホント。今度社長命令でしょうちゃんに長期出張行かせてみようかな」
「えぇぇぇそれはやめてぇぇ」
からかうように笑うないこの言葉に悲痛な声をあげて、ほとけは懇願するように顔の前で両手を合わせていた。
「…って言うとったん誰やったっけ」
ほとけとりうらが帰ってから、俺は目の前のピンクの髪にそんな言葉を投げた。
ソファに座った俺の膝の上に横向きに乗っかり、首元にグリグリとその頭を擦り付けてくる。
「痛い、ないこ」
苦笑いを浮かべると、俺の背中に回した腕に力をこめてぎゅっと更に強く抱きしめてきた。
「たった3日って言うたん自分やん」
押し付けてくる頭に手を伸ばし、そっと撫でる。
柔らかい髪に梳くように触れると、さらりと指の間から流れていった。
からかうようなこちらの言葉に、俺の肩口に顔を埋めたままないこは「…だってさぁ」と言い淀むように言葉を濁す。
「やっぱ遠いじゃん、大阪は」
「新幹線ですぐやん。別に住むわけちゃうんやから」
「キャリアウーマンは?」
「おらんわそんなん。出張先も男ばっかりって聞いとるし」
「デリヘル」
「呼ぶか」
さっきのほとけの言葉を一つずつなぞるようにないこは口にする。
そんなもん、絶対ないって分かってるくせに。
ないこは別に俺を疑ってるわけでも浮気の心配をしているわけでもないんだろう。ただ……
「寂しいだけやんな、ないこは」
人前では絶対に甘えて来ないくせに。
俺の言葉に返事をしないまま、ないこは更にぎゅっと力をこめて抱きついた。
多分これはしばらく離れてくれないに違いない。
ほとけもりうらもまだ分かってない。
あいつらはないこが喚いて嘆いて拗ねると思ったみたいだけれど、実際のないこはどちらかというとこうやって黙りこんでしまう。
まだ詰め終わっていない荷物の方にも行かせてもらえず、ただあやすようにその髪を撫でるしかない。
「…なんだよ」
俺が笑ったのが分かったのか、ないこが不機嫌そうな声を漏らした。
抗議口調のそれに、ふるりと首を横に振って応じる。
「かわいいなぁと思って。キャリーケースに詰めて連れていこかな」
「…それ確実に俺死んでない? 怖いって」
ないこの答えに思わず声を上げて笑ってしまう。
頭を撫でていた手を頬へ、そして首筋へと下ろした。
「…すんの? 明日朝早いんじゃないの」
「ないこのご機嫌取る方が最優先やろ」
鎖骨を指でつつ、となぞっただけで「ん…っ」とピクリとかわいい反応を示す。
そんな艶やかな声を漏らす唇を、かぶりつくようにして塞いでやった。
これから数日会えない分まで、今のうちに心を満たしてやりたいなんて親切心じゃなかった。
ただ明日からの3日間、逆にもっとないこが俺に会いたくなるように今夜抱き潰してしまいたい。
かわいい恋人を前にそんな衝動にかられる俺が、多分一番狂っているんだろうなと、頭の片隅で考えながらキスをした。
コメント
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ついに来ましたか短編集…✨✨何度も繰り返し見るくらい大好きなんですよね…😖💗 みんなの前では平気でも2人っきりになると寂しがり屋な桃さんが可愛いすぎです、!! 水さんの言ったことをそのまま繰り返して聞く桃さんと絶対に否定する青さんの絡みが好きです…😽💓