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青桃短編集

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青桃短編集

2 - 「責任取って 繰り返す 唇に触れて」

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2025年04月23日

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【お願い】


こちらはirxsのnmmn作品(青桃)となります

この言葉に見覚えのない方はブラウザバックをお願い致します

ご本人様方とは一切関係ありません


ワードパレットでリクエストいただいた3つの言葉(サブタイトルになってます)を本文中に使用してのお話になります




「責任取って 繰り返す 唇に触れて」



…こうなると思った。


首を竦めて缶チューハイに口を付けた俺の背中に、のしかかる重み。

とろんとした瞳を天井に向けて、ないこが俺の背中に無遠慮に後頭部を押しつけた。



「あーあ、ないちゃん寝そうやん」



ローテーブルの向かい側からしょにだがそう声をかけてくる。

今日はメンバー全員があにきの家に集まって飲み会をしていた。

最近忙しかったからその疲れを癒す意味をこめての慰労会のようなもので、一番先に潰れかけたのはないこだった。



そんなにたくさん飲んでるわけじゃない。

だけどないこは元々酒に強くない。

それが自分でも分かっているから、仕事の付き合いで飲みに行くようなときは最初の乾杯の後は控えめにしているらしかった。


缶の酒でも、半分くらい飲めば顔が真っ赤になる。

それを通り越すとハイテンションになるか、眠りこけてしまうか。

大学時代の飲み会ではテンションが上がりすぎて、男友達にキスをしたという逸話も持っているらしい。



だから普段は控えめにしている酒を、ないこはたまにこうして思いきり解禁する。

今日のようにメンバーだけで飲むような、仕事が終わった後のプライベートな時間にだけ。


いつだったか、酔いすぎたないこが学生時代の笑い話のようにキス魔と化したことがあった。

形の良い唇が、薄く開かれたまま俺のそれに重ねられた。

驚いて目を見開いたまま固まった俺の後ろで、メンバーの悲鳴に似た…それでもどこか揶揄するような嬉しそうな声が上がったのを昨日のことのように覚えている。



そうかと思えば静かに熟睡してしまうときもあった。

こちらが警戒心たっぷりに構えていたのに、思わず拍子抜けする。

だからと言って油断していると、次の飲み会ではまたキス魔へと豹変してしまうこともあるのだけれど。



繰り返すそれに抗うのも面倒くさくなってきた頃、そんなないこをここぞとばかりにメンバーに押し付けられた。

眠ってしまった時に運ぶのも、気持ちが悪くなったと言えば介抱するのも自然に俺の役目として割り振られてしまう。



「まろ、あっちのベッドでないこ寝かしてえぇよ」


あにきが寝室を指さして言う。…運べってことか。


どうやら今日のないこは眠ってしまう方のタイプのようだ。

最近休みも返上して働いていたから、疲れが溜まっているんだろう。

俺の背中に頭を預けていたそのピンクはずるりと落ちていき、支えをなくせば床に落ちてしまいそうだった。



仕方なく立ち上がり、ないこの細い体を抱き上げる。

最近食べ過ぎて太ったなんて騒いでいたけれど、それでもまだまだ軽い。



酒を飲みつまみを口に運びながら談笑を続ける他のメンバーを残して、俺はないこを奥の部屋へと運んだ。





あにきのベッドに、ぽんっとないこの体を放り投げる。

それほど乱暴にしたつもりはないけれどあいつは「うーん」と眉を寄せて唸った。

そのまま布団をかけてリビングの方へ戻ろうとした俺の手が、がしっと掴まれる。


「…まろぉ、どこいくの」

「あっち戻る。ないこは寝とってえぇよ」

「…ねむくない」

「嘘つけ、今もう意識落ちかけとったやん」



思わず笑いながら言うと、ないこはとろんとした目をこちらに向けた。

眠くないなんて嘘か強がりだろ。

ピンクの瞳が虚ろにこちらを見上げる。

そしてそれから、その薄い唇が意味ありげに弧を描いた。

「え」と目を瞠った瞬間、酔っ払いとは思えない力でぐいと手を引かれた。



「おわっ」



よろけた俺は、思わずないこの上に覆い被さってしまった。

「何するん」と抗議しかけて顔を上げ、…失敗した。

がしっと頬を両手で掴まれ、そのまま引き寄せられる。


ちゅ、と音を立てて触れ合わされる唇。

…今日は眠りないこじゃなかったんかよ。

いつもは大抵どちらか一方なのに。



「ないこ、やめ…」



両手をないこの顔の横に突き、何とか距離を取ろうとする。

だけど首に腕を回されて、更に強い力で引っ張られた。


…全く、こっちの気も知らないで。


ないこの面倒を見るのは押し付けられた役割ではあったけれど、俺は他の誰かにそれを突き返すつもりもなかった。

キス魔になったないこが他の誰かに同じことをするのを見るのは耐えられなかったからだ。


俺にキスしておいて、こいつは次の日にはもう何も覚えてなんかいない。

平然としているないこに一度ほとけが「ないちゃん昨日いふくんにキスしてたよ」とからかいながら教えたけれど、「マジ? ごめんまろー」と悪びれもせず謝られるだけだった。



…少しはこっちの気にもなれよ。

恨みがましい思いで目の前のピンクの瞳を見つめると、ないこはまた妖艶に笑んだ唇を俺のそれに重ねた。



…あぁもう、どうでもいい。

どうせお前は明日になったら何も覚えてないんだろ。

これまでされるがままで耐えてきた俺の気持ちも、少しは思い知ればいい。



俺の首に回したないこの腕を掴む。

ぐいと解かせてから、その指と自分のそれを交互に絡ませるように重ね合わせた。

組み敷くような態勢で、今度はこちらから唇を重ねる。

今までないこが俺にしてきたような触れ合うだけのものではなく、唇を割って舌を入り込ませた。



「…ん…っ」



舌を絡めると、はぁ、とないこが息をつく。

ピンクの髪を掴むように少し乱暴に撫でながら、何度も角度を変えて貪った。

酒の苦い匂いと共に、唾液が混じり合う音が麻薬のように脳を痺れさせる。



長いキスの後、ようやく唇を離すとまたとろんとしたピンクの目が俺を見上げてきた。

親指でその唇に触れてなぞるように撫でてやると、ふふ、と小さく笑みを漏らす。

その煽情的な眼差しに、ぞくりとした感覚が背中を這いあがるのが分かった。



「やっと、その気になった」



次の瞬間耳に届いた言葉。

これまでうつろな目をしていたないこから発されたとは思えないほど、はっきりとした声音だった。



「…え…」



目を瞠って、組み敷いた態勢のままのないこを見下ろす。

さらりと流れた俺の前髪に指を伸ばして、ないこはまた唇を持ち上げて嬉しそうに笑った。



「俺は酔っぱらって仲間にふざけて軽いキスしただけ。でもまろのはそんなもんじゃないよね?」

「…!」



はめられた…! 思わず目を見開いた俺の唇に、今度はないこが自分の指を押し当てる。



「責任取って俺を愛してね、まろ」



酒に酔ったとはもう微塵も思えないようなはっきりとした口調で告げて、ないこは目を細め艶やかな笑みを浮かべていた。









おまけ

「いふくんてたまにすっっっごく鈍いよね」

「分かる。ないくんのキス魔設定、信じてるのまろだけだよね」

「酔った勢いでキスするって言うても、まろちゃん以外にはしたことないもんなぁ」

「…どうでもいいけど、俺のベッドでそのまま変なことされたらどうしよ」




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コメント

6

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桃さんに翻弄されてる青さんが珍しくてまた新たな扉が開いてしまいそうです…😸😸 キス魔になってしまうのもそのまま寝てしまうコースもどちらも可愛くてまた妄想が捗っちゃいますね😽💞 酔っ払っているからこそのノリとシラフの状態では訳が違いますもんね…🤔 桃さんの最後のセリフにきゅんときちゃいました…🙌🏻︎‪💕

ユーザー

あ、 そうじゃん!🦁くんのベッドやん! なんと言うか…🦁くん…がんば 更新ありがとうございます!

ユーザー

桃さん可愛過ぎますっ!! あれは、…青さんだったら "俺"のベッドで変な事してそう…っ( ˶ ᷇ 𖥦 ᷆ ˵ ) とはいっても誰でもあの可愛い桃さんをみて黙ってる人は居ないですよねっ!!、。! いつも癒しをくれてありがとうございますっ!ᵒ̴̶̷̥́ ·̫ ᵒ̴̶̷̣̥̀ あおばさん大好きなんで、 更新ありがとうございますっ!

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