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[キーンコーンカーンコーン]
今日もこの学校には、チャイムが鳴り響く。俺は席を立つと、屋上に向かって歩きだす。
俺は 日向 奏(ひなた かなで)高2。
俺は友達と同じ高校に通うために、必死になって勉強をしてギリギリのラインでこの高校を勝ち取った。だから、学校内でのテスト順位はかなり低い…。
両親は他界している。交通事故で亡くなったらしい。俺が小さい時のことだそうだ。だから俺は何も思い出せない。小さい頃はおじいちゃんとおばあちゃんに面倒を見てもらってたが最近は二人共老化により衰弱していっているため、一人暮らしをし始めた。
女子「日向くーん!」
廊下ですれ違いざまに同級生の女子に声をかけられる。
日向「お、何ー?」
女子「……ふふっ、何でもなーい!w」
日向「何だそれーw」
だったら話しかけるなよなぁ…。遠くからは、日向くんカッコいい。という、毎日聞く言葉が耳に入ってくるばかり。俺は早足でその場を去った。
日向「……、はぁっ…はぁ…」
ちょっと屋上までの階段を駆け登っただけでこの有様。流石の貧弱ボディーに、自分でも笑えてくるほど。少し息を整えてから扉に手をかける。
鉄の錆びた、鈍く、鋭い音を立てながら扉を少しゆっくりと開ける。
屋上に一歩踏み出した……途端に、頭に激痛が走る。鉄パイプのような感触。
「なぁ、日向くーん。気分は大丈夫そ?w」
「もう死にそうじゃねぇかよww」
そう、煽り口調で話してるのは、俺と同じクラスの男達。手には予想通りの鉄パイプが握られていて、それが俺の頭に直撃したようだ。
男子「おいー、何一人で俯いてんの?俺らの話、ちゃんと……聞けよ、なっ!」
男子の中の一人が、俺の腹に向かって強い蹴りを加える。一瞬にして力が抜ける。………今日も…。
男子「はい、20発目っ!」
何度も何度も腹に蹴りや打撃がきて、俺は何も考えられなかった。「痛い」というひと言では片付けられないこの苦痛。肌に、筋肉の繊維に、食い込むこいつらの脚や拳。だが、このことは今に始まったことではない。
「はっ…、はぁ”っ…」
ふらふらとよろめく。本当は地面に座り込みたいが、それをあいつらは許さない。
男子「何休憩しようとしてんだ!」
日向「ち、ちがっ…」
再び横腹を殴られ、意識が保たなくなってくる。俺は、地べたに倒れ込む。
男子「……ま、もうお遊びはここらへんにしとくか。」
そう言うと、俺に目線を合わせるように屈んだそいつ。それは俺の髪の毛をがしりと掴み、こう言う。
男子「今日も女子に告白されてたなぁ…?何でお前なんかが好き好き言われんのかぁ?」
日向「…そ、そんなの……知るわけない…!」
男子「黙れやっ!」
日向「ぁがっ…、…」
男子「お前がモテるわけねぇよな?何の取り柄もないお前が」
日向「…………」
それはそうだ。だが、それを俺に言われても何もできない。そう…。俺には何もないから、何もできないんだ。
男子「……なぁ、それより”あれ”は?」
別の男子が俺の目の前にいる男子にハンドサインを送る。
男子「あぁ…そうだったなー…」
男子「ちゃんと持ってきてるよなぁ、日向くーん?」
日向「………」
男子「…何黙ってんだよ…早く出せや!」
ドンッと、鈍い音が屋上に響く。
男子「……お前、もしかして持ってねぇのか?」
日向「……”、…」
俺は、震える手で自分のポケットから一万円札を取り出した。
男子「持ってんじゃねぇか」
舌打ちをして、俺の手から雑に金を奪う。そして、もう用はないと言わんばかりに扉へ向かっていった。次は一週間後、もう一万な。と言う言葉を残して。……俺は一人、空を見上げた。
帰り道は走って帰る。”いつもの場所”に二人の人影が見えた時、俺は叫んだ。
日向「ごめん、遅くなった…!」
俺が謝った先の二人の片方は、髪をなびかせて耳にはピアスがいくつも開いている、いかにもチャラいですと言わんばかりの学生。もう一人は夕日に照らされて、キラキラと輝いて見える銀髪に制服のボタンをきちんと上まで閉めた男子。
「ゆる〜す!」
チャラ男はそう答えた。
「…え、怪我してる…。また何かされた…?」
銀髪の男子は、不安そうな目でこちらを見つめてきた。
日向「いつものことだろ?大丈夫だって!」
「うん、そうだね…でも、無理はしないで」
俯きがちにそう言ってくれたこの銀髪の男子は
秋月 律(あきづき りつ)
少し気弱な性格だが、友達思いの優しい俺の親友だ。そして、めっちゃ頭が良い。
「本当にアイツラ許せねぇな。…殴るか?」
日向「お前じゃ勝てないだろ」
「だって一万だろ?…まぁ、額なんて関係ないけどな。どのみちムカつくな」
そうやって俺のために怒ってくれるチャラ男は
駿河 陽希(するが はるき)
いっつもおふざけしていて、その面白くて明るい性格から学校で人気者。言葉遣いがきつくなるときはあるが、一番友達を大切にするいい奴だ。
日向「…てか、律は大丈夫だったのか?」
そう聞くとぎこちなく頭を横にふる。
律 「…た、体育の授業でバスケやってて、俺が下手だからボール避けれなくて当たっちゃってさ…そのときに脚ひねっちゃったの…。腫れちゃったからベンチで見学してたんだけど、授業終わったらいつもの人達が来て『律が一番活躍したよな。ベンチ温めてくれてさぁ』…、って…”…」
日向「……そっか、辛かったな」
律は優しいから、本当は違うんだろう。律の頭は少し赤みがかって腫れていた。きっとここにボールが当たったんだろう。……いつも律をいじめる奴らの一人が律に向かってわざとボールを投げたんだろう。全ては律をいじめて笑うため。それがあいつらの腐った性格。
陽希「いやみったらしいし、回りくどくてエグいな」
律 「…で、でも日向の方が重症だし、俺なんかよりも……」
日向「やられたことにどっちのほうがとかない。律がされたことだって、精神的にくるよ。…心配かけたくないとか思わなくていい。」
陽希「律は優しいからな。いいんだぜ、俺達の前では助けを求めて。」
律 「…うん、ありがとうっ…」
一筋の涙を流して満面の笑みで見てくれた。
陽希「日向も。怪我、いつも以上に酷いな」
日向「俺がすぐに金渡さなかったからさ」
陽希「本当にしつこいよなぁ、あいつら。人の金使ってパチンコ行って何が楽しんだか」
陽希「…おし、二人共こっち来い。俺に辛かったこと全部ぶつけろ。全部ぜんぶ、受け止めてやるから」
日向「…ありがとうな」
律 「優しすぎて、ちょっと無理」
陽希「何でだよっ!」
俺達は笑い合った。この時が楽しかったから、俺は学校でどんな目にあっても明るくいられる。元気でいられる。三人で築いた大切なこの空間。
それが、誰かの手によって
簡単に終わってしまうなんて
コメント
1件
久しぶり!!体調大丈夫? 投稿ありがとう✨